耳長族-エルフ-の集落
俺達は今、エミーリアの故郷であるイスラ島にいる。
島の大きさは、小島と呼んで良いくらいに小さく、少数民族が住むには困らないくらいの島。そのくらいに感じた。
「皆、エミィに付いて来てね。はぐれたら、迷って一生外には出られないから」
島は森と言っても過言ではないくらい、多くの木々によって覆われていた。奥を覗き込もうとしたが、先は何処までも暗く、果てが無いかのように思えてしまう程だ。
「……今、昼くらいだよな? 森の中が薄暗くて歩きにくい」
「木々が密集し過ぎて、太陽の光が届かないの。夜になる前には、辿り着けるから、我慢して」
ヴォーデの言いたいことも分かる。だが、ここはエミーリアの言う通りに我慢して目的地へと歩くしかない。
「でも、この霧は私達を迷わせようとしてるようにしか思えませんね……」
「大丈夫。言う通りに付いて来てくれれば、迷うこともないから」
頼りになるな。流石はエルフということか。
エミーリアを先導として、俺達は後を付いて行く。
エミーリアの先導のお陰で、迷うこともなく、森を抜けられた。
まあ、正確には森の中にある集落へ着いた。といった方が正しいかもしれない。
何故なら、集落の周りは森。
この集落は森に囲まれている訳だ。外敵から守るのには、良いかもしれない。森の中を迷わなければ。それもエミーリアのようなエルフが案内してくれなければ、無理だろう。
……ん? エミーリアが真剣な顔をして、見張りの男に何か話している。なんて言っているかは分からないけど。
あっ、戻ってきたぞ。聞いてみるか。
「今、見張りに何か話していたようだが、何かあったのか?」
「うん。伝言を頼んだの」
伝言? 誰に?
「さてと。本来ならサトルだけで良いんだけど。二人をここに置いておくのも危なそうだし。連れて行かなくちゃね」
エミーリア。君は二人のことをどういう風に見えているのか。
見張りの男が、エミーリアを呼んで何か言ってるけど、何言ってるんだろか。エミーリアは頷いてるけど。分かった。ということなんだろうか。
「皆、今から族長の家へ行くから気を付けてね」
族長の家……つまり、エルフの長か。また粗相のないように。的なやつか。大丈夫かな。
面倒なことにならなければ良いけど……。
◆
族長の家は、集落の奥にあった。家自体、他の家に比べて大きく、家の前に立つとエミーリアは軽く扉をノックをして、返事が返ってきたけど、果たして中にはどんな人がいるのだろうか。怖い人だったらどうする。
エミーリアに促される形で俺達は中に入る。