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2014年/短編まとめ

笑顔少女

作者: 文崎 美生

表情の変化に乏しかった彼女が、よく笑うようになったのはいつ頃からだろうか。


笑うことすら億劫に感じていた彼女は、一体どこへ行ったのだろうか。


「何そんな見てんの?」


あぁ、ほら。


またそんな風にフワフワ笑うんだ。


笑いながら俺の顔を見て「怖いよ」なんて言うんだ。


元々こういう顔だ。


「いや、そうだけどそーじゃなくて」


笑いながらさり気なく失礼なことを言ってくる。


そして相変わらずの笑顔で「あんまりじーっと見るから、顔が凄いよ」なんて言う。


口元に手を当ててクスクス笑う。


いつからこんな奴になったんだっけ。


もっと無表情で感情の起伏がなくて、あまり笑顔を見せる奴じゃなかったのにな。


いや、別に現状に不満があるわけじゃなくて…。


強いて言うなら違和感。


そして多分一種の嫉妬ってヤツだろう。


彼女をこんなにも笑顔にできる人物に対しての嫉妬。


生き生きと過ごす彼女を見てて悪い気はしないんだけどな。


ただ、彼女と長くいた特権を取られたような気がしただけ。


幼馴染みとして傍にいたから俺には確実に笑いかけてくれた。


でも今彼女の笑顔はいつだって咲いているもので、俺以外の力で笑っているんだ。


そう思うと嫉妬の一つや二つくらいするに決まっている。


「またまた怖い顔してるよ?」


へらり、俺の顔を覗き込んで笑うソイツ。


肩の力が抜けていって俺まで一緒に笑ってしまう。


まぁ、コイツが幸せそうならそれでいい。


彼女の笑顔は何にも変え難い、俺の特別だから。

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― 新着の感想 ―
[一言] 短いけど、感じるものがすごくあった。これこそ短編のよさだなと思った。
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