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第1-6
魔王は突然現れ、都市や町、村でさえも魔物を操り無差別に破壊している。
何が目的なのかは未だ不明で、魔王と呼ばれば人物もどこから来たかは分からないが、強い力を持っている事は確かだった。
その重罪人である魔王が、妹のエバに似ているらしい。
「そんなの、顔がたまたま似ているだけで……妹がそんな世界を脅かす魔王なはず、ないじゃないか……」
「えぇ、そうね。でも分からないわ。もしかしたら、という事もある」
ケイトは僕の落としたマグカップを拾うことも、床に広がるココアを拭くこともしない。
「僕の妹はそんなことしない」
「どっちでも良いわ。全ては霊媒師ルイ・ロブロイに聞けば分かる事よ」
ルイ・ロブロイ
エリックさんの言っていた人か……
「彼に妹の居場所を見つけ出してもらえばいい。
私も着いていくわ」
ケイトはココアを踏みつけてまでして僕に近づき、迷いのない眼差しで僕を見つめそう言った。
僕の旅が、大きく動き出そうとしていた。