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戦の桜   作者: 紅連雀
3/4

ライラック〜戦い〜

夜遅く、居酒屋ナイトを覗き込む人影があった。


幸宗だった。


「今日もいないか…」


諦めて帰ろうとしたその時、ナイトのマスターが扉を開けた。


「どうかしたんですか?さっきからコソコソと。」


「え⁉︎いや、あの…」



いきなりのことで戸惑っていると、

マスターが「どうぞ、お客様でしよう?」と言っているような顔で中へと促す。

わたしはここで引き返すわけにもいかず、中へと入ると、さっきまで洋の兵士たちが笑い騒ぎあっていたはずなのにシン…と静まり返っていた。


(なんだ…?)


ところどころでヒソヒソ話が聞こえ始め、客全員が幸宗の方を見ていた。


「お客さん。毎晩この時間になると、店の中を覗いているけど、何か探し物かい?」


「ええ、少し、


あの、彼女は…?」


「アンのことかい?さっきまで居たんだけどねー。


あ、そういえば、お客さんと同じような格好をした人と何か話していたよ。」


「同じような格好?闘の人はこの店にも来るんですか?」


「たまにね。あ、その人がもし貴方が来たらこのネックレスを渡してくれって。そしたら解る…と。」


マスターから渡されたのは、幸宗がアンにあげた桜のネックレスだった。


「これって⁉︎」



そのネックレスは引きちぎれていてバラバラだった。


「…その人ってどんな格好でしたか?」


「確か…深い青の着物で黒髪のツンツンした髪型だったと思うよ。」


「ー!!」


幸宗は誰かわかったらしく、勢いよく席を立とうとしたその時、誰かに頭を掴まれ、机に叩きつけられた。


「ーいっ⁉︎」


飛び散るガラス片、真っ二つに割れたテーブル。無傷じゃ済まない程だった。


「へへっ!ちょろいもんだぜ!ボスは簡単なことでは死なねぇって言ってたけどよ、これなら……」


「〜〜ッ!!何するんですか!痛いじゃないですか‼︎」


頭を押さえて立ち上がった幸宗はほぼ無傷だった。


「(あれで、無傷なのか…?)」


「(何者なんだ?あいつは…)」


ヒソヒソとそこらから声が聞こえる。


「っ!やろっ!」


先程手を出してきた男が幸宗の顔を殴る。

鈍い音が店中に響き渡った。


幸宗の口から赤い液体がポタポタと流れ出る。


「ボスからお前をここから出すなと言われているからな。

恨むなら、あの青い着物のへっぽこ侍を恨むんだな!!」


男は天に向かって高笑いをした。


「何故笑わないんだ?

彼奴はな!俺たちに怖じ気づいて簡単にお前を裏切ったんだ!!笑える話だろ!」


「…………ねぇな。」


「あ?聞こえねぇんだけど?

お前も俺たちに怖じ気づいたか?

ハハッ!!まぁ無理もねぇわな!お前1人で何十人も相手できねぇよなぁ!


んー、そうだなぁ。お前が俺様に土下座するってんなら、半分は減らしてやるよ!」


「…ペラペラ喋る口だなぁ…」



ハァ…とため息をつき、マスターの方を見るとすました顔で目を閉じ、コップを磨いていた。


(何も見てない。関係ないっか…)



「今はそれが嬉しいかも。」


幸宗は拳に力を込め、ニヤニヤと土下座するのを待っている男めがけて殴る。


幸宗の時以上に鈍い音が店中に響き渡った。


「…笑えねぇよ。大切な友達の悪口言われて。」


予想外のことが目の前で起こり、さっきまでニヤニヤしていた兵士たちは黙り混んでしまった。


静寂の中1人また1人と抜刀する音が聴こえ始めた。


暫くすると、1人の兵士が斬りかかって来た。

それをひらりとかわす。

すると、兵士はそのまま後ろのテーブルへ勢いよく突っ込んでいった。


鈍い音とガラスが割れる音とが響く。

それを境に次々と兵士たちが斬りかかってくる。



幸宗はため息をつき、木刀に手を掛ける。


「こういうのは好きではないんですけど…」


木刀を腰から抜き放つと一瞬で5、6人が宙を舞った。そして、目にも止まらぬ速さで次々に兵士たちを薙ぎ払っていく。


怖気付いて逃げ出す兵士もいた。


そして、何十人もいた兵士たちはたった3人になってしまった。


例の3人だ。


「ひぃ!!」


怯える3人に木刀を突きつけ、「まだ、わたしを止めますか?」と微笑んだ。


3人は首が取れそうな勢いで横に降り、バタバタと扉から退いた。


幸宗が扉を開けると、3人の中のボブが銃を構えたが、撃たずにそのまま見送った。


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