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救命活動
「あ、あなた、大丈夫!?」
「ひゅー……ひゅー……」
少女は何かを言いたそうに、口をパクパクさせているが、苦しそうな呼吸の音以外聞こえなかった。
「待ってて、今助ける!」
少女の傍に駆け寄ると、少女の状態を観察する。
身なりは山に入るには軽装だと思ったが、特に外傷を受けた様子はない。
そう思い、衣服をはだけさせて、お腹を出したが――
「!?」
少女の肌は傷だらけだった。
だが、ついさっき負ったような傷ではない。
長い年月をかけて何度も負った傷のようだ。
「……だけど、これが直接の原因じゃない!」
少女が苦しんでいるのは、怪我などではなく、病気のようだった。
ならば、回復魔法よりも、気功を送り込んだほうが、症状は改善する。
そう判断して私は少女のお腹に手を添えた。
その時だった。
「構わないで……ください……」
私が初めて聞いた、少女の声だった。