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私の憧れだったあの子は生きてるのかな。赤い目元の化粧、陶器みたいな肌、ウサギのバッグ、手首に傷。私の事をかわいいって言ってくれてありがとうね。でもあなたの方がかわいい、私生まれ変わったらあなたみたいになりたいって願っているもの。
10代特有の希死念慮と安っぽい自己愛が戦った結果私は手首を切れなかった。死にたくなる時に何もできない。お年玉で買ったメタモルの服を着て涙を流すぐらいしか。あの子はメタモルを着る私にかわいいって言ってくれた。
ありがとうね、あなたの方がかわいいよ。顔も服も全て。その手首の傷も私からしたら憧れだよ、あなたは私の憧れなのかわいい人……。このノートは祈りを綴る場所なんだよね。だったら私はあの子の幸せを祈る。私なんてどうでもいい。ただかわいいあの子が幸せになってくれたら、それだけ。