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底辺配信者だけどダンジョンで人気探索者を助けたら、なぜかやべぇ女として大バズりしてみんなから怖がられている  作者: 北町しずめ


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 ミヨリは火の玉の灯った指先を正面に向けると、超高速ファイアーボールを連発する。もちろん命中はさせない。火の玉は全て、デーモンナイトの足元近くで砂塵を噴きあげて爆ぜていった。


 ミヨリがファイアーボールを発射する度に、悪魔と天使は憤怒をたぎらせていき、魔力量がふくれあがっていく。


「こんなものかな」


 ファイアーボールの連射を止めると、綾乃と玲奈に巻きつけていた触手をほどく。伸ばしていた数本の触手を、影のなかに引っ込める。


 拘束を解かれても、綾乃と玲奈の胸中は警鐘が鳴りっぱなしだった。ボスである悪魔と天使の怒りが、最高潮に達している。


「グアアアアアアアアアアアア!」


 デーモンナイトが怒号を轟かせる。後方にいる天使も、怒りの形相で睨みつけてくる。身の毛がよだつほどの凄まじい魔力を、二体のボスが放出してきた。


:めっちゃキレてる!

:あんだけ高火力のファイアーボールを撃ち込まれたらな!

:しかも全弾とも外すという舐めプ!

:どうすんだよ! いきなり最高難易度モードになったっぽいぞ!

:すごい魔力があの二体のボスからあふれてる!


「いろいろムチャクチャになって頭が痛いが、こうなったらやるしかない!」

 

 玲奈は渋面になると、腰から剣を抜いた。目の前の敵と戦うことに専念する。


:ムチャクチャになっても対応しようとがんばる代表えらい!

:対策を練っていたのに全部パァだよ!

:ミヨリちゃん連れてきたせいで難易度がナイトメアになってしもうた……


 玲奈は呼吸を整えると、握りしめた剣に魔力を流し込む。そそいだ魔力が変質していき、紅蓮の炎を剣にまとわせた。


:炎が剣をつつみこんでる!

:代表のユニークスキルだ!

:久しぶりに見た!

:炎だけじゃくなて、いろんな属性を武器にエンチャントできる!

:どんな属性の敵にも対応できるめっちゃ強力なスキル!


 玲奈がエンチャントを発動させると、コメント欄が賑やかになる。玲奈とパーティを組んでよかったと、ミヨリはスマホに表示されるコメントを読みながら微笑んだ。


「綾乃はわたしと連携を。小春くんは後方から援護を頼む」


 指示を受けると、綾乃は剣を抜き、小春は両手を突き出して構える。二人とも苦々しい表情をしながらも、戦闘態勢に移っていく。


「いくぞ、綾乃」


「はい!」


 玲奈と綾乃は同時に駆け出す。


 部屋の奥にいる天使に向かって突進するが、二人の行く手をはばむように憤慨したデーモンナイトが立ちふさがってきた。


 二人とも臆さずにデーモンナイトに肉薄すると、動きをあわせて斬撃を叩き込む。炎の刃と白銀の刃が走った。


 それをデーモンナイトは軽快なステップを踏むように身体を動かし、最小限の動作でかわしてきた。


「グアアアアアアアアアアアアアア!」


 デーモンナイトは咆哮をあげると、右手に握った鉄塊のごときグレートアクスを猛スピードで振り下ろす。


 強烈な一撃。破壊音が轟き、砂埃が吹きすさぶ。


 二人は瞬時に身体を引いたことで、直撃こそしなかったものの、魔力を帯びた風圧によって後ろに吹っ飛ばされる。どうにか体勢を保って転倒はまぬがれたが、全身がしびれていた。


「風圧に触れただけで、電流を浴びせられたようにビリビリするよ。まともにあんなの食らったら、一発で終わりだ」


「やはり天使には近づけないように、邪魔してきますね」


 二人はギュッと眉間をしかめて、デーモンナイトを睨みつける。


:デーモンナイトの攻撃すげぇ威力だ!

:スピードもおかしいくらい速ぇ!

:剣で受けて防御したら叩き折られて潰されるぞ!


 攻撃の手を休めないために、玲奈は小春に目配せする。


 小春は頷くと、構えた両手に魔力を込めて光の弾を放つ。


 魔力の光が天使をめがけて飛んでいく。だが、デーモンナイトが疾風のごとく駆け出して射線上に立たつことで、壁となった。


 まともに防御する必要もないと判断したようで、デーモンナイトの顔面に光の弾が衝突して爆発する。かすかに顔が焼けるが、大したダメージは負っていなかった。


 それに負傷しても、デーモンナイトとしてはさして問題ではない。


 後方にいる天使が両手を組み合わせる。その華奢な身体から、黄金の光が放出された。


 デーモンナイトの身体に光が触れると、顔に負った火傷がたちどころに癒えていく。


:デーモンナイトの火傷が治った!

:あの天使が治したのか!

:どんなにデーモンナイトにダメージを与えても、あの天使がいるかぎりすぐに全回復してくる!

:はああああああああ! なんだよそれええええええ!

:だからこの第八階層のボス部屋は誰も突破できないんだ!

:先に天使のほうから倒さないといけないのか!

:その情報を知らずにデーモンナイトばかり攻撃してたら、こっちがやられる!

:しかもあの天使はめっちゃ強いときた!

:トップレベルの前衛と後衛の探索者パーティみたいっていうか、それを遥かに上回るコンビみたいなもんか!


 探索者がパーティで連携を取って、仲間に回復魔法を使うなんてことは、モンスター相手にはよくあることだ。だけど逆に、モンスターにそれをやられたことで、コメント欄が荒れていた。


 それにあの天使が優れているのは、回復魔法だけではない。


 天使はおもむろに右手を前に向けてくる。その掌が発光する。濃密な魔力によって、光の槍が宙に形成されていく。綾乃に狙いをつけると、それを高速で撃ち出してくる。


 綾乃はハッとすると、考えるよりも先に足が動き、真横に向かって跳んだ。ほんの数瞬前までいた場所に、光の槍が直撃すると、爆破と同時に盛大に砂塵が舞い散った。デーモンナイトの一撃にも劣らない魔法攻撃だ。


:あの天使は魔法攻撃までしてくんのかよ!

:火力エグい!

:こんなん近づけないだろ!

:遠距離から狙おうにもデーモンナイトが邪魔してくる!

:どうすんだよこれ!

:だから最初はなるべく攻撃しないで難易度を下げたほうがよかったんや……


 デーモンナイトと天使の連携を駆使した圧倒的な強さに、配信を見ている視聴者たちは絶望感を植えつけられる。このボス部屋を突破できないのではと、誰もが危惧していた。


 配信的には、メリハリが効いてていいことだ。ミヨリだけは、そんなのん気ことを考えていた。




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いつでもヤレるし、味方がピンチになっても簡単に助けられるからこそののん気 ラスボスを裏から操る裏ボスの風格!
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