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3. Apocalypse at the Front

 スイス、ジュネーブ郊外、TDエレクトロニック本社


「総員退避ー、総員退避ーっ!」


 スピーカーに怒号が走る。

 それまで、劣勢ながらも果敢に応戦していた兵士達は、その場で武器を破棄し、MRAPⅡに飛び乗る者、自分の足で走る者、みな全速力で『TDエレクトロニクス社』の敷地外に逃げ始めた。

 『S・A・D』が注意を引き付け、その間にケガ人をトラックの荷台に乗せる。死体はその場に置いてゆく。


 「急げー、急げー、急げー!」


 小隊長達が、右手を振り回し急がせた。

 破壊された『S・A・D』、黒煙をあげる装甲車、墜落炎上する『ティーガーARH』戦闘ヘリ、その間を縫うように逃げる兵士達。

 全てが混沌としていた。


兵士達が撤退する様子を伺っていた朱色の『獣に乗る女』が、他の青紫色の奴に何やら話し掛けた。


『……』

『…』


 そして南の空に向き、大鎌を地面に突き立て首を前に倒す。

 その様子を、エリア外に退避したクライン中隊長が、遠視スコープで見ていた。


「クソったれ!アイツら気がつきやがった、早くしないと逃げられる……まだ爆撃機は来ないのか。」


 それに倣うように、他の『獣に乗る女』達も、全てその場で片膝を付いて首を前に倒していた。


 そのまま前に屈み込む姿勢をとると、一斉に、背中の一部が開き、中から、黒いパネルが、逆三日月状に広がりながら出てきた。

 その様子は、電波天文台などに立ち並ぶ、巨大なパラボナアンテナ群のように見えた。


 やがて南の空遠くから、音速に乗り『B‐2』爆撃機が姿を現した。


「遅いぞ! 早く焼き払えっ――」


『B‐2』爆撃機のパイロットに、声が届いたはずもないが、それでもクライン中隊長が叫んだとほぼ同時に、対地ミサイルのボタンを押した。



 眩むような閃光の後、熱と衝撃波が、竜巻となって『TDエレクトロニクス社』本社を破壊してゆく。

更に4発のミサイルが打ち込まれ、完全に施設は爆煙の中に消されてしまった。


 『B‐2』爆撃機から発射された誘導ミサイル『バンカーバスターGBU‐28(ディープスロート)』 その破壊力は凄まじく、厚さ6メートルのコンクリートを突き破り、地下30メートルの適にダメージを与える事が可能な高い貫通性能を持つ、『ディジーカッター』『クラスター爆弾』と並ぶメジャー殺戮兵器である。

 『TDエレクトロニクス社』本社ビルは、敷地ごと完全に瓦礫になるであろうと思われた。



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