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底辺配信者だけどダンジョンで人気探索者を助けたら、なぜかやべぇ女として大バズりしてみんなから怖がられている  作者: 北町しずめ


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 闇の商人の前まで来ると、ミヨリはうっすらとした笑みを唇に乗せた。


「短剣も盾もいらないかな?」


「ちょっ、なにして……」


 玲奈はミヨリのほうに手を伸ばすが、ミヨリは後ろを振り返らない。


 微笑みながら、取り引きを拒絶する。そしたら闇の商人が焦り出した。


「グアッ! グアッ!」


「いらない」


「ググッ……!」


 闇の商人は唸り声をあげると、身振り手振りでパタパタして、必死に取り引きをするようにと訴えかけてくる。


「…………」


「グッギ…………!」


 黙ったまま微笑みかけると、闇の商人は上半身を仰け反らせた。ミヨリから向けられる眼差しに、おびえている。


「グギギギギギギッ!」


 闇の商人は、両手に持っていた商品を乱暴に投げ捨てる。短剣と盾が甲高い音を立てて、地面を跳ねた。


 そしてローブを羽織っていた身体が、風船みたいにふくらんでいって隆起する。体積が増したことでローブが突き破られて、そのなかから真の姿があらわになる。


 全長三メートル近くある巨体。毒々しい緑色のカメレオンのような外見をしたモンスターへと変貌する。


:どえええええええ! でっけぇカメレオンみたいになった!

:ミヨリちゃんが怖くなって戦闘モードになったぞ!

:誰だってミヨリ様が微笑んで圧かけてきたら怖いだろ!(真剣)

:↑失礼だけどわかる!

:闇の商人の戦闘モードなんてはじめて見る!

:どんな探索者でもコイツとの戦闘は避けたがるのに!

:神に取り引きを持ちかけることそのものが間違いだよ!(大親友)


「うそだろ……」


 デメリット覚悟で取り引きに応じるつもりだったのに、ミヨリのせいで全てご破算になってしまった。玲奈は口を半開きにしたまま固まる。


「っ……! こうなったら戦うしかない!」


 すぐに玲奈は思考を切り替えると、応戦するように綾乃と小春に視線で伝える。


 玲奈の言葉を聞いて、ミヨリは安堵した。


「玲奈さんが戦うことを選んでくれてよかったです。そっちのほうが、配信としても盛りあがりますからね」


「グアアアアアアアアッ!」


 目の前にいる巨大カメレオンが、拳を振り下ろしてくる。ミヨリは後ろに跳んで、距離を取った。


 一瞬前までミヨリがいた地面に、闇の商人の拳が直撃すると、土煙が柱となって舞いあがる。まともにヒットすれば、肉体を粉砕するほどの威力だ。


:ミヨリちゃん余裕でよけてる!

:やっぱ配信で盛りあがるから、闇の商人を戦闘モードにしたのか!

:なにやってんだミヨリ! 取引先との商談はもっと丁寧にやらないとダメだろっ!(父より)

:取引先wwww

:娘さんが取り引きをブチ壊したんだよwww

:取引の現場に最も連れていってはいけない女、その名は宮本ミヨリwwww


「綾乃、頼む!」


「わかりました!」


 玲奈からの指示を受けると、綾乃は腰から剣を抜いて走り出す。


 闇の商人のもとまで肉薄していき、剣先を向けて刺突を繰り出した。


「ググッ」


 闇の商人は口を曲げて、いやらしく笑った。その目の前にある空間が陽炎のように歪んでいき、大きな穴があけられる。


 綾乃の繰り出した刺突は、あいた穴のなかに入ってしまう。同時に今度は綾乃の顔の真横にある空間が歪み、新しい穴がうがたれた。そこから綾乃が繰り出した剣の切っ先が飛び出してくる。


「くっ……!」


 綾乃は咄嗟に上半身を弓なりに反らして、自らが放った刃をかわす。剣先が眼前を横切っていった。ほんの一秒でも判断が遅れていたら危なかった。


:なんだよ今のは!

:空間に穴をあけてきた!

:ムラサメちゃんの繰り出した突きが穴で防がれて、真横にある別の穴から剣が出てきたぞ!

:闇の商人は空間に穴をあけて、攻撃が当たらないようにしてくる!

:だから強敵なんだよ!

:探索者ならなるべく戦闘は避ける!

:こんなん戦わないほうが絶対よかっただろ!


「綾乃。小春くんの魔法攻撃を試してみる」


 玲奈から次の指示がくると、脂汗を流していた綾乃は頷く。地面を蹴って、後退する。闇の商人から距離を取りつつ、小春が放つ魔法の射線上から退避した。


「や、やってみます!」


 小春は両手に魔力を集中させると、光の弾を連続で撃ち放った。薄暗い洞窟を照らしながら、複数の魔力の光が闇の商人のもとまで飛んでいく。


「ググッ!」


 闇の商人は無駄だと言うように嘲笑うと、前面の空間に複数の穴をあける。小春が放った光の弾は吸い込まれるようにして、全て穴のなかに入っていった。


「上か!」


 そして小春の真上にある空間に、いくつもの穴がうがたれる。そこから小春が放った光の弾が降り注いできた。


 玲奈は腰から剣を抜き放ち、迅速な斬撃によって、小春に命中しそうな光の弾を打ち払っていく。弾かれた光は四方へと飛んでいき、ダンジョンの壁面で爆散していった。


「た、助かりました……」


 自分の放った魔法が真上から飛んできて、泡を食っていた小春だったが、玲奈がいてくれたおかげでダメージを受けずに済んだ。


:空間に穴をあけて、ぜんぶ返してきやがった!

:やっぱ魔法攻撃でもダメか!

:代表の剣めっちゃ速えぇぇぇ!

:上から振ってきた魔法を全弾さばくとかすっげ!

:長らく現場から離れていたとはいえ、やっぱトップクラスの強さだな!

:あのカメレオンの攻略法が見えねぇよ!

:物理攻撃も魔法攻撃も通じないとか、どうすんだよ!


 コメントの流れが加速する。どんな攻撃も当たらない闇の商人に、視聴者たちが浮き足立っていた。




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― 新着の感想 ―
最近ずっと同じ展開でマンネリ化してきてますね。敵の強さを見せるためだけの仲間の戦闘いらないかな。どうせ主人公がほぼワンパンですし。パーティ組まずにソロでやってるほうが面白い気がします。
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