エンドマン???
エンドマン
影がこっち向いた瞬間
廊下の温度がすうっと下がった
寒いとかやない
空気そのもんが薄うなっていく感じ
息を吸っても胸に入ってこない
影の中で 何か蠢いた
顔の無いはずの黒が
ゆっくり形を変えていく
人の輪郭なんかちゃう
もっと別の
言葉にできん “何か” や
少女がぽつりと言った
「出てきたな
エンドマン」
その言葉を聞いた瞬間
胸の奥がずきんと痛んだ
覚えがなくても
体のほうが先に恐がっている
エンドマン
終わりを告げる男
本を開いた者の“最後”を見せる影
足が震えてうまく動かへん
逃げたいのに逃げられへん
エンドマンは
昔の自分の後ろから
するり と廊下へ出てきて
その長い腕をこっちへ伸ばした
その動きが
遅いのに速い
近づいてくるのが分かるのに
次の瞬間にはもう目の前や
やめろ
やめろや
喉が声を出そうとしても
音にならん
少女はぜんぜん怖がってへん顔で言う
「触れられたら
君の“終わり”が始まるで」
冗談みたいに言うてるけど
目が笑ってへん
むしろ楽しんどる
エンドマンの指先が
自分の肩にふれた
瞬間
視界が真っ白になった
耳鳴りが爆発したみたいに広がった
足元が割れて崩れ落ちる
どこへ落ちてるのか分からん
ただ
遠くで少女の声だけが聞こえる
「まだ始まりやで
終わりはこれからや」
白い世界の中心で
エンドマンがゆっくり形を変える
今度は
“自分の姿” になっていく
泣きたいほど嫌な予感がした
自分の“終わり”を見せるために
エンドマンは
自分に化けるらしい
白い世界の向こうで
もう一つの自分が
こちらに向かって笑った
えんどまん




