2 妹も懐きました
お持ち帰り〜
「ただいまー」
「おかえりー………って、お兄ちゃんめっちゃずぶ濡れだけどったの?あと、なんで水蓮寺さんもいるん?」
家に帰るとのんびりしてた妹がそんなことを聞いてくる。その言葉の通り、俺は不思議ちゃんを連れ帰っていた。もちろん無理矢理じゃないよ。ちゃんと親御さんに電話して連れてきたのだ。
「色々あってな。今夜は泊めることになった」
「ま?」
「ま、だ。瑞穂の着替え貸してやってくれるか?とりあえず風呂入った方がいいだろ」
「おっけー。じゃあ、行こうか水蓮寺さん」
「え、あ、はい……」
そうして瑞穂に連れられて風呂場に行くのを確認してからタオルと着替えを用意して身体を吹いてから着替える。思ったよりびしょ濡れなので苦笑してから台所に向かって夕飯の準備をする。
本当ならタイムセールのはずが、予想外の出費だけで終わったのは残念だが、まあ、そういう日もあるのだろう。
「あ、あの……お風呂ありがとうございました」
しばらくして予想より早くに上がってきた彼女は瑞穂の服を着ていたが……サイズが微妙に小さいのか少しキツそうだった。特に胸の辺りなのは残念なので俺は内心瑞穂に合掌する。
「えっと……改めてありがとうございました」
「気にしなくていいよ。それより本当に家で良かったの?」
今すぐ帰るのは気まずいと言ってたので、とりあえず家を提案したのだが、あっさり了承して両親というか、彼女の父親もすぐに納得したのには驚いた。ま、瑞穂がいるから変なことは出来ないししないからだろう。
「そういえば、瑞穂のことは知ってたんだよね?」
「はい。クラスメイトなので。凄く元気でよく私に話しかけてくれるんです」
「まあ、元気だけが取り柄だからなぁ」
「あの……先輩が料理作るんですか?」
「ん?まあね」
家は父親が早くに亡くなり、母親は仕事に打ち込んでいるので、俺が基本的に家事を全て担当してる。妹の瑞穂は不器用なので向かないのだ。
「水蓮寺は料理するの?」
「いえ、家は家政婦さんがやってくれるので……」
ああ、なるほど。そういう感じなのか。
「ま、そこまで美味くはないから期待はしないどいて」
「そうなんですか?凄く美味しそうですが……あの、何かお手伝い出来ることありますか?」
「ん?そうだねぇ……じゃあ、後ろから近づいておどかそうとしてる瑞穂の相手をよろしく」
「ばらさないでよお兄ちゃん!」
ぷくーとリスのように頬を膨らませる我が妹。うん、まあ、なんだ。とりあえずその悪戯心をもう少し別のベクトルに向けてくれと思っていると、瑞穂は思い出したように言った。
「あ、そうそう、お兄ちゃん。水蓮寺さんやっぱりめっちゃ大きかったよ!」
「ふぇ!?」
「とりあえず、お前から見れば皆そう見えるよ」
「ぶー、貧乳はステータスだよ!」
知らんがな。真っ赤になってる水蓮寺さんには申し訳ないが、とりあえず妹のお守りが1番俺の負担を軽くする方法なのだよ。