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The edge of glory

しかし、一種の怖いもの見たさのような感情が働いたのだと思う。のっぴきならない何かを白日のもとへ晒すためにも、僕は目線をそらすわけにはいかなかった。

女は携帯電話を切り、ふいに瓦礫の方面へ走り出した。今にも音を立てそうなくらい、蒸気を盛んに上げている。粟色のショートヘアが揺れ、赤熱した耳が見えた。


ここで僕は気づいたが、この現象はどうやら今日だけのことではないらしい。

得体の知れない熱気みたいなものにあてられた気がして、思わず目をやると、五人ほどの「連中」がすでにこちらへ視線を向けていた。どれもこれも炯々としたような具合で、少なくとも一介の通行人へ向ける視線とは到底思えない。

つまりここの誰もが、あるひとつのぼんやりとした事実を見抜き、疑っているのだ。


女はとうとう、瓦礫のさなかへと足を踏み入れていた。

他より少し低まった立地のそこは、むろん侵入のあとがあるはずもなく、今はまっさらの白い平地のようである。膝上ほどのチェックスカートをなびかせ、その体はひとつひとつ軽快に、地面へ靴底の陰影を作り出していた。

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