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営団最後の日

作者: ポテト

私立受験が終わったので、息抜きです。目指せ、公立。

挿絵(By みてみん)

2004年3月31日 17:30 押上駅


私は今、押上駅にいる。私の名前は加藤達也。営団地下鉄半蔵門線の運転士だ。今日は帝都高速度交通営団、通称営団地下鉄の最終日だ。どういうことかというと、国営の営団地下鉄を民営化して、明日、東京メトロになる。そうこうしていると、2110T急行中央林間行きの東武30000系が入線してきた。この車両は、去年の営団地下鉄半蔵門線と東武伊勢崎線の直通運転開始に伴い、運用が始まった新型車両だ。だが、この列車は6両+4両の編成で、中間に運転台がある。そのため嫌われているようである。

「2110T押上定着、機器類異常なしです」

「了解、お疲れさまでした」

「お疲れしたー」

いつも通りの会話を交わし、車内へと入る。

「架線電圧1500、制御電圧100よし、キー投入、営団位置よし、保安装置切り替え、ATCよし。エンドレバー前よし、ブレーキ、MR、CR圧よし、逆転ハンドル前よし」

機器類の確認を済ませ、発車を待つ。

『営団地下鉄、半蔵門線をご利用いただきまして、ありがとうございます。この列車は、急行、中央林間行きです。半蔵門線内、各駅に止まります。箱崎エアーターミナルへは、水天宮前でお降りください。発車まで、しばらくお待ちください』

聞きなれた自動放送が聞こえてくる。間もなく発車だ。

「信号45、・・・・・点灯、合図よし、進行」

戸閉灯が点灯し、ブザーが鳴った。ハンドルを手前に引くと、列車が動きだす。

「信号60」

制限が解除され、50km/hまで加速し、錦糸町駅に入線する。ブレーキを操作し、一寸の狂いなく停車する。

「転動防止、滅」





その後いつも通り運転して渋谷に到着した。

「転動防止、滅。ハンドル抜取位置、キー抜取」

ホームに降りて、東急電鉄の運転士と交代する。

「2110T、客扱いにより渋谷20秒延着、機器類異常なしです」

「客扱いにより20秒延着、機器類異常なし、了解しました」

「それじゃお疲れさまでした」

「お疲れさまでした」

無事到着し、事務所へと向かう。



18:10 詰所


「加藤、ただいま戻りました。」

「おう、お疲れさん」

この人は上野一さん。この詰所の所長兼運転士で、俺の上司だ。

「お疲れ様です」

「お前は・・・次の乗務まだだな」

「はい。ご飯食べてもいいですか?」

「いいぞ」

「それじゃ、お先にいただきます」

用意していたコンビニ弁当を机に置き、食べ始める。今日は唐揚げ弁当だ。

「次は・・・・2399Sか。まだあるな」

航路表を確認する。次は23:46の2399s押上行きだ。

「今日で営団も最後か」

こいつは伊藤光。同僚の運転士だ。

「せやな」

「お前次の乗務は?」

「次は・・・2399S」

「何時発?」

「・・・23:46」

「おお、日付またぐんだ」

「せやな。「渋谷出るときは営団で押上つくときは東京メトロ、みたいな?」

「いいな、俺19:34の1221Kだからな」

1221Kは19:34の急行久喜行きだ。

「そーなのかー」

「そーなのだー」

そんな会話を交わしていると、1221Kの発車時刻が近づいた。

「俺行ってくる」

「行ってらー」

伊藤がホームに向かった。俺はまだ時間があるので少し寝ることにする。






23:40 渋谷駅半蔵門線ホーム


あと20分で日付が変わると同時に営団から東京メトロになる。

「あと20分で東京メトロか。早いもんだな」

そう考えていると2399Sの営団8000系が入線してきた。

「種別普通、行先押上。前照灯異常なし、種別灯よし」

「2399S、荷挟まりで押上50秒延着、機器類異常なし」

「荷挟まりで50秒延着、機器類異常なし了解。お疲れさまでした」

「お疲れさまでした」

そういうと、車内へと入った。

「架線電圧1500、制御電圧100よし、キー投入、営団位置よし、保安装置切り替え、ATCよし。エンドレバー前よし、ブレーキ、MR、CR圧よし、逆転ハンドル前よし」

いつも通り機器類の確認を行い、発車を待つ

「点灯、合図よし進行」





23:59 半蔵門駅

「点灯、合図よし進行」

間もなく零時だ。

「あと一分か」

そう考えていると、0:00になった。

「よし、ここから東京メトロ半蔵門線だ」

そうして、営団地下鉄が幕を閉じ、新たに東京メトロが発足した。





4月1日7;00 渋谷駅詰所


「今日から営団地下鉄ではなく、東京メトロだ。車掌のみんなは放送を間違えないように注意して、運転士のみんなは・・・・・いつも通りか。今日は銀座線で出発式がある。そのため遅延が発生する可能性がある。銀座線のみんなは注意して、半蔵門線はいつも通りだ。それじゃ解散!」

「「「「はい!」」」」



新たに東京メトロとしての一日が始まった。まあ、いつも通りだったが。こうして現在に至るわけだ。これからも東京メトロをよろしく。




今回は短編として営団地下鉄民営化の舞台裏を小説にしてみました。どうでしたでしょうか。最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。投稿予定などは活動報告に掲載しております。

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