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夢乃本  作者: マーたん


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10/15

暗闇で消えた画面の代わりに 足元が急にきしんだ

まるで何かが床板の下を這っているみたいな沈み方やった

俺は慌てて一歩下がったけど 時間の流れが重く引きずられていく

ここ どこなんや

電車やなくなってる

壁は白いはずやのに全部が灰色の霧みたいに揺れとる


カサ

聞こえた

壁の向こうで何か動いた

動いた後 すぐにそこだけ黒く変色していく

腐ったみたいな黒じゃない

もっと深くて 触ったら取り返しのつかん色

その黒がじわじわ広がりながら部屋の形が勝手に変わっていく


この部屋 開いたな

突然背後から声がして跳ね上がった

振り返っても誰もおらん

声だけが部屋の四隅に貼りついとる

まるで息をひそめて笑いこらえてる子どもみたいやけど

笑ってるのは子どもちゃう

もっと歪んだ何かや

もっと こっちを知っとる何かや


開いたらアカンぞ

開けたら戻られへん

声が重なっていた

一人やない

何十人もの囁きが壁から滲み出とるみたいに聞こえる

部屋がずっと生きてる

俺を見てる

そう感じてしまう


手が震えるのに スマホを取り出した

まさかの真っ黒

画面に触れた瞬間

指の跡が残った

その跡がぬるっと動いて勝手に線を描き始める

何してんねん

指 離しても線は止まらん

勝手に文字を描く

やめろ

やめろって言うてるのに



その文字を見た瞬間 部屋の温度がすっと下がった

背中が勝手にぞわっと逆立つ

逃げろってことか

それとも


出ていく場所なんかないやんけ

部屋には扉も窓も無い

そう思った瞬間

灰色の壁がじわっと開いた

人一人入れそうな縦長の裂け目

その向こうは真っ暗

何も見えへん

でも

何か居る

居て こっち見てる

そう分かってしまう


部屋が囁いた

行くんやろ

選んだんやろ

最後まで読もうや


その声と同時に背中を何かが押した

呼吸が止まった

身体が裂け目の中へ一歩踏み出す

そしてもう戻れへんって

瞬間的に理解してしまった



























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