第31話:遠くなる距離
男子嫌いで鈍感な女子高生、蓮花はいつも遠くからさり気なく助けてくれる中学の同級生田中とは安心して会話ができるようになった。高校に進学し、田中とは真逆のタイプの瀬野と出会い・・・続きは本編でどうぞ・・・。
月曜日―
瀬野:蓮花!おっす!
蓮花:瀬野・・具合良くなった?
瀬野:お陰さまでー。
蓮花:良かったぁ。
田中:木内!土曜応援サンキューな!
廊下を通りかかった田中が話掛けてきた。
蓮花:あ、田中くん!おはよ。
瀬野:お~っす。サッカー勝ったのかよ。
田中:当たり前だ。木内応援来てくれたからなぁ。
瀬野:(--〆)・・・!!
蓮花:大げさぁ~(笑)。
田中:アハハ!大げさじゃねぇよ!じゃな!
瀬野:!!!
田中は4組の教室へ入っていった。
蓮花:美里おはよぉ~。
美里:あ!おはよ!
瀬野:おっす。
美里:ねぇ蓮花!金曜から蓮花の好きな監督の映画始まるじゃん。行くの?
蓮花:勿論!チェック済!
瀬野:お前映画好きなの?
蓮花:大好きー。
瀬野:監督までチェックしてんの?
蓮花:キャストで決める事もあるけど、大体監督は必ずチェックするよ。
そこへ若干空気の読めない、クラスメイトの高橋が入ってきた。
高橋:何だ~?瀬野フラれたのかぁ?
瀬野:何だよ!!
高橋:だってよ~瀬野がフラれてる所面白いだろ~?(^◇^)
高橋は瀬野からまた殴られた。
高橋:<(`^´)>いってぇ!何だよぉ!
瀬野:うるせぇお前は!!
高橋:片思いだからって焦んなってぇ!!
瀬野:!!!
瀬野は高橋を引きずっていった。
高橋:だ~!!美里ぉ!助けてくれぇ!
美里:((-_-;)高橋にもバレてんのかよ・・・アホくさ・・・)
蓮花:(・・・・やっぱ瀬野好きな子いるんだ・・・・なんか・・・・思ってたよりショック・・・)
蓮花は体に衝撃が一瞬走った感じがした。
お昼―
美里:蓮花ぁ!お弁当食べよ!
蓮花:うん!
2人が中庭に向かっていると、瀬野が女子と会話していた。すると、話が終わり、美里と蓮花に気付いた。
瀬野:お前ら弁当か?
美里:あんたはまた告白か?
瀬野:違ぇよ!
美里:相手はそんな雰囲気じゃなかったけどぉ?あんたも鈍感だからねぇ~。
瀬野:そうなのか?
美里:さぁ~お弁当食べようかぁ蓮花!
瀬野:無視かよ!お前らどこで食うの?
美里:うちらいつも中庭だよ。晴れてる日はね。
瀬野:俺も一緒食うわー。
美里:え~じゃま。
瀬野:何でだよ!!そんな事ねぇだろ!蓮花!?
蓮花:どっちでもいいよ・・・。
瀬野:どっちでもいいも冷てぇなぁ・・・。
美里:ほら瀬野行くよ。休み時間無くなっちゃう~。
3人は中庭でお昼を食べ始めた。
蓮花:瀬野いっつもパンでお腹空かないの?
瀬野:減るぞ。弁当くれんの?
蓮花:別にいいけど、パンくれんなら。
瀬野:えっ!!くれんの?
蓮花:食べたいんでしょ?あたしパン1つで大丈夫。
瀬野:やったぁ!これ咲さん作ったのか?
蓮花:ううん、あたし。
瀬野:!!・・・・頂きます!!
美里:(うれしそー・・・笑)瀬野が弁当作ってくれって言ったら作ってくれる女子いっぱいいんじゃないの?
瀬野:知らん奴の弁当食えっつぅのかよ。
美里:そぉんなデリケートだったのぉ(笑)?
瀬野:そういう訳でもねぇけどなぁ・・・。
3人はワイワイ話ながらお昼を食べた。
美里:さぁ!!教室戻るか!次体育で100Mだよね・・・↓思いだしたぁ・・・。
瀬野:今日男子と一緒だな。ご馳走様!!
蓮花:・・・わ、空っぽだぁ!
瀬野:当たり前だ!上手かった!サンキュ。
美里:蓮花!あたしちょっと職員室行くから先に帰ってて。
蓮花:うん解ったぁ!
美里は職員室へ走って行った。
瀬野:・・・蓮花、今度の土曜あいてたら映画いかね?お前映画好きなんだろ?俺も好きだし。これ(お弁当)と土曜日のお礼。
蓮花:・・・いいって!気にしないで!あたしが勝手にした事だから!
瀬野:そっか・・・。
蓮花:お前何かあった?
蓮花:?
瀬野:気のせいか?様子がおかしいぞ。
蓮花:何でもないよ!気のせい!教室戻ろう!
瀬野は、蓮花との距離が近くなったと思っていたが、急に遠く感じ出していた。
グラウンド―
美里:蓮花はいいよねぇ~足早いからさぁ・・・↓
楓:蓮花ちゃん早いんだぁ!
美里:中学ん時も全校リレーとか出てたよ。
楓:すっごぉい意外ー!
蓮花:アハハ!
楓:あ!男子の方も始まってるー。
美里:本当だね。次瀬野か。高橋もいる・・・。
楓:わ!瀬野!ダントツで早!!
蓮花:本当だー・・・(瀬野ってあんな格好良かったっけ・・・・はっ!!)
美里:あいつ何でも器用にこなすなぁ・・・。
楓:次うちらだよ美里ちゃん!!
美里:あ゛~緊張してきたよぉぉ。
蓮花:頑張れっ!
男子の部―
高橋:お?美里が走ってる・・・結構早ぇな・・・まぁまぁか?お!瀬野!次木内だ!
瀬野:本当だ・・・あいつ走れんのかな・・・。
高橋:スタートした!
蓮花は5人でスタートしたが、風を切る様にダントツで早かった。それを見ていた女子達もザワついていた。
瀬野:おー!!早ぇ!!
高橋:・・・意外・・・。
瀬野はニッコリ笑っていた。
高橋:・・・お前の彼女じゃねぇからな。
瀬野はまた高橋を軽く殴った。
瀬野:うるせぇ!!
高橋:<(`^´)>いてぇー!!
3組は体育の授業を終え、教室へ戻って行った。
美里:瀬野~、あんた足早いねぇ!
瀬野:言ってなかったか?
美里:いや、見て改めて驚いたぁ!
瀬野:格好良かっただろ?
美里:足早かったよ~。
瀬野:おい・・・会話ズレてねぇか・・・お前わざとだろ(--〆)・・・つうか、蓮花早ぇのな!
美里:うん、中学ん時からダントツで早いよ。
瀬野:へぇ~。
そこへ蓮花がフラッと入ってきた。
瀬野:お前相当足早ぇな!
蓮花:あー見てたんだ。うん、走るのだけは得意。
瀬野:俺見てたかー?
蓮花:うん、見てた。超早かった。
瀬野:格好良かったろー?
蓮花:うん。
瀬野:!!・・・お前そこはつっこんどけよなっ!照れるだろ~!
蓮花:?え?
側で美里はクスクス笑っていた。
その日の放課後―
美里:蓮花ぁ!あたしバイトだから帰るねぇ!
蓮花:うん、頑張って。また明日。
美里は掛け足でバイトに向かった。
瀬野:蓮花帰んの?
蓮花:うん帰るよー。
瀬野:じゃぁ、帰りにマックおごる!
蓮花:大丈夫だってーまぁたお礼でしょぉ?(笑)それに・・・
瀬野:それに?
蓮花:瀬野、好きな子いるって言ってたし、誤解されちゃうよー。
瀬野は蓮花の言葉に少し腹立たしさを感じてしまった。
瀬野:・・・何でお前がそれを言うの?
蓮花:・・・何でって・・・今まで考えれなかったあたしが悪いよ・・・。
瀬野:誰にどう思わるかは俺が考える事じゃね?大体俺がそうしたくても?
蓮花:そうしたいって気持ちがあるだけであたしは十分だから。瀬野優しいから、気にして言ってくれてるんでしょ。ちゃんと伝わってるよ。だから本当に気にしないで。
瀬野:全然伝わってない。
蓮花:?
瀬野:全然伝えられてない。
蓮花:伝わってるって。
瀬野:じゃぁ俺とはもうどこへも行けないって事か!?
蓮花:行きたくないっていうか・・・そうじゃなくって・・・・。
瀬野:俺、何かした?
蓮花:してないよ・・・する訳ないじゃん。
瀬野:俺嫌いになった?
蓮花:・・・・・なる訳ないじゃん・・・。
蓮花はとても困った顔をしていた。
瀬野:!!・・・・あ、悪い・・・困らせるつもりは全然ない・・・・すまん。
蓮花:大丈夫、本当にありがと。それじゃね・・・・。
蓮花は泣きだしそうだったが、我慢して靴箱まで走った・・・その様子を部活へ行こうとしていた田中が見ていた。状況を何となく察した田中は蓮花の後を追い掛けた。
田中:木内・・・?
蓮花:!!・・・田中くん!
田中:・・・今から帰りか?
蓮花:うん!田中くんは部活・・・だね・・・
田中:あぁ・・・何かあった?・・・。
蓮花:ううん!大丈夫!・・・部活頑張って!
田中:・・・・解った・・・気をつけて帰れよ。
蓮花:ありがと・・・。
教室―
瀬野:(・・・感情的に話すって・・・俺最低・・・近くなったと思ってた距離が遠いなぁ・・・お礼なんてただの口実なんだよ・・・)