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底辺配信者だけどダンジョンで人気探索者を助けたら、なぜかやべぇ女として大バズりしてみんなから怖がられている  作者: 北町しずめ


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 下層に降りてきてから、ホワイトウルフとオオグモが頻繁に出現するが、ミヨリは触手で蹴散らしていき、第二十四階層まで足を運んでいた。


 モンスターたちが瞬殺される様子を、綾乃たちは身を竦めながら見ていた。


:さっきからホワイトウルフとオオグモにエンカウントしまくってるけど、どれも瞬殺されてるwwww

:ホワイトウルフはネタバレしてるから、もうまともに相手してもらえないwwww

:気配遮断スキルが高いモンスとか、普通なら厄介な強敵なのにwwww

:さっからなんだよこれwww わけわかんねぇぞwwww

:下層に来ても進むのめっちゃ速いwwww

:伝説のダンジョンの未到達階層のモンスたちですら相手にならないとかどうなってんだwwww

:見てて頭おかしくなりそうwwww

:ミヨリちゃんに同行してるムラサメちゃんたちは、メンタル削られてガチで頭おかしくなりそうだけどねwww

:てか、同接七十五万いってる!


「七十五万…………!」


 左腕のスマホに目を落として確認してみると、同接が七十五万まで増加していた。この勢いは止まらず、ここからまだまだ伸びそうだ。


 緊張と期待から、ミヨリの胸がバクバクと早鐘を打つ。


 そのままペースを落とさずに歩いていくと、やがて大きな扉が見えてきた。


:二つ目のボス部屋!

:まだ最深部じゃないのか?

:さすがにあともう少しだと思う

:あともうちょっとで、伝説のダンジョンの攻略完了か!

:偉業達成まで、もう少しだ!

:それまでムラサメちゃんたちの精神が持つかどうか……

:そこ心配するのがおかしいんだけどねwwww

:早く終わってくれ……(父より)

:お父さんのメンタルも限界寸前wwww


 ミヨリは大きな扉の前まで足を進める。


 後ろからついてくる綾乃たちは、厳しい表情を浮かべている。情報がゼロなので、この扉の向こう側にいるボスには対策が立てられない。それでも挑まないといけないことに、不安を感じているようだ。


 ミヨリは綾乃たちに目配せする。三人が頷いて応えると、ためらうことなく扉に手をかけて押し開いた。ボス部屋のなかに踏み込んでいく。


 広々とした空間は、静寂に満たされていた。そこには何もいない。モンスターの姿は、どこにも見当たらなかった。


:え? 空っぽ?

:なんもいないぞ?

:ボスどこ?


 本来ならいるはずのボスが不在であることに、コメント欄も当惑する。


「……うえだね」

 

:……うえ? 

:うえってまさか……!

:上か!


 視聴者たちがミヨリの言葉を理解すると、頭上から大きな影が降ってきた。ソレは物音を立てずに、ふわりと地面に着地する。


 八つの目に、八本の長い脚。十メートルを超える胴体は、黒と紫のまだら模様で彩られている。通常ではありえないサイズの巨大なクモがそこにいた。


:でっけぇクモだああああああああああ!

:こわくてキモイ!

:間近にいたら震えあがっちまうよ!

:画面越しでも怖すぎる!

:こいつもしかして、オオグモたちの親か何かか?

:黒と紫のマダラ模様だ……!

:マダラグモ!


 ボスが姿を現すと、綾乃と玲奈は剣を抜いて戦闘態勢になる。どんな攻撃を仕掛けてくるのか不明なので、臨機応変に動けるように構える。


 マダラグモと、視聴者たちにそう呼ばれた巨大クモは、掠れた鳴き声をもらすと横開きの口をひろげた。そこから紫色の液体を射出してくる。


 綾乃と玲奈は咄嗟に左右へと跳ぶ。吐き出された液体を回避する。


 ミヨリは小春の前に立つと、足元の影から黒い壁を浮上させる。飛んできた液体が具現化した影の壁に付着すると、プシュ~と白い煙をあげた。


:影のなかから壁が出てきた!

:ブルードラゴンの嵐を防いだときに使ってたヤツか!

:マダラグモが吐き出したのって、もしかして毒?


「あ、ありがとうミヨリちゃん……」


 小春はビクビクしながら、お礼を言ってくる。


 ミヨリは唇の片端を持ちあげて小春のことを一瞥すると、黒い壁を影のなかに戻した。


「毒液っぽいね。かかったらまずいかも」


 溶解効果があるようなので、武器や鎧についたら溶けるかもしれない。そして肉体にかかれば、猛毒に蝕まれることになる。


「もしも毒に侵されたときは、小春くんの状態異常を回復する魔法を頼らせてもらうよ」


「は、はい! 任せてください! 状態異常になっても、わたしの魔法ですぐに治しちゃいますからね!」


:小春ちゃんうれしそうだなwwww

:承認欲求が満たされてるなwwww

:さっきまで気絶してたとは思えないこの笑顔wwww

 

 玲奈から指示を受けると、小春は自慢げに笑う。そのことをコメントでイジられていた。


 ミヨリが正面に視線を向けると、マダラグモはまた掠れた鳴き声をもらしてくる。距離を置いたまま、八つの目でこっちを見ていた。感情は読めないが、明確な殺意を持った眼差しだ。


 殺気が高まっていくと、ボス部屋が激しく明滅する。チカチカと閃光がまたたいた。マダラグモの八つの目が、紫色の光を放ってくる。


:なんだ……!

:めっちゃ画面がチカチカした!

:マダラグモの目が光ったぞ!


 紫色の光を浴びせられたミヨリは注意を払う。どんな効果をおよぼしてくるのか警戒する。


 背後からの攻撃に気づくと、ステップを踏んでかわした。


 綾乃が繰り出した斬撃は、ミヨリにかすることもなく地面を叩いた。


 しかし、ミヨリを狙うのは綾乃だけではない。


 玲奈は突進してきて、水平斬りを放ってくる。小春も両手を構えて、魔法攻撃を撃ってきた。


 ミヨリは振るわれる刃をよけつつ、飛んでくる光の弾も回避する。仲間たちからの攻撃を、素早い身のこなしでいなしていった。


:……え? なんだ?

:みんなどうしちゃったの?

:いや、ガチで三人の様子がおかしいぞ!

:なんでクモじゃなくてミヨリちゃんを攻撃してんだよ!

:ムラサメちゃん! ミヨリに攻撃を仕掛けるなんて正気の沙汰じゃないぞ! もっと自分の命を大切にしなきゃだめだ!(父より)

:いや、言いたいことはわかるがwwww

:自分の娘をなんだとwwww

 

 叩き込まれる斬撃や飛んでくる魔力の光をよけつつ、ミヨリは仲間たちの様子を観察する。三人ともうつろな目をしていて、ミヨリに戦意を向けてきている。まともな精神状態ではない。


「どうやらさっきマダラグモの目から放たれた光には、相手を幻惑させる効果があるみたいだね。それでみんな頭がおかしくなって、わたしを敵だと認識しているみたい」


:あの画面がチカチカした紫色の光か!

:あれでみんなをまどわしてるのか!

:精神に異常をきたしてミヨリンを攻撃してきてる!

:探索者の心を操ってくるとか、なんてボスだ!

:だから情報がないモンスターは危険なんだよ!

:あの紫色の光だけで一つのパーティを壊滅できるぞ! 

:てかミヨリちゃん、さっきからムラサメちゃんと代表の剣をよけつつ、小春ちゃんの魔法攻撃も余裕回避しながら解説までしてる!

:ミヨリ様はフィジカルも強いからな!


「小春ちゃんが正気なら、状態異常を治せる魔法を使えてもらえたんだけど……」


 その小春は幻惑にかかっていて、ミヨリを狙ってきている。魔法で仲間たちを正気に戻すことはできそうにない。


:小春ちゃんが正常じゃないから、状態異常を回復できない!

:回復役を潰されたら回復ができなくなる!

:パーティを組んでて、回復役が機能しなくなったときの絶望感は半端ない!

:あんなに「状態異常になったら任せて!」って息巻いてたのにな……

:肝心なところで役に立てない小春ちゃん……


 活躍する機会を逃した小春に、同情するコメントが書き込まれていた。そのことはミヨリもかわいそうだなと思う。




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― 新着の感想 ―
ゲームで似た展開が有ったから動じてないな(確信)
同接の数には動揺するのに仲間から攻撃されることには動じないミヨリちゃんw
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