表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人を好きになる理由  作者: はすみ
コンプレックス
32/49

第32話:蓮花の決意

男子嫌いで鈍感な女子高生、蓮花はいつも遠くからさり気なく助けてくれる中学の同級生田中とは安心して会話ができるようになった。高校に進学し、田中とは真逆のタイプの瀬野と出会い・・・続きは本編でどうぞ・・・。


翌日―



職員室へ来ていた蓮花は、担任からプリントの入った段ボールを教室へ持って行くように頼まれた。



蓮花:失礼しましたぁ。


瀬野:それ持ってくのか?


蓮花:うん、全然重くないから大丈夫だよ。


瀬野:いいから貸せって。持つし。


蓮花:大丈夫大丈夫。


瀬野:頑固だな。いいから貸せって。


蓮花:いいってば!!ほっといて!!



蓮花は少し大きな声で、瀬野に言ってしまった。



蓮花:(はっ!!)・・・・。



蓮花は中学時代を思い出した。



蓮花:・・・・・・・。


瀬野:何だよご機嫌ななめかぁ?



瀬野は蓮花の頭をそう言いながらポンポンと撫でた。



蓮花:・・・・。


瀬野:怒ると思ったか?(笑)、な訳ねぇだろ~。行くぞ、教室ー。


蓮花:(あたし大バカだ・・・だから瀬野を好きになったんだ・・・瀬野のこういう所が・・・・やっぱりどんどん好きになるばっかりだ・・・・胸が痛い・・・・)



教室―



美里:ねぇ、蓮花、あんた瀬野と何かあった?



蓮花はその言葉を聞いて、涙目になった。



美里:!!ちょっ!!・・屋上行こ!!



察した美里は蓮花を連れて慌てて屋上へ行った。




屋上―




蓮花:ううっ・・・。


美里:どうしたのぉー?


蓮花:あんなに・・・っあんなに寄るな・・とかっ、うぅっ言っといて・・・・あんなに最初うっとぉしかったのにっ・・うぅっ・・・いつの間にか瀬野が・・・瀬野の事がすごい好きになっててっ・・・わぁぁぁぁー!!



蓮花は空を向いたままわんわん泣きだした。



しばらくして・・・



美里:落ち着いた?


蓮花:・・・ん・・・ごめんなさい。


美里:いいよ。



蓮花は土曜日の看病の事や、今までの経緯を美里に話した。



美里:・・・で、瀬野に好きな子いるから今のうちに距離を取ろうと・・・?


蓮花:瀬野といるとさ、あいつのいい所がどんどん見えてきて、切りなくて・・・そんなんだったら距離取っとけばさ、見えなくなるじゃん。

今までのままでいないと瀬野にも迷惑だろうしさ、気使わせるだろうし。


美里:あのさ蓮花、あんた瀬野の何を見てきたの?


蓮花:?


美里:瀬野は今まであんたをちゃんと受け止めてきたじゃん。だったら気持ちもちゃんと受け止めてくれるって。大体瀬野が迷惑とか思う訳ないじゃん。あいつそんな奴じゃないよ。


蓮花:・・・・そっか・・・・自分の事しか全く見えてなかったかも・・・。


美里:そうだよ。蓮花が好きになった人でしょ?瀬野を信じなよ。じゃなきゃ瀬野に失礼。迷惑かもって思うって事は、自分も下げてるし何より相手も下げて見るって事だよ。そういうスケールで瀬野は周りを見てないと思うよ。


蓮花:・・・ごめんなさい・・・あたし田中くんにもきちんと言わなくちゃ。


美里:そうだね・・田中もきっと受け止めてくれるよ・・・。


蓮花:ありがと・・・美里・・・。


美里:ううん、あたしは蓮花が瀬野みたいな人を好きになって嬉しいよ。あいつバカだけど本当にいい奴だもんね。


蓮花:・・・・ううっ。


美里:ひどい顔~泣かない泣かない。あたし先に教室戻っとくね。落ち着いたらおいでね。


蓮花:ん。



美里は教室に戻るため階段を下りて行った。すると、降りる途中で田中に遭遇した。



田中:おう。


美里:おっす・・・。


田中:木内知らね?


美里:あー・・・・今、屋上居るけどー・・。


田中:・・・そか、ちょっと行ってくる。


美里:田中!!


田中:・・サンキュ加藤、大丈夫だよ。


美里:・・・・(いい奴・・・)。



蓮花が屋上でボーっとしていると、ドアが開く音がした。蓮花は慌てて隠れた。



蓮花:・・・田中くん?


田中:おっす。


蓮花:・・・。



田中は蓮花の目が赤いのに気付いた。



田中:・・・昨日・・・瀬野と何かあった・・?


蓮花:・・・・何もないよ・・。


田中:・・・木内、俺さ、今度もう一度木内に告白するって言ったよな。



蓮花は2度頷いた。



田中:俺、木内がまだ好きなんだけど・・・。



蓮花はまたその場で泣きだした。



田中:!!えっ!!


蓮花:違うの・・・ちが・・・あたし、中学の時から・・・うぅ・・田中くんの事尊敬して・・て・・・すっごく感謝してて・・・むしろ田中くん好きなんだけど・・・・ううぅ・・。


田中:・・・・瀬野?


蓮花:・・・ん・・ごめんなさい・・。


田中:・・・そっか・・・やっぱな・・・。


蓮花:?


田中:あいつ真っ正面から木内にぶつかっていってたろ?あれってリスク高ぇのによくやるなって思ってた・・・。俺にはできねぇなって・・・ちょっと思ったんだ・・・。


蓮花:・・・ごめんなさい・・・。


田中:木内が謝る事ねぇよ・・・正直に言ってくれてありがとな・・・これからは友達として宜しく・・・。


蓮花:・・・田中くんありがとう・・・あたしに何かできる事ある・・・?


田中:んー・・・じゃぁ・・・木内映画好きだろ?今度土曜映画行かね?最初で最後のデート。


蓮花:・・そんなんでいいの・・・?


田中:行ってくれんの?


蓮花:私でよければ・・・。


田中:そっか!土曜な!・・・俺先教室戻るな!


蓮花:・・・ん。




教室―




瀬野:おい美里、蓮花は?


美里:・・・えー・・・今ちょっと・・。

瀬野:気分でも悪いのか?


美里:違う違う、もう少ししたら教室戻ってくるって!


瀬野:・・・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ