第3-4
「帰っておいで。可愛い可愛い私の"イヴ"」
女の言っている意味が分からない。イヴはとっくの昔に死んでいる。
ここにいる筈がないのだ。
「去れ、これ以上お前によこす物は無い」
ディヴは拳銃を構え、迷わず女目掛けて発砲した。
女は隙だらけの様に見えた。けれど女は表情ひとつ変えず気だるそうに横にずれて、弾を避けた。
体のどの力も使わず、足だけで避けたような印象を受け、それが不気味だった。
「化け物が!」
舌打ちするディヴを見て、女はニタリと笑みをこぼす
「化け物ではない。私は"蛇"名もない蛇さ。そんな事よりほら、そこにいる桃髪の女を私によこしなよ」
「ケイトを?!」
意味が分からず、僕は思わず叫んでいた。
さっきから一言も物を発しないケイトの様子を見ると彼女は顔を青くさせ、小刻みに震えていた。
女が怖い様子だ
「彼女は僕の大切な連れだ。見ず知らずの女に渡すつもりは無い」
「おや、出来損ないもいたか。お前には興味が無いな」
不愉快な事を呟き、女は気力無く手をあげた。
瞬間、ドラゴンが僕目掛けて襲い掛かって来た。
「……っ!!」
素早く剣を抜く。ドラゴンは僕しか見えていない様子だ。僕はできるだけケイトとディヴから離れるように走った。
「ドラゴンは僕が相手する! ディヴはケイトを頼む!!」
ディヴが頷くのを確認し、僕は道を外れて走りだした。
案の定、ドラゴンは僕の後を付いて来る。
途中、襲い掛かってくる他の魔物を蹴散らしながら、僕は木に登る。
「まさか2回も木登りをする羽目になるとはね」
こんな所で火など吐かれたら一貫の終わりだ。その前に決着をつけないとならない。
上空にいるドラゴンは僕を見つけるなり急降下してきた