表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

Sweet sixteen girl

湿り気のある土を、疎らに割れた瓦が夥しく覆っている。しかし、宵からの雪により、今はその多くが隠れてしまっていて見えない。その中で、一筋の堀建て柱だけが、その土地のかつての姿を踏襲するように、白く立ち尽くしている。

ここはどうも家屋であったらしいが、小綺麗に整ったこの一角が、さながら夢の島のようなその体たらくを許すとは思えない。通りすがるだけの僕には真相を知る由もないが、とにかく奇妙な光景に間違いなかった。


立ち止まる僕を、期せず見慣れない制服が追い越した。

女だった。白い蒸気を上げながら、何やら携帯電話で話し込んでいる。カーディガンを着ているため、どの学校の生徒かは分からなかったが、背丈や骨の秀でた顔立ちからして、おそらく高校生だろう。

融雪された路肩のみぞれを、鈍く光るローファーで踏みしめながら歩いている。


もちろん、それを疑う余地はなかった。

夕暮れ時に、駅前のこの道を通る女子高生など、あの瓦礫の山とは違い当たり前の光景であり、いわば注目に値しないものに他ならないはずだ。

誰も気にとめるものはいない。気にしていないふりをしていなければならないのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ