第5-2
それは突然起きた
都市から駆け付けたギルドの者達や、父が立ち上げた討伐隊の者達が総出で立ち向かっても勝てそうにない。
なんとか南の町の被害を抑えるので精一杯というところだ。
僕は初めて「魔王」の姿をこの目に見た。
「似ている」だなんて言葉はただの優しさであった事が分かった。
彼女はどう見ても我が妹
エバ・スノードロップだ
「なんで……エバ……」
「アドは戦わないの?」
呆然と妹をシークの家の前で見ていた僕に、シークが横から話し掛ける。
「出来ないよ。あれは僕の妹だ……」
ディヴは銃を持って、魔王戦に加担している。人々を助ける為に、僕の妹を殺すのだ。
残ったのはシークとクミ、そして僕だ。シークは商人だという。戦う事は出来ない。クミだって、戦いは出来ない。戦う事が出来るのにそれを放棄しているのはこの中で僕だけ。
「妹さん……目、真っ赤ですね……」
「え?」
目の事だなんて気にも停めていなかった。
クミの言う通り、エバの目は充血したように無気味に赤くなっていた。
「おかしい……エバの目は僕と同じブルーなんだ……」
赤い目、不気味な色
もしかして、エバは……
「蛇に、操られている……?」
だとすれば……