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『じゃじゃ馬』

作者: 4E

 さて、お目覚めかな。

 とりあえずは初めまして、といったところか。

 まあ、どういうことかというとだね。キミは買われたんだよ、僕に。

 いやぁ、安い買い物じゃあなかったよ。これでも普通の勤め人でね、キミを買ったせいで貯金はすべてパーさ。

 でも、キミみたいなのを所有するのがずっと夢でね、後悔はしちゃいないよ。

 そういうわけで、さっそくだけどキミを堪能させてもらおうか。大枚をはたいただけの見返りはしっかりいただかないとね。

……へぇ、おとなしそうにみえてずいぶんとイイ声で啼くじゃないか。こいつは楽しみだ。

 それじゃ、外に行こうか。僕のモノになったキミの姿を他の人にも見せてあげないと。

 いやぁ、緊張するねぇ。まぁ、キミと一緒に外に出るのは初めてだから当然か。

 おっと、暴れたって無駄だよ。これでも腕には自信があってね。キミを押さえつけるぐらいは造作もないのさ。

――っぅ、おいおい、暴れるなと言ってるだろ。こんな往来でそんなに注目を浴びたいのかい?

 ふぅ……、オーケイ、ならばいいさ、好きなだけ暴れてくれ。人の目なんてかまうもんか。

 ほら、どうだ? こう、押さえつけられたらさすがのキミも暴れられないだろう。

 ハハハ、すごい悲鳴だね。道行く人がみんな、僕とキミを見てるよ。まったく、コイツはとんだ羞恥プレイだ。でも、警察にだけは気をつけないとね。もし僕が捕まったらキミとはしばし離ればなれになってしまう。それだけはごめんさ。

 それにしても、キミはまだ暴れるのかい。やれやれ、本当にたいしたじゃじゃ馬だな。

 しかたない、それなら場所を変えよう。街から離れて山のほうへ行こうじゃないか。そこなら好きなだけ無茶をできる。

 言っておくけど容赦はしないよ。僕は絶対にキミをモノにしてみせる。

 じゃあ、行こうか…………クソッ! なんてこったい! もう、ガス欠だって!?

 おいおい、大食いだとは聞いていたけどこれほどとは。ほんと手のかかるマシンだよ、キミは。


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