かぐやと申します
今よりもずっと昔のこと、この世は王たちによって統治されていた。
広大な陸地を統治する陸王、
大海原を統治する海王、
大空を統治する空王、
この3人の王こそがこの地球の絶対だった。
しかし、ある時から、王たちの統治が支配へと変わり、傍若無人な政治が行われるようになりだした。
この頃から、この王たちは「鬼」と呼ばれ、民たちから恐れられる存在になっていった。
その「鬼」の支配を終結すべくして、ある国の姫がこの地球に舞い降りた。
1
月が怪しく輝く夜のことだった。
翁が竹藪の中、一人で竹を切っていた。
本来ならば、こういった作業は昼間の内にするものだが、
最近では、陸王の新豪邸の建築のために働きに出なければならない。
そのため、本職は夜間行わなければならないのだ。
昼夜、働き続けて、もう一か月になる。さすがに体力の限界を感じている。
翁は一瞬めまいがし、その場に腰を掛けた。
「さすがに、きついな」
しかし、早く今日の分の仕事を終わらせなければ、家で待っている嫗がいる。
そのため、額の汗をぬぐうと、立ち上がり作業を続けた。
そして今日の分を切り終え、竹をまとめ、帰ろうとしたその時だった。
一本の凛と伸びる竹がぼんやり光っている、
翁は疲労から幻覚でも見ているのかと何度か目をこすり、再びその竹を見た。
しかし、そのぼんやりした光は消えない。
そおっと近づき、翁はその竹に触れた。
すると…
「たすけてください!」
どこからか声が聞こえたため、翁はあたりを見回した。
周りには誰もいない。
「ここです!上です」
その声は上から聞こえた。
上を見ると、そこには一人の女性、いや女の子、いや女子が
竹に引っかかって降りられなくなっていた。
「あ、どうも!私、かぐやと申します。降ろして…もらえますか?」