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6.SYSTEM OVERLOAD

  ジョーが、『獣に乗る女』達を相手にしている時、マリアはその様子を少し離れた瓦礫の所で観察していた。


(いったい、あの男は何者なんだ?)


 マリアは驚いていた。

 ジョーが『『獣に乗る女』達の注意をそらせてくる』と言った時、その行動に死を確信していたのだ。

 『獣に乗る女』達は、パヴァリア結社の最新装備を持つ私兵達が、てこずっている相手だ。むろんマリアやザキは別格として、一般人が武器も持たずに戦えるなんて事は有るはずはない。ジョーは祖父を逃がす為の時間稼ぎと言っていたが、数々の修羅場を経験して来たマリアから見れば、それは単なる『無知なる勇者』でしかないのだ。そんな事は弟のザキでもわかる事だろう。

 しかし、ジョーは恐れや怯えもなく、それをやってのけてしまった。それも何かしらの方法で、クレーンやエレカーを操り、まさに『獣に乗る女』達を一網打尽にしてしまった。

 そしてその前にあった、通気口からのザキへの指示。笑ってごまかしてはいたが、あの視界の中で『獣に乗る女』達の行動を的確に指示していたのだ。


(あの男がはめているゴーグルに、何かしら仕掛けがあるのか……それとも……)


 もう一つの可能性もある。バンダール姉弟の今回のターゲットである『冥約の王』と言う可能性である。依頼主のドマ枢機卿からの話しによるならば、予言では、怠惰なる王は、冥約の王となると書かれていたと聞く。

 とするなら『獣に乗る女』達との何らかの関わりがあり、その事によりはじめて『怠惰なる王』から『冥約の王』となる。だからバンダール姉弟はその時を狙い殺害するのだ。

 いずれにせよ、あのジョーと言う男が何かある事は確かな様だ。この後も、よく観察する必要があるだろう。


(面倒だから、いっそ片付けてしまっても良いけど、ザキも気に入ってる様子だし、もう少しだけ泳がせておくか……)


 マリアはターゲット対象にジョーを入れる事にしたが、殺すのはもう少し後にする事にした。



 ジョーは、瓦礫が張り付き小山と化したヴォルテスとノストゥラのすぐ前に仁王立ちに立っていた。


 ギギギギギギッ……ギギギギギギッ……。


 ヴォルテス達が何とか動こうとするが、磁力が強力過ぎて動かす事が出来ない。


「無駄だ、止めておけ。そいつの磁力は強力だ」


 ヴォルテスの黄色い電子複眼が覆い尽くした瓦礫の隙間からジョーを見ている。


「何のつもりで、どこから来たのか分からんが、沙織さんの仇を伐たせてもらった。ホントは全員、直接ぶっ壊してやりたいが、そこまでやれる武器も力も無いからな。それにもう少しすると、軍が来るみたいだから、後はそいつらに任せる事にする。お前達はそれまでそこでおとなしくしているんだな」


 チラリと他の『獣に乗る女』達を見る、しかし液体窒素により完全に凍りつて動く様子はない。


「じゃあな」


 ジョーは、三歩程、後ろに下がると振り返って、元蔵達の所に向かって走って行った。



『……ヴ、ヴォル…まんまと……ハメられたわね……』


 瓦礫の中でノストゥラが、ヴォルテスに話しかけた。


『GWOOO……こんなモノッ!』


 ヴォルテスが全身に力を込める。


 ガガッ……ガガガガッッ


 金属がこすれて軋む音が聞こえて来るだけで、瓦礫を跳ね飛ばす事は出来ない。


『バル、凍りついたベイマス達を動かす事は出来ない?』

『無理ね、先ほどから呼んでるけど、まるで反応が無いから。外にいるベイマスも呼んでいるけどコイツの磁力が強過ぎて届かないみたい』


 ノストゥラが他のベイマス達に召集をかけるが反応が無い。


『……ねぇ、ヴォル』

『どうした?』

『なぜあの男は、私達をこんな風に足留めにしたの?』

『どういう事?』

『我々の中で一番の剣の使い手のヴォルを見切る程の男でしょう? わざわざこんな手の込んだ事をする必要が無いんじゃない?』

『……時間稼ぎか』

『足留めさせるのが目的か、それとも……』

『……うっ……』

『ヴォル、どうかしたの?』

『どうやら、内部チップに磁気の影響が出始めたようだ、急に意識が飛びそうになった』

『この状況は非常に危険ね』

『金属体になったツケがこんな所で来るとは』

『このままだと、『ガフの月(妖星ニーブル)』が来てしまうわ』

『マズイいな、早くこの状況から脱出しないと『オネヴォルカノン』の通りに『ガフ匪図形』が起きて、『冥約の王』が我々の世界に行ってしまう』

『あの凍りついたベイマス達が、この瓦礫を破壊してくれば動けるのに』


 しかし、そのベイマス(ベイマス)達は完全停止したまま、いずれも動く様子はない。

 まさにヴォルテス達は八方塞がりであった。


 その時、ヴォルテスに破壊なされた入口から、遅れてキース達が入って来た。

 ヴォルテス達には最後のチャンスであった。



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