脇役なんて言わせない-8 ロイド&フローネ ペア
「あの……ロイドさん?」
「なんですか?」
「私たち……これでいいんでしょうか? 何かしなければいけない気がするんですが……」
現状に不満なのか、フローネは困った様子で手元のお茶をすする。
現在ロイドとフローネは、周囲が海に囲まれた狭い孤島の上で、こたつの中に入って座りながら、悠々と湯呑に注がれたお茶をすすっていた。こたつの上に置かれた机の中心にはお茶の減らないヤカンが置かれてあり、二人は先程からずっとお茶を飲んでいる。
「あ……また来ましたよ」
「僕にお任せください」
時折、空からモンスターが飛来するが、ロイドが目にも止まらぬ速度で切り捨てて、孤島に辿り着く前に倒してしまう。
「私は戦わなくていいんでしょうか? もし戦ってモンスターに勝つことがクラスチェンジの条件であれば、私は絶対にクラスチェンジできないことになってしまうのですが」
「んー……恐らくですが、フローネはモンスターと戦うことがクラスチェンジの条件ではないと思いますよ」
「わかるんですか?」
「なんとなくです。セイジさんがクラスチェンジとは役割に大きく影響する精神的なものと言ってましたので、そこから推測して……適当に言ってみただけですよ」
和やかな空気が二人の間に流れる。実際、二人がいる場所は気候も良く、景色も悪くなかったため、精神的な負担は少なかった。
「剣……使わないのですか?」
「ええ、不要ですから」
「あの……ロイドさんって、そういう技……使えてましたっけ?」
「さあ……どうだったでしょう?」
フローネの質問に、ロイドは意地の悪い笑みを浮かべて答え返す。
孤島には、こたつ以外にも道具が置かれていた。その一つとして、恐らくロイドのために用意されたであろう剣や斧といったさまざまな種類の武器が置かれていた。しかし、ロイドはそれを一度も使おうとはせず、モンスターを『斬り落として』いた。
「何に気付いたんですか?」
「それを言ってしまえば、フローネのためになりません。自分で気付いてみてください。大事なのは……よく考えることです。少なくともここはクラスチェンジのための試練。クラスチェンジに繋がる道が必ず用意されているはずですから」
「クラスチェンジに繋がる道……せめて、ヒントだけでもいただけないでしょうか」
「既に充分なヒントを出したと思ったんですけどね……これ以上は」
これ以上は本人のためにならないとロイドは口を閉ざしてお茶を飲もうとするが、フローネがしつこく助けを求めるかのような眼差し向けてくるのに耐えきれず、喉を詰まらせたような顔を浮かべて飲もうとした湯呑を一度机の上へと置く。
それでもやはり教えるのは本人のためにはならないと沈黙を保つが、徐々にフローネの眼差しが潤み、小動物に見つめられているような感覚に襲われ、ロイドは観念してため息を漏らす。
「あえてヒントを与えるのであれば、何故セイジさんがペアを組ませたのか……その意味をよく考えることですね。それと観察が大事です。とにかく、クラスチェンジとは何なのか……最後にセイジさんが言っていた言葉を思い出してよーく考えてください」
「はい……頑張ります」
自信がないのか、不安な表情でフローネはおでこを机の上にコトンと乗せる。その時、ロイドのために用意されたであろう武器の数々の隣に、裁縫道具を始めとする、様々な家庭的なグッズが置かれているのを視界に映して、フローネはゆっくりと立ち上がった。
いつもLV999の村人を閲覧いただきありがとうございます。
今回短くてすみません!
先日お伝えさせていただいた通りご報告です。
別サイトで掲載している小説の完結(実際に完結するのは明日です)を記念して、
新たに【新作】を小説家になろうに投稿させていただきました!
タイトルは【俺⁉イン・ザ・ファンタジー】です。
くっそつまらなさそうなタイトルですが、『なんで俺なの?』をコンセプトに書いた異世界もののため、わかりやすさ重視でこちらのタイトルにしました。
煽りしか能のない煽り豚のクソ野郎が主人公の、とびっきりのクソファンタジーです。
脳みそ空っぽにして読めるよう尽力しましたので、ぜひ一度閲覧いただけますと幸いです!
内容は実際見て確かめていただけたらと思います!
それでは、今後ともLV999の村人をよろしくお願いいたします!