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第2-1
都市というのだから、もっと賑わっていると思っていた。
路面には所々に穴が空いていて土が丸出しになっている。
建物は少なく、焼け跡だけが残っていた。
僕は初めて魔王の被害地を目の当たりにした。
「前はもっと綺麗な所だったのよ……」
ケイトは悲しく呟く
「そっか」
僕はそれ以上なにも言わなかった。悲痛を叫んでいる人に対して送る慰めの言葉など、僕には持ち合わせていなかった。
「それで、ルイ・ロブロイは何処にいるんだ」
話しを切り替えるように僕はケイトに聞いた。
「協会よ、彼は神父なの」
そう言ってケイトは僕の腕を力一杯に引いた。
「行くわよ!」