第42話:美里と蓮花
男子が苦手だった蓮花はクラスメイトの瀬野と付き合うことになり、父親とも和解しつつあった。そんな中、田中の友人、佐藤が美里の事を好きになり・・・続きは本編でどうぞ・・・
佐藤:あのさ~美里ちゃんはさ、なんで蓮花ちゃんと仲良くなったの?ちょっと興味あってさぁ~。
美里:・・・蓮花と?ええっとねぇ~・・・
中学回想-
中学時代の美里は男女問わず仲良くなれるタイプだったが、女子とつるむのを苦手としていた。
一方、蓮花は入学当初は容姿端麗で男子中心に騒がれたが、本人の男子嫌いが災いして、次第にその噂は広まっていき、隠れファンという感じにおさまってきていた。
美里も蓮花もタイプこそ違ったが、校内ではどちらも目立つ存在だったのでお互いに認識はしていた。
そして、美里は1人で行動する事が多かったが、蓮花も大概1人で行動していた。というのも蓮花は、男子に騒がれるがゆえに、女子から反感をかう事も多く、そういった事がさらに災いして男子嫌いに輪もかかっていっていた。
中学3年で同じクラスになった後も1学期はほとんど会話する事なく過ぎた。その頃蓮花は、男子絡みの逆恨みもごく1部だったので、一緒につるむまではいかなかったが、次第に女子とは仲良くできる様になっていた。
そんな夏休み前のある日、1つの事件が起きた。
女子集団:美里ちゃん、絵里がさぁ河野くんの事好きって知ってるよね・・・?
美里:うん、知ってるけど・・・。
女子集団:美里ちゃん最近河野くんと話す事多くない?絵里がかわいそうだよ。
美里:あー・・・そうなんだ・・・だけど、話してるだけで別に好意がある訳じゃないよ?
この頃美里は女子の独特な連帯感が苦手で、女子とつるむのを苦手としていた。
女子集団:そうだけど、こういう時はさっ協力するもんじゃん!
その様子を席が近かった蓮花は、見てはいなかったが、聞こえてきていた。
蓮花:・・・・。
美里:協力って・・・あたし言ってる事よく解んないんだけど。
女子集団:解んないってっ!美里ちゃん冷たいっ。
美里:え?冷たいって・・・協力って・・・そういう・・・。
女子集団:ねぇ!蓮花ちゃんもそう思うでしょっ!?
女子がいきなり前を向いて座っていた蓮花に問いかけた。
蓮花:は?
蓮花は少し冷めた顔で振り返り、女子集団を見渡して言った。
蓮花:全然冷たくないと思う。
女子集団:えっ!?蓮花ちゃん美里ちゃんの味方なのっ!?
蓮花:あたしはどっちの味方でもないよ。ただ、加藤さんは冷たくないと思うよ。
蓮花は感情的にならず、淡々と答えた。
美里:・・・・。
女子:だって絵里がかわいそうじゃんっ!?
蓮花:思わないよ?河野くんと話さない事が優しさなの?な訳ないでしょ?河野くんは物じゃないし、そこは自由だよ。
もっと他に協力の仕方あると思うし、屈折してるよ。
女子:あたし達はただっ・・・絵里の為にって・・・。
蓮花:それは解るよ。それが屈折してる。私は、誰かの為ってそういう事じゃないと思う。
蓮花は女子集団の方をまっすぐ見て、堂々と自分の意見を伝えた。
女子:・・・。
いつも言葉少ない蓮花がはっきりと意見を言ったので、女子もビックリしたと同時に、何も言う事ができなかった。
美里:・・・いや、もういいよ・・・。
蓮花:良くないよ。
美里:え?
蓮花:加藤さんちゃんと協力してるでしょ。絵里と河野くん話できる様にアシストしてるでしょ、だから、加藤さんに謝って!
女子集団:・・・・・・・そうだったんだ・・・・美里ちゃん、ごめんなさい・・・・・。
美里:いや、別にいいよ。
女子達は、気まずそうに、そそくさとその場を去っていった。
美里:・・・なんか・・ありがと・・・。
蓮花:別に。自分があぁいうの苦手なだけだし、だから自分の為だよ。お陰様でスッキリした。こちらこそ余計な事してごめんなさい。
美里:え?
その瞬間、美里は大笑いした。
美里:アハハハハハッ!何それ~っ。自分の為ってっ。
蓮花:だって加藤さんは別にどっちでも良かったでしょ?
美里:・・・確かに、どっちでも良かったけど・・誤解されようが、されなかろうが・・・けど、単純に嬉しかったから、ありがとう。
蓮花:・・・そ。
この件以来、美里と蓮花はよく話をする様になり2人で行動する事も増え、いつの間にか親友になっていった。
喫茶店ー
佐藤:へぇ~(´∀`)そんな事がね~。
美里:あたしが唯一本音で色々話できる友達かなー蓮花は。多分、あん時、加藤さんの為にっとか言われてたら、余計なお世話とかくらい言ってたかもしんない・・・。
佐藤:なんか蓮花ちゃんに妬いちゃうな~。
美里:は?
佐藤:美里ちゃんと蓮花ちゃんの馴れ初めも聞けたし~、次は水族館行こうか~(´∀`)♪
美里:うん、いーけど。