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お願いだから私の事を名前で呼ばないで。私は私で居たくないの。私というものは気持ちが悪すぎる。別に肉体が気持ち悪いというわけじゃないし、この精神が気持ち悪い訳でもない。ただ、私が気持ち悪い。生きていく私が気持ち悪い。
死にたいわけじゃないの、生きたくないだけ。そう言ったら彼は首を傾げた。あなたはそれで良いの。生きるために生きることができる幸せなあなたはそれで良い。私にはそれが出来ないの。その上に無駄に立派な自己愛、痛みへの恐怖が死ぬことすら許してくれない。どうすれば良いの? わからないよ、わからないから逃げるように眠るの。眠りは死のメタファー、このまま目覚めることがなかったらって眠る前に祈る。
名前を呼ぶということは私にとっては楔で打ち込まれる事と同じ。私を生きるのは私だ、逃げ場はない、おはようございます。嫌だよ、目覚めたくない、まだ眠っていたい。私にはきっと生きるなんてできないよ。だから今日も眠る前に祈るの。