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人を好きになる理由  作者: はすみ
コンプレックス
30/49

第30話:気付き

男子嫌いで鈍感な女子高生、蓮花はいつも遠くからさり気なく助けてくれる中学の同級生田中とは安心して会話ができるようになった。高校に進学し、田中とは真逆のタイプの瀬野と出会い・・・続きは本編でどうぞ・・・。


蓮花:(拒否らない・・・・て・・・あたしと瀬野の距離って今どんくらいなんだろう・・・すごく近い気がするけど・・あたしこれに慣れてる・・・)


瀬野:体温計ってくるわ。


蓮花:・・うん。切ったら部屋持ってくよ。プリンもいる?


瀬野:あぁ、いる。


蓮花:(男子ってみんなこんなに近いもんなのかな・・・瀬野だけかな・・・田中くんとは・・・また違った距離感だな・・・瀬野に慣れすぎた?・・・あれ?・・・解んなくなってきたな・・)



蓮花は瀬野の部屋へメロンとプリンを持って行った。



蓮花:瀬野入るよー熱どう?


瀬野:37.5度。


蓮花:さっきよりはましか。シャツ着替えて、これ食べて、薬!ね!?あたしまたリビング居るから。


瀬野:はいはい、サンキュ。



蓮花が部屋から出ていくと瀬野は言われた通りにシャツを着替えて、薬を飲んで横になった。


しばらくしてから蓮花は瀬野の様子を見に行ったら、瀬野は、薬のせいかぐっすり寝入っていた。



蓮花:朝熱下がってるといいけど・・・。



蓮花はそのまま瀬野のベッドの横に座り込んだまま寝入ってしまった。



AM3:00-



瀬野はふと目を覚ました・・・。月明かりが窓の隙間から差込、ベッドにもたれかかる様に寝ている蓮花が目に入ってきた。瀬野は蓮花の手を握りそのまま寝入った。


AM8:00-



蓮花:・・・・ん・・・・朝・・・・あたし寝ちゃったんだ・・・。



蓮花は自分の手を握ったまま寝入っている瀬野に気付いた。



蓮花:(・・・手・・・)



蓮花はそっと手を離した。



蓮花:(・・・何で握ってたんだろ・・・)



すると瀬野が目を覚ました。



蓮花:!おはよっ。


瀬野:・・・寝ぐせすげ。


蓮花:瀬野もね(笑)。


瀬野:恥ずかしー・・・。



瀬野はうつ伏せになった。



蓮花:いいから、ちょっと熱計ってみて(笑)。



瀬野は熱を計ると・・・



瀬野:36.5度!


蓮花:やったぁ!よかったぁ!熱下がったね!瀬野おかゆ食べれる?


瀬野:あぁ、食べる。サンキュ。



瀬野はクスリと笑った。



蓮花はキッチンへ行き、おかゆを作っていると・・・



蓮花:・・・ねぇちょっと、すごい見られてて緊張するんですけどっ。


瀬野:や~なんかいいなぁって思って。


蓮花:は?


瀬野:俺もう1回熱だそうかな。


蓮花:あんなきつそうだったのにぃ(笑)?


瀬野:だってお前来てくれるし。


蓮花:強制的にそうなるの(笑)?


瀬野:強制だろ~。


蓮花:瀬野から強制されたい女子いっぱいいそうだね(笑)。


瀬野:何だそれっ。呼ぶかよっ。つかその前に家に上げるかっ。


蓮花:・・・あたし・・。

瀬野:蓮花だから上げたに決まってんだろっ。

蓮花:そか。


瀬野:当たり前だ!!


蓮花:信用してくれてありがとね。


瀬野:信用・・・つうか・・・(こいつは本当に鈍いな・・・(-_-;))。なぁ・・・お前は風邪んなったのが他の奴・・・田中とかでも看病したのか?


蓮花:?うん。美里でも田中くんでもこういう状況だったらしたと思うよ?


瀬野:・・・・そっか・・・お前の特別にはどうやったらなれるんだ・・・?


蓮花:・・・?あたしの特別・・・?


瀬野:・・・や・・・何でもね・・・おかゆできた!?


蓮花:あ・・・できた・・。



蓮花はおかゆと果物を瀬野の所へ持って行った。


蓮花:あのさ・・・あたし瀬野にすごい慣れちゃってて、迷惑じゃないのかな・・・全部受け止めるって言われてから多分あたし、全然遠慮なくなってってるし、瀬野は本当にあたしを拒否らないし、どんどん距離近くなってってる気がするしっ。


瀬野:迷惑な訳ねぇだろ・・・。


蓮花:あ・・・そ・・・。


瀬野:俺と距離近くなるのは嫌か。


蓮花:・・・嫌じゃない・・・だから困ってんの。


瀬野:?は?


蓮花:よく解んない・・・・だって・・・・。



蓮花は瀬野と話をしているうちに段々自分の気持ちに気付いてきた。瀬野との距離が近くなればなる程に瀬野に惹かれていく自分に気付いたからだ。

これ以上近くなると今以上に瀬野の事を好きになる事になる。そうなると、きっと自分が辛くなるだろう事を想像していた。


瀬野の受け止める発言から素の自分で飾る事なく初めて男子と向き合う事ができた蓮花は、自分のコンプレックスに一緒に正面から逃げずに付き合ってくれた瀬野が、いつの間にかすごく特別な存在になっていたのだ。蓮花の間合いに瀬野は既に入っていた。



蓮花:なんでもないや・・・おかゆ冷めちゃう。


瀬野:頂きます!!


蓮花:どうぞ・・・(瀬野と近くなるのは私は嫌じゃないけど、私の近いと瀬野の近いに差が出だしたら・・・ちゃんと距離を取らなくちゃ・・・これ以上は甘えらんない・・・)・・・薬ちゃんと飲んだら、あたし片づけして帰るよ。具合もよくなったみたいだし。


瀬野:もう帰るのかよー・・・咲さんか健三さんに電話掛けてよ。俺お礼言うから。


蓮花:あ、うん。



蓮花は祖母に電話を掛けた。



祖母(咲):あ、蓮花?どう?瀬野くんの様子は?


蓮花:大丈夫だよ、本人に代わるね。


瀬野:もしもし!


祖母(咲):まぁ、瀬野くんお久しぶりねぇ!具合はどぉお?


瀬野:お陰さまで熱もすっかり下がりました。ありがとうございます。健三さんは?


祖母(咲):おじぃちゃんは朝から近所の人の家に囲碁に行ってるのよぉ。瀬野くんから電話あった事はきちんと言っておくわね。わざわざありがとね。


瀬野:いえ、こちらこそ。


祖母(咲):また家にご飯食べにきてね(^◇^)。


瀬野:是非。ありがとうございます。


祖母(咲):蓮花には適当な時間に帰ってきてって伝えてちょうだい。それじゃぁね。


瀬野:それじゃ。


瀬野は電話を蓮花に渡した。



蓮花:もしも・・あれ?切れてる(笑)。


瀬野:適当な時間に帰ってこいだと。


蓮花:そか(笑)。帰ってお風呂入って寝よ!


瀬野:・・・本当にサンキューな。


蓮花:いいよこれくらい!具合また悪くなったら電話してね。


瀬野:あぁ。



蓮花は後片付けをし初めた。



瀬野:後は俺適当にやるよ。疲れてんだろうから、家早く帰って休め。うちで休んで帰ってもいいけど。


蓮花:・・・うぅん、大丈夫。ありがと。


瀬野:送るよ。


蓮花:病み上がりにやめてよっ!ゆっくし休んでよねっ。また心配なるじゃん。


瀬野:・・・そか・・。


蓮花:そだよ。じゃ、帰るねあたし。


瀬野:うん、また学校でな。


蓮花:うんまたね。



瀬野は少し寂しかった。本当は蓮花を思い切り抱きしめたかったが、理性で押さえながら蓮花を見送った。

蓮花もまだ瀬野のそばに居たかったが、言い出すのも変な話で、そのまま帰宅した。

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