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第1-4

「今日は遅いし、泊まっていきなさい。この部屋使って良いから」


ケイトは用件だけ言ってそそくさと部屋を出ていってしまった。


この部屋にはベッドに机、椅子、収納棚

それ以外のものは何もない。どうやら、ただの客室みたいだ。



「お言葉に甘えて、今日は泊めてもらおう」


痛みは癒えたとはいえ身体はまだ重い。

ベッドから出る気になれない僕は、もう一眠りする事にしようと横になり目を閉じた時、誰かが部屋のドアをノックした。



「入ってもよろしいかな?」

「は、はい。どうぞ」


重い身体を起こして、僕は相手を招き入れた。

入って来たのは、白い髭を生やした老人だった。


「私はケイトの祖父で、エリック・チェリーブロッサムじゃ。貴方は確か、ドラゴンを退治してくれた……」


エリックさんはベッド付近にあった丸椅子に座り、ゆっくりとした口調で僕に話し掛けた。



「はい。僕はアド・スノードロップです。お孫様に傷の手当をして頂いて、更に泊めて頂けるなど、本当に有り難いです」



僕は深くお辞儀をして、相手にできる限りの敬意を払う。


「いいのじゃよ。人助けは生きていく上での常識じゃ。今話したいのはそんな事ではない。宿屋から聞いたのじゃが、アドとやら、妹を探していると言ったな」


「は、はい」



田舎の情報伝達力は、やはり計り知れない。


「少し、気になってな……」

「なにか知ってるのですか?!」


僕は思わず身を乗り出す。ついに、エバについて何か手掛かりが得られるかもしれない。



「うむ……いや、直接的な事はなにも分からぬが……」


エリックさんは白い髭をさすり、少し考える。



「都市部にルイ・ロブロイという赤毛の男がいる。奴のところへ行ってみるといいじゃろう……」



眉間にシワをよせたまま、エリックさんは言ったのだった。

その表情はなんとも言えない緊張感があり、エバの身になにかあるのかと、恐怖心を沸き立たせた。



「何か、あるんですか?」



「行けばわかる」



それ以上エリックさんは何も言わなかった。


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