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7.SYSTEM OVERLOAD

  キース達は、『獣に乗る女』達を追いかける様に、ヴォルテスが壊して行った扉から、中に入って来た。


「やはり『嘆くメルデの地球儀』が示す場所はココの様ですね」


 キースが、水晶球を眺めながら言った。


「ここはえらくデカい地下施設だなぁ、何の研究していたんだ?」


 ベンが辺りを見渡しながらつぶやいた。


「おい、何だ?あれ見てみろよ、まるで巨大なペ○スみたいな機械」


 ベンが指した視線の先に、薄明かりの中に『転送装置』があった。


「確かジュネーブのTDエレクトロニック本社でも似た様な施設があったな」


 モブランが応えた。

 それを聞いてキースがチラリとモブランを見た。


「自分の賭け仲間にパーシーって奴が居ましてね、あの時、TDエレクトロニック本社内に潜入したメンバーだったんです、そいつのIDカメラに確かあんな機械が映ってたのを覚えてました」

「そうだったんですか」

「まぁ、ご存知かと思いますが、施設内に入った奴らは全滅だったので、おかげでカモが一人減りましたが」


 モブランはそのまま口元だけで笑った。


「これは、『転送装置』だと思います」


「て、『転送装置』!?」


 ベンが反応した。


「ジュネーブ本社の施設には、これと同じと思われる物が確かにありました。調査によると、TDエレクトロニック社では、数年前から、『転送装置』の開発を行って来ていたそうです。モブスが言っている通り、この機械もその『転送装置』かと思います。おそらく共同開発をしていたのではないでしようか」


「まったく、ジャップの考える事は、いつも理解出来んな」


 そう言ってベンは天を仰いだ。



 三人は、注意深くしながら奥に進んで行った。暗視ゴーグルを付けてはいるので視界は問題ないが、辺りには瓦礫や倒れたコンテナが散乱し、どこから敵が現れるかわからない状況だなのだ。

 遠くで何か崩れる音がした。

 シューシューと、何かが洩れている音もする。

 まるで迷路の様に、いくつもの曲がり角を曲がり、少し気が緩み始めたて来たその時――。


「ウ、ウワァーーーッ!!」


 ベンが急に叫ぶ。

 残りの二人も慌てて持っていた『バルチス‐MpA』の銃口をそちらに向けた。


 そこに見えた物は、辺りに水蒸気が立ち込める中にいる『獣に乗る女』達であった。


 ベンとキースが『バルチス』の引き金を引こうとすると……


「ベン待てっ!」


 モブランが制した。


「よく見ろ、コイツらみんな凍っているぞ……」


「「!?」」


 ベンとキースが、銃口を外し改めて見た。

 確かにそれは凍りつき動かなくなった『獣に乗る女』達だった。


「オ……オイ……、何んだこりゃ? コイツらみんな凍りついてるじゃねーか!! キースさんよォ、これは一体どういう事だ!?」


 ベンが目線を『獣に乗る女』達に向けたままに、キースにたずねた


「わかりません。しかし、どうやら『液体窒素』を被った様です」


 『獣に乗る女』達の更に上からクレーンに吊り下げられたままになっているタンクを指差して言った。


「誰か、コイツらに『液体窒素』をぶっかけて動かなくさせたんだ……」


 モブランが独り言の様につぶやいた。


「スゲェ」


 ベンが感心する。


 キースが辺りを見回したす。

 崩れたコンテナ

 瓦礫の山

 破壊されたエレカー

 自分達以外は誰もいない。


(誰がこんな事を……)



「へへへ、まぁいいや、手間が省けた。とっとと、コイツらブッ壊してやろうゼ」


 ベンが不敵な笑いを浮かべて『獣に乗る女』の一体に狙いを定める。


 チュイィィーーン

 ドドーーン!ドドーーン!


 白光と供に『獣に乗る女』に大穴が空き、轟音と火球に包まれる。


「こりゃ楽だ、ハッハーーッ!」


 ドドーーン!ドドーーン!ドドーーン!ドドーーン!


 ベンは『バルチス‐MpA』を乱射し、次々と破壊して行った。

 

 黒煙が立ち込め、『獣に乗る女』達から轟々と火柱が上がる。


「ガハハハハッ! アチッアチチッ、燃え尽きやがれクソったれ共めっ!」


 金属を溶かす程に『獣に乗る女』の燃える火力が強く、瓦礫に火の粉が飛ぶ、辺りの温度が上がり始めた。


「オイ、ベン危ないぞ少し下がれよ……」


 モブランが、ベンに注意しようとした時――


 シュバァァーーン!!


 燃えている『獣に乗る女』達の横にあった瓦礫の山が、急に爆発を起こした。


「何っ!?」

「!?」

「ウッ!!」


 爆発の勢いで、モブランは床を転がり、ベンは尻餅をつき、キースは飛んできた部品が直撃し、そのまま飛ばされ意識を失う。


「Mr.キースッ!?」


 持っていた『バルチス』を放り出し、慌てモブランが近付き、キースの身体を抱き起こす。

 かぶっていたヘルメットの隙間から、血が流れて来た。


「に、逃げろ、モブスッ!!」


 ベンが急に叫んだ。


「え?」


 モブランが見上げるとそこに巨大な影が、燃え上がる炎を背に、二人の前に現れていた。


「……あぁ……」


 モブランが絶句する。


 爆発の中から現れたのはヴォルテスとノストゥラ、『獣に乗る女』レヴィアスンだったのだ。


 二体の『獣に乗る女』はその姿を陽炎にゆらし、無機質な電子複眼で見下ろしていた。

 モブランは恐怖に身動き出来なかった。


 『獣に乗る女』達の両手に電磁ソードの青い輝きが現れた。

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