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人を好きになる理由  作者: はすみ
価値観
45/49

第45話:優しさ

男子が苦手だった蓮花はクラスメイトの瀬野と付き合うことになり、父親とも和解しつつあった。そんな中、田中の友人、佐藤が美里の事を好きになり・・・続きは本編でどうぞ・・・


夕方美里は学校が終わるとバイト先の喫茶店へ向かった。裏口から喫茶店へ入ろうとすると、同じバイト生の椿(他校生)が同級生と話をしている様子だった。なんだか険悪なムードが漂っていたが、この光景を目にするのはバイトを始めてから実は3度目くらいだった。




美里は、椿に話かけた。




美里:椿~、早くお店入らないとマスター怒るよ~(笑)行くよっ。


椿:あ!!そっか!!・・・あの・・・それじゃぁっ。




椿は女子達にそう言うと、美里に続いて店内にそそくさと入って行った。




美里:お疲れ様です!


マスター:お~みさっちゃん、椿ちゃんお疲れ!今日も宜しくねぇ。


美里:はぁい!



美里と椿が喫茶店のロッカー室に入ると、同じくバイト仲間の未央(他校生)が先に来ていた。



未央:お疲れ美里~。


美里:あ!お疲れ!


椿:お疲れ~。


美里:今日もバイト頑張ろうねぇ!


椿:・・・うん!


未央:元気だな美里は!



美里はエプロンをつけると笑顔で店内に入っていた。



未央:・・・ねぇ椿、さっきの人達ってこの前の人達でしょ?


椿:・・・・うん。


未央:あんだけあたしが言ったのに、まだ?


椿:・・・・うん、ごめん。


未央:椿は謝らなくてもいいよっ!悪いのはあいつらじゃん!あたしあぁいう人達って許せないんだよね!!椿口数少ないからいい気になってんじゃん!?どうなのそれっ。


椿:・・・・。


未央:今日もお金いくらかあげたの!?


椿:・・・・だって・・・。


未央:っも~!!ダメだよ!今度きたらあたしまた言うからね!この前はあたし見て帰って行ったけどさ!!


椿:・・・・あ、大丈夫だよ・・・何とかするから・・・。


未央:大丈夫じゃないよっ、美里ちゃんにも手伝ってもらおうかなっ。



マスター:お~い、2人とも準備できたか~?



店内はお客さんが増え始め、騒がしくなってきた為、マスターが2人を呼びに来た。2人は慌ててロッカー室を出て、店内に行った。



未央:すみませぇんっ。


マスター:今日も頼むよ~。




美里が勤めている喫茶店は人気も高く、夕方は主に会社帰りのOLで賑わっていた。今日は美里と未央が9時まで、椿は8時までのシフトだった。




PM8:40-



店内が少し落ち着いてきた頃、ドアが開いた。



『カランカラン♪』



美里:いらっしゃいませ・・・あ!!


佐藤:来るっていってたでしょ~?



佐藤は、店内に入るとカウンターに座った。



美里:まさか本当に来るとはっ・・・。


佐藤:え~俺どれだけ信用ないのよ~・・・´`。


美里:・・・けど、部活帰りに何食べる?・・・・。


佐藤:俺甘いもの好きだし大丈夫だよ♬とりあえず、珈琲って言いたい所だけど・・・やっぱコーラと~・・・何があるかなぁ~。腹減った。


美里:軽食食べる?サンドイッチとかになるけど・・・。


佐藤:うん!それ!!


美里:了解!!




美里は佐藤のオーダーを聞くと、カウンターの方へ行き準備をしていた。




未央:ねぇねぇ美里ちゃん、あの人美里ちゃんの彼氏っ?格好いいね!


美里:違うし・・・(ーー;)


未央:そうなのっ!?サッカーやってるんだねっ部活帰りっ。スポーツマンで背も高い!


美里:・・・んーそうだね・・・(ーー;)



店内の客はいつの間にか佐藤だけになっていた。



美里:はい!サンドイッチとコーラ!


佐藤:わぁうまそ~!いただきまぁす!美里ちゃん9時まででしょ?


美里:うん。


佐藤:じゃぁ、あと少しだね、一緒に帰ろうよ。


美里:・・・うん、お家一緒の方向?あたし北方面だよ?


佐藤:俺も北!


美里:そっか・・・一人で食べておいしい?(笑)


佐藤:美里ちゃんと帰るのが目的だから全然おいしいよ(笑)!


美里:・・・・あっそ!ていう間に9時だしっ。ゆっくり食べてね!食べてる間、あたし後片付けしてるし、待つから。


佐藤:嬉しい事言ってくれるなぁ~はぁい!



美里は少しあきれ加減で答えたが、悪い気は全くしていなかった。美里が食器を洗っていると、未央が話しかけてきた。



未央:ねぇ、美里ちゃん、椿の事なんだけどさぁ、あの子同級生からカツアゲあってるみたいなんだよね、今日も裏で!許せなくない!?

あたしあぁいう弱い者いじめみたいなの許せなくって!1度追い払ってやったんだ!

椿がさぁ!何も言えないのにつけこんでる感じだよね!


美里:・・・。



お店は緩やかな音楽が流れていたが、カウンターでサンドイッチを食べていた佐藤にも何となく話は聞こえてきていた。



未央:うちらでさぁ、何とかできないかなっ!でなきゃ椿かわいそうだよっ!絶対あたし許せない!


美里:うーん・・・未央の気持ちは解るけど、これは椿の問題だから。


未央:美里ちゃん、同じ未央のバイト仲間でしょ?何とも思わないの!?


美里:思わなくはないよ・・・けど、うちらが何とかしても意味ないよ。しばらく見守りなって。


未央:・・・・・何それっ、あたし美里ちゃん見損なった!


美里:・・え!?


未央:美里ちゃんなら何とかするって思ったから言ったのにっ。じゃぁ、美里ちゃんはどういう考えなの!?このままほっとけって言うの?


美里:・・・・・。



美里は食器を洗い終わると、水道の水を止めた。



美里:きつい事言うようだけど、大丈夫?


未央:・・・・え?・・・・大丈夫だよ・・・。


美里:あたし、椿からカツアゲの事何にも聞いてないよ。これは椿の問題で、椿が自分で何とかしたいって思わないと何にも解決しないんだよ。そして、椿がカツアゲされてるのを、未央は私に言って、その相手を追い払ったとか言ってたけど、それって椿の為なの?


未央:・・・そうだよ・・・。


美里:・・・本当に椿の事を思うなら、カツアゲされてたとか自分がそいつらを追い払ったとかは第3者に言っちゃだめだよ・・・あたしが椿なら、カツアゲされてたとか人に言われたくない。

あたしは、椿が自分であたしに相談してきたら助けるよ。椿がそうしたいって思わなくちゃ意味ないと思ってるから。言ってこない所見ると、椿にも何か考えがあるかもしれないし、今あたしにできる事は、現場を見かけたら、一緒に店内に連れてったり、バイト中、椿が余計な事考えないように楽しくバイトできるようにする事くらいだよ。



未央:・・・・・・・そっか。



未央は何だか恥ずかしくなってきた。



美里:ただ、もしもよ、椿が助けて欲しいって思ったとして、それで関係が成立してるならそれはそれで良いと思うけど・・・あたしそれも何か違う気がして・・・まずは椿が動かなくちゃ意味ないと思ってる。

そこには依存しか存在しない気がするよ。人によるけど・・・。だから、今回の件は、椿があたしに本気で相談してきたら、あたしは全力で助けるよ。それまではあたしなりに見守るよ。限界まで。



時間は9時30分になっていた。そこへマスターが気を利かした様に入ってきた。



マスター:おいおい、もう9時半だぞ!ごめんよ~気づかなくて~。



美里:あ!もう9時半なんだ、未央!帰ろう!拓!ごめん!!遅くなった!!


佐藤:いいよ~裏で待ってる~。



佐藤は笑顔で答えた。



美里:マスターお疲れ様でした!


未央:お疲れ様です。


マスター:うん、明日も宜しく頼むね。



美里と未央はロッカー室へ行きエプロンを取ると、急いで裏口から出た。



佐藤:お疲れ~美里ちゃん。


美里:ごめんね、ありがとう。


未央:あのっ・・・美里ちゃん!



美里が未央の方を見ると・・



未央:今日はごめんなさい。


美里:・・・ううん、いいよ・・・言い忘れたけど・・・あたし、未央みたいに正義感ある人好きだから・・・全く無い人なんかより全然好き。


未央:本当?


美里:そういうの大事でしょ。


未央:あたし美里ちゃんに嫌われたとか思ったけど・・・そっか・・・なんか恥ずかしい!自分目線でしか見れてないあたしっ!美里ちゃん、これからも宜しくねっ!


美里:勿論!こちらこそ宜しくね!


未央:うん。宜しく!あ、彼氏さんもごめんなさい。


佐藤:いいんだよ~。


美里:彼氏じゃないしっ!!!


未央:アハハ。それじゃぁ、また明日!


佐藤:帰り遠いの?


未央:・・・ううん、すぐそこです!


佐藤:送らなくて大丈夫?


未央:っ全然っ!大丈夫です!うち見えてるしっ・・・あの、ありがとうございますっ。


佐藤:タメだからタメ語でいいし~。


未央:タメなの!?先輩かと・・・ありがとう!


佐藤:気をつけてね~。


未央:はい・・・あ!うん!それじゃぁ!



そう言うと未央は走ってその場を去った。



美里:・・・本当にごめんなさい。


佐藤:ううん、全然いいよ~こうして一緒に帰れてる訳だし~。


美里:けど30分くらい待たせて・・・。


佐藤:言ったろ~?俺気が長いって~(笑)


美里:サッカーでも気が長いの?


佐藤:サッカーでは超短気(笑)!


美里:アハハっ、だよね1度試合見に行った時すごい顔違ったもんね。


佐藤:あ~あの惚れ直してないって言われた事件だっけ~´`。けど俺今日美里ちゃんもっと好きになったけど~。


美里:え?


佐藤:美里ちゃんやっぱ優しいよね~。


美里:???えぇ??・・・ちょっときつかったかなって自己反省してたし・・・。


佐藤:けど、自信もってちゃんと自分の意見を言ったんでしょ~?


美里:うん勿論・・。


佐藤:じゃぁ、自己反省はいらないよ。


美里:そうかな・・・。


佐藤:そうだよ。美里ちゃんの一生懸命で精一杯の優しさなんでしょ?


美里:・・・・うん。


佐藤:伝わって幸い、伝わらなきゃそれまで・・・今回は伝わったみたいだね。良かったね。


美里:・・・・・拓・・・ありがとね。


佐藤:名前で呼んでくれたの3度目だね~(^^♪嬉しいなぁ~♬



美里は佐藤といるとなんだか落ち着いた。



美里:だ~!!柄にもなく熱く語っちゃってぇ!!聞いてくるからぁ~!恥ずかしいよ~今日は~っ。


佐藤:美里ちゃんって、普段あんまり言葉にしてる様でしてないからねぇ~。色んな美里ちゃんが出てくるけど、俺全部好きだけど~。


美里:好き好き言うなっ!


佐藤:だって好きなもんは好きでしょ~?

















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