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はじめての授業 3

こちらは完結ですが、次のシリーズへと続きます。お兄様は字が下手でからかわれているようです。

すたすたと本棚に向かうクレア。棚の上段から下段までさっと見やり、英和辞書を何冊か手に取る。どれも古びているが破れや汚れは無いようだ。


「質問良いですか?授業という事はテストもあるんですよね」


「はい、手作りのプリントを作ろうかと思っています。100点満点で30点以下は赤点となります」


兄のこんな口調は初めて聞いたな、と開いた辞典を適当に捲りながら先の予定をしっかり考えて口にするクレア。


「あっ…」


辞書に栞を挟もうとした時、手が滑って床に落としてしまう。しゃがんで辞書を持ち上げるとハラリと一枚のメモ帳が滑り出た。


「何だろう?辞書自体に触れた事は無かったからなぁ、少し見せてくれ」


綺麗に折り畳まれてクリップで止められたメモ帳に、イグニスは何かを感じた。見覚えがある、と…妹の答えを聞かぬまま素早く拾い上げて窓辺に立つ。


「どうぞ、何かの落書きでしょうから。あっ…チャイムが鳴りましたね」


しゃがんだまま兄に視線を投げた。メモを開いたらしい彼と視線が合う。ルビーを溶かしたような赤い瞳が不安そうに揺れたのを見て、目を離さずにはいられなかった。


「少し話をしてもいいかな?昔の事になる…隠してもクレアは感が良いから、それに私は隠し事は下手だ」




自分より少し背が低い妹。髪は刃物のようにいつも銀色を湛えていた、瞳の色は芳醇な赤ワインのごとくひたすらに澄んでいる。


「はい、お兄様」


薄い唇は迷う事なく言葉を紡いだ。


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