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底辺配信者だけどダンジョンで人気探索者を助けたら、なぜかやべぇ女として大バズりしてみんなから怖がられている  作者: 北町しずめ


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 ミヨリはワン太の背中から降りて、自分の足で地面に立つ。三台のドローンカメラから触手を外していき、頭上に浮かばせる。


 それからポンポンと、ワン太の横腹を叩いた。


 ワン太の喉がゴボッゴボッと音を鳴らすと、ベッと口から飲み込まれた三人が吐き出される。唾液でベトベトになった三人は、すべるようにして地面を転がった。 


 仰向けになったまま手足を投げ出している綾乃は、魂が抜けたように呆然としている。


「……あっ、あっ、あっ、な、なにも見えない真っ暗な空間のなかに……」


 綾乃はどうにか口を動かすが、自分でも何を言っているのかわからなかった。


:ムラサメちゃんよかったぁ!(父より)

:よかった……のか?

:ちゃんと吐き出された!

:このまま食べられてしまうんじゃないかと……

:三人ともベットベトだけどなwwww

:ミヨリちゃんと一緒じゃなければ、これほどの恐怖体験を味わうことはできないwww

:さすがミヨリちゃん! あの状況でみんなを無事に助けるなんてしゅごしゅぎるううううううう!(大親友)

:大親友さんがよだれ垂らしてよろこんでます(先生)

:よだれ垂らすなwww

:無事ではないだろwwww

:外傷はないが精神に大きな傷を負ったwwww

:だけどミヨリちゃんがいなかったら、ここで終わってた可能性がある!

:トップレベルの探索者でも、ボス部屋からの落下で生き延びられていたかどうか……

:冷静な対応をできたミヨリ様はさすがです!

:冷静な対応=ペットにみんなを食わせるwwww


 綾乃のそばで横向きに倒れている玲奈は、ポカ~ンとなって固まっていた。やがて我に返ったように目を見開くと、慌てて上半身を起こした。


「あ、あ、あ、アアアアアアアアアアアアアアアッ!」


 玲奈は両手で頭をかかえて、おかしくなったように奇声を発する。


:代表!

:代表しっかりしてぇ!

:とうとう代表まで狂いはじめたか……

:そういえば小春ちゃんは?


 ワン太に吐き出された綾乃と玲奈が声をあげるなか、小春だけは沈黙していた。


 どうしたんだろう? ミヨリも気になって、倒れている小春の顔を覗き込んでみる。


 小春は……白目を剥いたまま、口からブクブクと泡を吹いて意識を失っていた。


:小春アウトォ~!

:そりゃあ気絶するわなwwwww

:気絶したのは、ある意味で救いだったwwww

:意識があったら耐えられないwwww

:ついに一人目の脱落者が出てしまったか……

:↑デスゲームみたいに言うなwwww


 ミヨリはちょっと申し訳ない気持ちになりつつ、小春から目をそらす。


 それから自分たちが降ってきた頭上を仰ぎ見た。


 デーモンナイトは、断末魔の叫び声をあげた後で息絶えていた。亡骸は落下してこなかったようで、近くには見当たらない。影のなかに取り込めなかったのは少し残念だ。


「ワン太、お疲れさま」


 鼻先を撫でてあげると、ワン太は「ワフッ!」と吠える。尻尾を左右に振って、ミヨリの影のなかに飛び込んでいった。

 

 ワン太を影のなかに戻すと、周りの様子を探る。ボス部屋のように広い空間だ。それに壁には、黒い植物が複雑な模様を描くように這っている。


 明らかにさっきまでいた階層とは空気が異なる。ダンジョンの奥底にいる危険な存在……それに近づいていることが肌で感じられた。


「感知スキルで大まかな距離を測っていたけど、ここは二十階層くらいだろうね」


「に、二十階層……!」


「そんなところまで落ちてしまったのか……」


 現在の居場所を伝えると、綾乃と玲奈はギョッとする。『常闇の迷宮』の構造の深さと、途中の行程を飛ばして下層まで来てしまったことにおののいていた。


 綾乃と玲奈は立ちあがると、深呼吸をして、どうにか心を落ち着けようとしていた。


「それと、まだ一息つくには早いかな」


「どういう意味だ……?」


 綾乃が怪訝な表情で尋ねてくる。


 カサカサカサカサ……。


 不気味な音がした。壁や地面にはりついて、無数にうごめくモノがいる。それがいつの間にか、ミヨリたちを取り囲んでいた。


 綾乃と玲奈は握ったままの剣を反射的に構えて、辺りを睥睨する。


 そこには、八つの目を紫色に光らせるクモがいた。胴体から細長い脚を生やしたそれは、成人男性くらいの異常な大きさだ。クモの群れが、この場所に落っこちてきた獲物を狙っている。


:デカいクモがいっぱいおる!

:見たことない新種のモンスターだ!

:オオグモ……!

:ざっと見ただけでも三十匹以上はいるぞ!

:虫苦手だから、あぁいうの無理だわ……

:ボス戦に続いての連戦!

:いくらなんでも難易度高すぎだろ!


「まともに休む時間もくれないのか……」


 主にミヨリが原因ではあるが、先ほどのボス戦で体力と精神を大幅に消耗した綾乃は顔をしかめてつぶやいた。


「新種のモンスターだから、どんな攻撃を仕掛けてくるかわからない。冷静に対処するんだ」


 玲奈が神妙な面持ちになって助言すると、綾乃は「はい」と頷いた。


 二人が戦意を高めると、空気が張りつめていく。


:またムラサメちゃんを操って倒すんだ!

:エアコントローラーでムラサメちゃんを操作してオオグモを殲滅するべし!

:ガイくん着たままだしね!

:お願いだからそれだけは勘弁してくれ……(父より)

:お父さん顔が真っ青wwww(母より)

:おとんまでピンチwwww




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