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底辺配信者だけどダンジョンで人気探索者を助けたら、なぜかやべぇ女として大バズりしてみんなから怖がられている  作者: 北町しずめ


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 玲奈は深呼吸をして、気を取り直す。


「これで最後だ。あの魔王っぽいのを倒せば攻略完了だ」


 玲奈は熱のこもった視線で綾乃と小春を見ると、腰から剣を抜いた。


 魔王がまとう膨大な魔力に気圧されていたが、綾乃も剣を抜き、小春も両手を構える。


 玲奈は握った剣に有りっ丈の魔力を流し込でいく。複数の属性が同時に付加されていき、剣が虹のような七色の輝きをまとった。


:代表の剣が光り出した!

:いろんな色が光ってる!

:複数の属性をエンチャントしたか!

:混合魔法エンチャント!

:あれ火力がヤバイことになってんじゃねぇの!


 切り札を発動させた玲奈が目を向けてくると、綾乃は頷いた。二人で肩を並べて、駆け出していく。


 魔王は玉座に座ったまま、悠然と右手を持ちあげると、綾乃と玲奈を指差してきた。二人の足元に魔法陣が浮かびあがる。


 ハッとすると、綾乃と玲奈は両側に分かれて跳んだ。その直後、地面を突き破るように、巨大なツララが生えてくる。


:いきなりでっかいツララが出てきた!

:魔王の魔法か!

:ムラサメちゃんも代表も無事だ!

:貫かれてたら危なかった!


「小春くん!」


 玲奈から名前を呼ばれると、小春は魔法を発動。狙いを定めて、両手から光の弾を発射する。


 魔王は玉座から立ちあがろうとしない。座したまま、無造作に左手を振るう。たったそれだけの動作で、飛来してきた光の弾を払い除けた。そらされた光の弾は壁に衝突して爆散する。


「ぜ、ぜんぜん効いてない……!」


 自分の魔法攻撃がかすり傷さえつけられないことに、小春はたじろぐ。


:小春ちゃんの魔法攻撃を片手だけで弾きやがったぞ!

:小春ちゃんは人気こそないけど、若手ではトップラクスの魔法使いなのに!

:あの光の弾にもかなりの魔力が込められてた!

:それがまったく通じないとか、どうなってんだよ!


 魔王の計り知れない戦闘能力に、コメントが荒れる。


 魔王は嘆息すると、右手を前に向けてきた。その掌が発火し、紅蓮の火の玉が撃ち出される。


 飛来してくる紅蓮の炎に、小春はギョッとした。


 すかさず、玲奈は走り出す。小春を庇うために炎の射線上に立つと、七色に輝く剣を振った。斬撃が火の玉に触れて炸裂し、玲奈は後方に吹っ飛ばされる。


 尻もちをつかないように左足で踏ん張って体勢を保つが、大量の魔力をそそいだ七色の輝きは剣から失われてしまう。装着した白銀の鎧も黒ずんで、半壊していた。


:代表のエンチャントが消えた!

:あれ一回使用するだけでもすごい魔力を消費するのに!

:たった一発で複数エンチャントを消し去るとか、あの火の玉どんだけ威力高いんだよ!

:鎧着てなかったらダメージもらうところだった!


 魔王は続けて、人差し指を立ててくる。玉座の左右にある空間が発光すると、そこに二つの魔法陣が描かれた。バチバチバチッと、双方の魔法陣が音を立てて明滅し、鋭い稲妻が連続で撃ち出される。


「玲奈さん!」


「っ……!」


 立ち止まっていては危険だと、直感で理解した綾乃は駆けまわる。玲奈も名前を呼ばれるのに先んじて走り出していた。飛んでくる稲妻は爆音を轟かせて土煙を噴きあげる。それが、間断なく何発も襲いかかってきた。


 綾乃と玲奈は息せき切りながら全力疾走することで、辛うじて回避していく。


「やっぱり、かなり強いようだね」


 魔王が繰り出す魔法攻撃を眺めていたミヨリは微笑む。今回のダンジョン配信の最後を飾るのに、相応しい強敵だ。


 ミヨリも人差し指をピンと立てる。その指先で、バチバチと電撃が弾けた。


:ミヨリちゃんの指先がバチバチいってる!

:雷魔法か!

:ミヨリちゃんの電撃なんだか色が黒くなってない?

:ファイアーボールと同じで黒くできるのか!


 影の力をそそぐことで、指先で弾ける電撃が黒く染まり、バチバチバチッと勢いが増していく。


 ミヨリは魔王を指差した。


「ばちん!」


 そう口にすると、黒い稲妻が閃光となって走る。


 炸裂音が響き、魔王が座していた石の玉座が粉々に吹き飛ぶ。展開されていた二つの魔法陣も撃ち消された。


 綾乃と玲奈を雷で狙っていた魔王は、攻撃を中断して跳躍。羽織ったローブをはためかせて、地面に降り立つ。黒い稲妻に打たれずに五体満足だ。


:すげえええええええええ!

:速すぎて見えんかったけど、黒い稲妻が玉座を破壊した!

:展開してた魔王の魔法陣も消し飛ばしたぞ!

:影の力でパワーアップさせたのか!

:魔王は仕留められなかったか……!

:ムラサメちゃんたちへの攻撃をやめて、ギリギリのところでよけたっぽい!




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