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人を好きになる理由  作者: はすみ
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第5話:瀬野の女装

男子嫌いで鈍感な女子高生、蓮花はいつも遠くからさり気なく助けてくれる中学の同級生田中とは安心して会話ができるようになった。高校に進学し、田中とは真逆のタイプの瀬野と出会い・・・続きは本編でどうぞ・・・。

蓮花:美里、明後日から球技大会じゃん。なんか、体育の小野(先生)が張り切っててさ~、垂れ幕作るらしいのね、それ、今日の放課後実行委員で作るんだって・・・。


美里:え~、迷惑ぅ~(笑)。って委員ほとんど男子じゃなかった?あんた大丈夫なの?手伝いたいんだけどさ、あたし今日からバイト入っちゃってて、手伝えないんだ!ごめんっ蓮花!


蓮花:ううん、いいの。ありがと美里。3人女子いるんだけど、1人はバレー部で部活でしょ?もう1人は陸上部で部活・・・部活の人はそれ終わってからだから、まぁ・・・仕方ないやね!頑張るよ!



そこにクラスの瀬野が入っきた。



瀬野:垂れ幕作んのか?俺手伝おうか?


蓮花:いいっ!!


美里:あんたも男子じゃん・・・



美里はあきれた顔で言った。



瀬野:つうかさ、そんな無理して行くなよ。ブッちぎればいいだろ~忘れてたとか何とか言ってさぁ。


蓮花:そういうの、嫌いなの。美里、じゃぁ、行ってくる!!バイト頑張って!


美里:うん。



蓮花は教室を後にし、準備室へ向かった。



美里:あの子、小さい事でもさ、やっちゃったもんは最後までキッチリするタイプなんだ。


瀬野:そっかぁ。


美里:じゃぁ、あたしバイトだから!また明日!


瀬野:おぅ・・またな。



準備室―



蓮花が準備室のドアをガラガラっと開けた。



蓮花:(うわぁ・・男子だけ・・・吐きそう・・・ダメダメ!!やる事やって早く帰ろっ!)


小野(先生):お、3組の木内か、人数足りなくて大変だったんだ。文字に色塗ってくれるか?


蓮花:はい。



蓮花は、他の男子が布を切ったり、木を切ったりしている中で文字を書く担当になった。筆を取り文字に色を塗っていった。

蓮花が準備室に入って1時間くらいした時・・・準備室のドアがガラッと開いた。



蓮花:あれ?あんな女子いたっけ・・・?・・・!!!!


小野(先生):おまえ・・・確か3組の瀬野・・・だよな・・・。



準備室にいた、他の委員がドッと笑った。なんと、女装した瀬野が立っている。長いウィッグをつけて、スカートをはいていた。



瀬野:シャレだよシャレ!!手伝えればなんでもいいだろ!?


小野(先生):まぁ、いいが、そういう趣味か?


瀬野:っちっげぇよ!!


周りの委員:なんだよ瀬野!!おまえ笑かすわー!!アハハハハ!!



瀬野は、つかつか歩き、蓮花の隣で筆を取り、一緒に作業を始めた。



蓮花:ちょ・・・なんなのあんた!どうしたのそのスカート!


瀬野:あ?演劇部から借りてきた。


蓮花:ぷっ!!ハハハハ!!



蓮花は、お腹を押さえながら笑った。



瀬野は、蓮花の笑顔を見て驚いた。



瀬野:(なんだ・・・笑う事もあるのか・・・)うるせっ、早くやるぞ!!


蓮花:う・・・うん・・ぶくくっ・・(笑)


瀬野:笑うなっ!結構綺麗だろ!!


蓮花:確かに綺麗!でも無理ー!(笑)



瀬野は恥ずかしかったが、蓮花の笑顔を見て、なんだか満足だった。

そして、無事に垂れ幕が完成した。



小野(先生):よ~し、みんなありがとな!気をつけて帰れよっ。



瀬野:木内、送るぞ。


蓮花:ぶくくっ(笑)、いいよ。早く着替えてきなよ。ぶくくっ(笑)。


瀬野:いつまで笑ってんだよっ、ちょっと待ってろよ!



瀬野はそう言い残すと、着替えに準備室を後にした。



蓮花:あっと・・・瀬野っ・・あ、行っちゃった。



蓮花は帰る為靴箱へ向かって瀬野を待った。すると着替え終わった瀬野が来た。



瀬野:・・・待っててくれたのか・・・。


蓮花:あー、一応ね。



2人は歩きながら話し出した。



瀬野:送るよ。もう遅ぇし。



グラウンドではサッカー部が部活をしていた。


ディフェンス甘ぇぞ!!おい、もっとそこ攻めろ!(監督の声も響いている)


佐藤(田中のクラスメイト):お、委員終わったみたいだぞ。あれ蓮花ちゃんじゃね?男子だらけの垂れ幕作成行ってたんだな。ボイコットしなかったんだ。


田中:・・あいつそういう奴じゃないんだ。



そういうと、佐藤が横を歩いている瀬野に気付いた。



佐藤:横にいるの3組のイケメン君瀬野だな。


田中:・・・・。



田中は顔を伏せ、方向を変えて歩きだした。



佐藤:・・・・・・そういう事か・・・。



そして正門―



蓮花:送らなくていい!!あんた逆方向だし!!


瀬野:あー、わかったよー・・・また明日なぁ。



瀬野が歩きだす。



蓮花:瀬野!!



瀬野はびっくりして振り返る。基本男子には、『ねぇ』、『ちょっと』、『あのさ』で話掛ける蓮花が初めて名前で呼んだからだ。



蓮花:今日はありがとう。



蓮花はまっすぐ瀬野の目を見てお礼を言った。



瀬野:いや・・・



蓮花:瀬野、私ね、男子苦手なの少しずつなおればいいなって思ってんの。だからね、すぐには無理だけどね、ゆっくり頑張るよ。だからね・・・大丈夫だよ。本当にありがとう。


瀬野:そっか・・・今日の女装はウケ狙いだ!盛り上がるかなーと思って冷やかしだよ。しかし、初めてな、木内がまともに話してくれんの。


瀬野は複雑そうに笑いながら言った。


蓮花:あはは。私も初めてだよ、女装までする人!じゃ、また明日!


瀬野:お、おぅ!!(笑顔)また明日な!!。



瀬野は蓮花の後姿を見送った。



瀬野:・・・・。



瀬野は蓮花の実直さに少し戸惑うと同時に、今まで感じた事がないような気持ちになっていた。

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