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キング・ジョー Absolutely world in the goggles  作者: 蘭堂
Huge tower of mystery in the "Baongu"
69/74

7:Holy Land which is not seen

「ノスト、奴らもすぐにやって来る。早くここから出てヴォルの所に戻ろう」

「はい」


 ジョーはノストゥラから身を離すと、闇の中、視界の効かないノストゥラの手を握り、流れる砂を下る様に出口の方に向かってまた歩きだした。

以前はきちんと整理されていた工作室も、足を踏む場所も迷う程、辺りは散乱していた。

 壁に掛かっていた工具も全部落ちてしまい、コンクリートの柱が壁から飛び出し床に横たわっている。二人は、ソロソロと足下に気を配りながらその柱を迂回しようとした。


 ガチャン!


「あっ」


ノストゥラが何かに足をぶつけたらしく、咄嗟に声が出てしまった。


「どうした?」

「いえ、何でもないです。何か足に当たった様なので……」


ジョーは振り返り、ノストゥラの様子を見るが、彼女は問題無いと言い、歩き出そうとした。


「!?」


 その時、ジョーはゴーグルの視界の中にチラッと何か光る物が見えた気がした。

 『Heat sensing mode(熱感知)』の目を凝らし、その方向、つまりノストゥラの足下を見てみる。するとそこに砂に埋れ始めている、薄ら汚れたある物を見つけた。どうやらそれが ノストゥラの足に当った物らしい。


「これか」


 それは以前、沙織が見せてくれた『ARゴーグル』と『ARグローブ』が入っていた、ジュラルミンのケースだった……。




 オズルト領 フレイナン森林地帯 SITL(犀川工科研究所)外壁近く



 ザンブルのメンバーが西側ゲートに辿り着いた時に、ギャスターズが、何かを見つけたらしく、ある所をジッと見つめていた。


「おい、なに見てんだ」


 細身に長身、全身に刺青タトゥーを入れた男が話しかけた。


「コボル、コレ見てみろよ、どこの言葉だ? 全然読めねぇ」


 ギャスターズが、外壁に書かれた文字をなぞりながら刺青タトゥーのコボルに話しかける。


「ぁあ? ……何よこれ? こんな文字見た事ないなぁ……」


 コボルは、右手を顎にそえながら、女性の様にしなをつくり考えている。


「ザブンダじゃないみたいし……」

「ザブンダ語は、こんなモノではなぁいっっ!」


 後ろにいた、ザイビクスが、何故か変なアクセントで強く否定し、話に加わって来た。因みに彼の妻は、ザブンダ出身の恐妻だ。


「じゃコヘルタナーかしら」

「なにっ!? 古代語かっ!?」

「俺、ミドー(大学)で、古代アルケニア選考してたけど、こんなのクソコヘルタナー語なんかじゃあねぇーよ」


 ギャスターズが、否定した。


「じゃあ何よ」

「アムール語とかは?」


 更に、今度はサジーが話に参加して来た。


「あ! 西アムールか、確かに似ている」

「この位置の丸とか、確かアムール語だと、二度繰り返す、強調するって意味のはずです」

「「ほぉ~」」


 ギャスターズ、コボル、ザイビクスは、サジーの博識に感心した。


「しかし、なんでこんな所に、凶暴そうな動物の絵と、アムール文字が書かれているのでごさる?」

「クソ魔除けかなんかじゃねぇの?」

「いや。イヤイヤイヤイヤッ!」


 コボル何か思い出したらしく、あわててそこからメンバーを離そうとする。


「そこからすぐ離れて! 触っちゃダメよ。コレは呪詛罠トラップだわ」

「わ、トラップでごさるか?」

「西アムールで思い出したんだけど、コレと似た物を見た事があったの。ほら、この動物の上にある丸い包の様な物、コレはサカリ(麻塩)よ。よく儀式に使う」

「サカリ(麻塩)って、チム族や、北の魔女達が使う幻覚剤でござるか?」

「そう、それ。嘗て西アムールに居た『サランジュ』と言う陰陽術師の使う結界よ。無闇に触ったり、その近くに居ると強烈な幻覚を見せられるらしいの」


「「おおぉ!?」」


 どよめき慌て後ずさるギャスターズ達。


「ハイハイ」


パンパン手を叩きながらジェミイが寄って来た。


「カス共、ズウォーム隊長もお待ちになっている、馬鹿やってないで早く行くよ」


「「ウィっす」」


 ジェミイに突っ込まれギャスターズ達は、しぶしぶ歩き出し『SITL(犀川工科研究所)』の敷地内に入って行った。


 ギャスターズ達の通り過ぎた後、そこの壁には、ブルドックのイラストと、日本語で『ペットのフンはお持ち帰りください』と書かれてあった。


 午後の日差しが、傾き始めて来た頃だった……。


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