流星のロマンチック
朝焼けが夏の色になってきた、ひとり、
やけに身体がかるくて、もう勝手にいきるよ。
とおくの公園で、日常の抜け殻が燃やされ、
僕は昨夜の流星のロマンチックを友として、
その公園のベンチに座り、燃え滓を見下ろす。
高いすべり台を、すべらずに、駆け抜ける。
その足は、希望と未来を交互に踏みしめる。
星は、空にいるのが日常。
僕は、空を見上げるのが一番。
足もとには、蟻の行列。
ひとりで生きていけない蟻じゃ、ない、くせに。
耳を引きちぎる真実を、教えてください。
この世界に、悲しい音楽が風に乗り、
それよりも遅い速度で、
やさしいメロディーが、
恥ずかしげに、キスをバラまくかもしれない。
さあ、おさらいを、しましょうか。
春がすこしうつむきながら、
空にいまも腰かけて迷っている夕焼け。
夏が帽子を取って、
おはようございますと挨拶をする、朝焼け。
言葉はなにも伝えられないと、
お手軽ないいわけをするまえに、
ふりかえり、かみしめて、
かみくだき、のみこんで、
そんな初夏のおとずれが、
陽気な映画のオープニングのシーンのように、
ていねいな距離をもって、やさしげに、
撮影されていてくれれば、いいのだが。