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You spin me round
それを見た誰もが、目を疑った。
いや、実際にそうだったかは、女へ意識の大半を向けている僕には分からない。
でも、そうしないわけにはいかないはずだ。いよいよ尻尾を掴んだというか、そういう感覚があったと思う。
僕たちの抱く疑惑、僕たちの向ける視線は、それこそ死体に向けるような本能に起因する嫌悪や拒絶、好奇に他ならない。
そしていまこの好奇心が、おそらくは最高の山場を迎えるときなのだ。「あいつは何をやっているんだ?」と。
そんな中、女は瓦礫の中ほどで歩みを止め、しゃがみ込んだ。雪の中へ手を突っ込み、何かを探っているようだ。
雪をかき分けるたびに、白い指が赤みを帯びていった。さすがに冷たいらしく、やけに整った顔立ちの端々を歪ませている。
そしてその何かを探り当てたようで、今度は周りの雪を隅へ押しやり始めた。
おそらく、瓦礫の中のある表面を雪から掘り起こしたいのだろう。
もぞもぞと芋虫のような格好で作業に耽る姿は、ひどく醜く思えた。




