第4話:中学の時のガールズトーク
男子嫌いで鈍感な女子高生、蓮花はいつも遠くからさり気なく助けてくれる中学の同級生田中とは安心して会話ができるようになった。高校に進学し、田中とは真逆のタイプの瀬野と出会い・・・続きは本編でどうぞ・・・。
教室―
美里:そういえばさ、昨日委員の前に田中に会ったよ。あいつも実行委員なんだって?
蓮花:うん。
蓮花の回想―中学生―
クラス全員の英語の宿題ノートを持って、少しフラフラしながら廊下を歩く蓮花。
蓮花:(おっも~、だけど往復したくないし!!がんばれあたし!!)
そこに田中が通りかかる。部活道具を忘れたので教室に取りに帰る途中らしい。
田中:職員室までだろ?半分かせよ。
蓮花:いいよ!自分でやるから!
聞かず、3分の2くらいを奪い取る田中。
蓮花:あ!!
田中:先行くぞ!
蓮花が男子が苦手だとわかっている田中は、いつも距離を置きながら蓮花を手伝った。田中はみんなに優しかった。そんな中で男子が苦手だという蓮花を田中なりに理解しての行動だった。
そして次の日―
蓮花は朝の靴箱で田中に遭遇。
蓮花:田中くん、おはよう・・・あの・・・昨日はありがとう。
田中の目をみてお礼を言う。
田中:おはよ!俺、ほせ~けど結構力はあるぞ(笑)。力アピールがしたかったんだ!
蓮花:ぷっ!なぁにそれ!
普段、男子と話す時にあまり笑わない蓮花は口角を上げて笑いながら言った。その笑顔を見て田中は少し照れた。
その日の夕方。秋の真っ赤な夕日が3階の教室の窓から奇麗に見えた。部活をしている人の声が小さく聞こえてくる。蓮花は窓際に座って友達とガールズトークをしていた。
友達:蓮花ってさ!すごい人気あるのにさ、男子とほっとんど話さないじゃん!告白されてもさ、片っぱしからフリまくってるし!なのに田中とは話すよね!
数人の女子が蓮花を囲みながら話をしている。
蓮花はおどおどしながら言った。
蓮花:そ・・そうかな。
友達:だけどさ~!田中って、全体的に普通だよね~(笑)声だけはでかいけど!てか、名前も田中だし!!普通~。蓮花が男として意識する訳ないっか!唯一男を感じないから、話せるのかもー!
周りの女子:そうかも!それだ!
蓮花:ち・・ちが・・
その時、教室のドアを開ける音がした。体育祭の打ち合わせで職員室に行っていた、田中と美里が教室に戻ってきたのだ。
蓮花は声がでなかった・・・。
田中:・・普通ってなんだよ!俺ラッキーじゃん!木内男嫌いだろ?じゃぁ俺それに入ってねぇって事は嫌われてねー!ラッキ!
全部聞こえていたらしい・・・
田中は笑顔で言った。
美里:どぉんだけポジティブなんだか!今から部活でしょ?早く行って男磨いてこい!!
大笑いしながら美里は言った。周りの女子達も一緒に笑う。
田中:おぅ、言われなくても行くわ!んじゃ、木内また明日な!
蓮花:・・・・・また、明日・・・。
田中は、教室を後にし部活へ行った。周りにいた女子達も教室を後にした。
友達:美里、蓮花またね~!
蓮花は泣き出しそうな顔をしていたが、それを止め、何も言わず、美里と一緒に教室を後にした。
蓮花:美里、うちらも帰ろ!
美里:・・・うん、もう秋だから寒いしね。早く変えろ。そういえばね、今日夕日がすっごい真っ赤で奇麗だったよ。
次の日田中は、普通通り蓮花に挨拶をしてきた。
田中:木内おはよ!
蓮花:・・・!!
蓮花はその場から消えてしまいたかったが、田中の目をまっすぐ見て挨拶をした。
蓮花:田中くんおはよう・・・それから・・・ありがとう。
この時、何を言っても言い訳になる様な気がした蓮花は、それ以外に何も言わなかった。