第21話 ピンポン 2
続きです。
短めです。
「二〇対二〇ですね」
あれから漫画で見たことのある卓球技術を魔法を使用して再現したり色々と白熱し、どちらも勝利までにあと一点を残すに至った。
勿論サーブの順番など本気で卓球のルールを採用しているわけではないので遊びではある訳だが、ここまで来たら勝つしかない。
マスターは俺にサーブを放ち、球はマスターの幾度もの風魔法を受け、ゆらゆらと予測の出来ない軌跡を描き……
俺は放ったサーブを取ることが出来なかった。
「よっしゃあああああああああああぁぁぁぁぁぁ!」
「くっそ……」
マスターはガッツポーズで喜び、俺にサーブの権限が移る。
「じゃあ、サーブしますね」
俺がサーブをするため構えると――
「え、私が勝ったじゃねぇか」
「……え?」
見ればマスターは勝利に酔いしれ、もうすでにラケットを手放している。
「いやいやいやいやいやいや、デュースじゃないですか、デュース!」
「なんだデュースって? ジュースのネイティブな発音か?」
「違――――――う!」
■
聞くところによると、どうやらこの世界には、デュースという概念がないらしい。
デュースとは、互いに勝利までに残すところが一点になった時には、二点連取しなければ勝利できないというシステムのことだ。
だが、この世界にデュースの存在がないなら俺の負けということになるのか……
「って納得できるかーーー!」
結局その後俺はマスターとデュースシステムを採用して勝負を続け、俺が勝利した。
「勝ったああああぁぁぁー!」
「待て待て待て待て待てーーーーーーーぃ!」
が、マスターは抗議する。
「これは世界線の問題だ。今回は……ドローだ!」
「……」
マスターは反駁する。
確かにそうなのかもしれない。互いに世界線の違う卓球のルールの勝負なら。それならば、俺とマスターは同点だと言える。
マスターの世界線でのルールはマスターの勝利、俺の世界線のルールじゃ俺の勝利。
ここで、俺とマスターの互いの世界線の溝が埋められたような……、そんな気がした。
「ドローですね!」
「そうだな!」
俺はマスターと、熱い握手を交わした。
「熱い勝負でしたよ。あなたとはもう一度再戦を願いたいですね、好敵手よ」
「おう、私もだ」
こうして、俺とマスターとの間にライバル関係が出来上がった。
「失礼します! 首領、お客人です」
俺とマスターが熱い握手を交わしていると、入り口から護衛と思わしき男が入って来た。そして、得点板を見るや否や――
「首領、来賓の方をどうお迎え……あれ? 卓球をなさってたのですか。あ、デュースだったんですね。良い勝負でしたね」
とんでもない爆弾発言を投下した。
「あれ……? マスター……この世界にデュースってシステムは導入されてないんじゃなかったんですか?」
「おいお前、クビだ」
「ええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
結局この世界にもデュースという概念は……あった。




