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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

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#遅れました。

作者: 白菜
掲載日:2026/01/04

 新年へのカウントダウンで街は騒がしくなっていた。六日前まではクリスマスって騒いでいたくせに。有り余った元気を年末に解放するなら街を掃除して欲しい限りだ。

「なんで年末にボランティアなんか…」

今、俺は清掃ボランティアをしている。渋谷のゴミを拾うだけ。空き缶やタバコ、お菓子や弁当箱などを集めてばかり。ほんと、首が痛くなる作業だ。唯一の娯楽としてイヤホンで音楽が聴けること以外は特に感想はない。下だけを見て、ゴミを見つけて、拾う。何度も何度も繰り返して、気づけば今年も残り20秒だった。自販機でコーヒーを買って俺もカウントダウンしよう。10、9、8…

「ごめん───」

誰かに背中を押され、縁石に躓く。横転し、振動が体に伝わる。この振動は───平穏な日常を過ごしてたタクシー運転手は新年早々にタクシーで人の頭を潰した。


 なんなんだ全く。またここからかよ。

『後2回だよ!』

「わかっているっつーの!!」

目の前の電光掲示板を蹴る。頭が痛くなってきた。

「はぁ…」

ため息を吐くと少しだけ頭が冴えた。さてさて、いきなり死んで申し訳ないが俺は2025年からギリギリ出られない。2026年になろうとすると2025年12月31日0時00分に戻されてしまうのだ。最初は訳がわかんなかったが、もう慣れてしまった。起きたら目の前に電光掲示板があり、『後2回だよ!』と表示されていた。死んでも死んでも表示は変わらず。たぶん0にしたらいいんだろうと思いながら今日も死にに行っている。死んだ回数は、えっと……48個と三本だから…243回。ここまで来ると頭が冴えてくる。自分でもびっくりだ。

「えっと…18時からボランティア。覚えてろよ、俺。」

なぜボランティアに行こうと思ったのかはもう覚えていない。普段の俺なら絶対に行こうと思わないだろうな。きっと、善行をしたかった気分だったんだろう。空いている時間は『2』にまつわることについて調べている。二進数、二枚舌、第二ボタン……

「わかんねー……人間の俺には無理だって…」

唯一のヒントは『2()』であること。2回すればいいことであること。2個や2体ではなく2回。つまり、何回かすればいいことである。行動であることしかヒントは無い。これじゃ何年かかるやら。でも諦めたら俺は毎日あの痛みを…?ふざけんな。

「二番煎じ…やった。二頭身…違う。モルダウ…んー、ありかも。」

2回できることは沢山やった。ゲームで"優勝"、高級な酒を"飲む"、爆音で音楽を"聴く"。200回目の年末にはバンジージャンプもした。けど違うらしい。

「モルダウって河の名前なんだ…」

楽器屋に足を運ぶ。もちろん目当てはピアノ。

「えっ!?20万……楽器って金かかるんだなぁ…」

死にすぎて周りの目を気にしなくなったからこそのノンデリカシーな発言。店員に嫌な目で見られていることはまだ知らない。

「とりあえず3万の電子ピアノでいいや。」

買ってきた。それにしてもあの店員目つき悪かったなぁ。帰り際にサラダチキンを二つ買った。

「楽譜は…あった。」

ちなみに音楽経験は0。楽譜すら読めないので、一からだ。たぶん全部頭に入れるのに、5回は死ぬ必要があるだろう。まずは鍵盤からだな。ここは───

ドォォン!!!


 なんなんだ全く。またここからかよ。

『後2回だよ!』

「わかっているっつーの!!」

目の前の電光掲示板を蹴る。()()()()()()()()()()

「…なんだ?爆死?」

ここに来て初めてのパターンだ。死ぬと最初に怪我をした箇所が後から痛むことは何回も死んでいるからわかっていた。しかし爆死なんて初めてだ。しかも最悪だ。()()()()()()。壁に刻んでいた正の字が吹き飛んだ。パソコンとメモとピアノが生き残ったが、代償に壁一面を失った。これで生活しろと?皮肉なことに電光掲示板は無傷。こいつさえなければ俺は新年を迎えれるのに。ていうか()()()()()()()()()()()()なぜ?今までと違いすぎる。

「まぁ…とりあえずサラダチキン二回食べるか。」

やけに冷静な俺。2026で簡単に死にそうだな。電光掲示板に変化はなし。今日も調べていくか…

「壁、修復…は今はいいや。二次関数…やった。瓜二つ……ん?」

少し引っかかった。モルダウがどうでも良くなるくらいには引っかかった。

「双子…もう一人……()()()()()()()()。」

ドッペルゲンガー。もう一人の自分であり、自分の分身である。顔、身長、髪型まで同じであり、見たら死ぬと言われている。詳しく調べると、ドッペルゲンガーは『自己像幻視』とよばれ、医学で説明できるところとできないところが存在するらしい。都市伝説として扱われるが、もし存在するなら。

「2回……()()?」

ピアノなんか買ってる場合じゃなかった。


 確かに俺は2回やっていないことがある。()()()。万引きやひったくり、もっと酷いのだと強盗や殺人。俺にはまだ理性があるからやっていない。ただ、今日から始めようと思う。この部屋のものだけはループから抜け出している。もちろん、俺は例外だ。だから前回買ったピアノもここにあるのだ。それは18回目のループでわかった。しかし、外の世界は皆同じ。何回も何回も同じ会話、同じ行動をしているのだ。それなのに俺の分身なんて見たことない。とりあえず、人を殺す感覚を掴もうと思う。

「また銀行から下ろすのかよ…めんどくさいな……」

いつものラフな服に着替えて出発。とりあえずスクランブル交差点へと向かった。包丁と軽めの殺意を持って。

「時間いっぱいまで分身探すか…」

爆死はたぶん家にいたからだと思う。家で傷を得て死ぬなんてそうそう無いからだ。それにしても人が多い。こんなんじゃ顔なんて確認できやしない。自分を探しまくって気づけば夜11時。ぞろぞろと新年の祝いとして人が集まってきた。死ぬ前に感覚だけ。

「やるなら罪悪感が残りそうな人だな。」

そう言いながら歩き始める。白いコートを着た金髪ロングの女性。彼女の肩を二回叩く。

「んっ?」

振り向いたとこを心臓に一刺し。簡単に刃が入り、服が赤色に。綺麗な人を刺してしまったな。殺すってこんな感覚なんだ。やけにあっさりしていて、深く心が傷つく。240回も死んでなきゃ耐えられなかっただろうな。

「…くっ…がっ…ふざけっ…」

彼女が生きてた。手には血まみれの包丁が。足元がふらつく。動かない。

「お前も死ね……」

彼女の吐血が顔にかかる。そのまま俺の胸に刃が刺さる。2026まであと4秒だった。


 なんなんだ全く。またここからかよ。

『後2回だよ!』

「わかっているっつーの!!」

目の前の電光掲示板を蹴る。胸が痛くなってきた。

「…これ無理じゃね?」

もし本当に自分がもう一人存在するとしたらこの地球上から探さなければならない。そいつは東京にいないかもしれないし、日本にいないかもしれない。じゃあ俺はなんでこんな必死になっているんだ?いるかもわからない存在を探し回って死ぬだけ。ならモルダウを二回弾いたほうがマシではないか?

「……がぁぁぁっ!!くそっ!くそっ!!なんだよっ!くそがっ!くそがっ!!」

とうとう正気を保てなくなりました。俺は狂ってしまいました。ただ、頑張って抑えてた ものがあふれました。俺はたぶんここで永遠に過ごします。みなさんも よいお年をおすごしください。

今回の死因:轢殺

今回の死因:刺殺

今回の死因:轢殺

今回の死因:轢殺

今回の死因:撲殺

今回の死因:毒殺

今回の死因:轢殺

今回の死因:刺殺

今回の死因:自殺『首吊り』

今回の死因:自殺『飛び降り』

今回の死因:自殺『飛び降り』

今回の死因:轢殺

今回の死因:自殺『飛び降り』

今回の死因:撲殺

今回の死因:自殺『首吊り』

今回の死因:自殺『首吊り』

今回の死因:自殺『首吊り』

今回の死因:自殺『首吊り』

今回の死因:自殺『首吊り』

今回の死因:自殺『首吊り』

今回の死因:自殺『首吊り』

今回の死因:自殺『首吊り』

今回の死因:自殺『首吊り』

今回の死因:自殺『首吊り』

今回の死因:自殺『首吊り』

今回の死因:自殺『首吊り』

今回の死因:自殺『首吊り』

今回の死因:自殺『首吊り』

今回の死因:自殺『首吊り』

今回の死因:自殺『首吊り』


 この世界に()()()の人間は自分含めて3人いるという説があるらしい。科学的にはもっと多いと言われている。この説をドッペルゲンガー説と呼んでいいかと言われたら答えはNOだ。顔だけが同じであり、他の特徴が違えばそれはドッペルゲンガーではなくただの()()()だ。話は変わるが、ある街には顔が似ている双子がいた。ある日、弟が犯罪を犯したという。しかし捕まったのは兄だった。この話が物語っていることは一つ。()()()()()()()()()()()()()()()()

ドォォォォン!!!!!ドォォン!!ドォォォォン!!!

爆音が連続で響いた。俺はどこが爆発したか知っている。爆心地は渋谷と目黒。仕掛けた爆弾は合計12個。全て驚異的な破壊力を持っているはず。やれることはやった。そして絞り込んだ『2回』の正体。

()()2()()()()

三回目の轢殺の時に奇跡的に発見した俺と顔が似た人物。びっくりしたのはほくろの位置まで一緒であったことだ。こいつを殺せば…と思ったが俺は立ち止まった。『2回』であることを思い出したのだ。こいつを殺して1回。では、残り1回は?死んでも目覚めてしまい、顔を上げれば『後2回』と光っていた。じゃあ、俺が生きた状態ではなくてはならないといけないのか?そして二回目の飛び降りでまた奇跡は起きた。目黒に俺がいた。金髪だったが、あれは俺だ。だがどうやって渋谷の俺と目黒の俺を殺せばいいのか?ここで思い出す背中の痛みと吹き飛んだ壁。

「渋谷と目黒の俺を爆殺すれば俺を2回殺したことになるはず。ただこれは確証が無いから普通にギャンブルだなぁ。ただ、散々蹴り飛ばしたお前が0になる瞬間が容易に想像できたよ。」

『後1回だよ!』

「何度も首吊りながら作った12個の爆弾も不安だったよ。あれで爆発するのか分かんなかったからさ。()()()()()()()()()()()()。お前の『2回』も。俺の努力も。過去の経験も。信じるしか無かったからここまで来たんだなって思えたさ。ありがとう。楽しかったよ。」

『後0回!』

電光掲示板の光は一度消えたが、もう一度ついた。

『おめでとう!君を元に戻すね!』

『僕も楽しかったよ!ありがとう』

今回の死因:圧殺。ただし不可解な点あり。


 珍しく俺は早朝に起きた。スマホを手に取り、時間を確認する。

『1月1日7:28』

なんか変な夢を見ていた気がする。それが初夢だったが全く覚えていない。これから思い出すこともないだろう。寝ぼけたままSNSをチェックする。ネットはあけましておめでとうございますの文字で溢れかえっていた。なら俺も波に乗っかろうと思う。

「何を投稿しようかな…ちょっと遅れちゃったしタグ付けとこ。」

『#遅れました。 あけましておめでとうございます。』

あけましておめでとうございます。短編を書きたいなと思っていながら気がつけば一年が終わってました。私の長編も全然進まなくて本当に申し訳ないところです。苦戦しているところがあり、全く表現が思いつかないのです。そして読み返すほど欠点が見えてしまい、モチベが右肩下がりです。だからこそ短編に逃げたらそこそこ楽しくて逆効果でした。まぁ、言い訳はさておき、今年は長編に真剣に向き合っていきたいですね。一話ずつ完璧と思えるようにしっかり考えて構成していきたいと思います。2026年も未熟な私をよろしくお願いします。

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