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底辺配信者だけどダンジョンで人気探索者を助けたら、なぜかやべぇ女として大バズりしてみんなから怖がられている  作者: 北町しずめ


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「グガアアアアアアアアアアアア!」


 火の玉を弾かれたのがよっぽど悔しかったのか、新種リザードマンは牙を剥いて怒号をまき散らす。


 その叫び声に従うように、まだ生き残っているレッドリザードマンたちが駆け出して、大挙して押し寄せてきた。


「あっ、わっ……!」


 半ばパニックになりつつも、小春は両手を構えて魔法攻撃を放とうとする。


 それを阻止するために、新種リザードマンは口を開けて、再び火の玉を吐こうとした。


「小春ちゃんの見せ場もあったし、もういいよね」


 そう判断したミヨリは、触手を動かす。猛スピードで新種リザードマンのもとまで伸びていった触手は、その首にグルグルグルとマフラーみたいに巻きつく。


「グガッ……ガッ……!」


 眼球が飛び出しそうなほど目を剥くと、新種リザードマンは口をパクパクさせて、かすれた悲鳴をもらす。


:触手で首しめられてる!

:めっちゃ苦しそう!

:火の玉が吐けなくなってんのか!

:他のリザードマンたちが驚いて立ち止まってるぞ!

:レッドリザードマン「え? リーダーどうしたんッスか?」みたいになってる!


 首領がもがき苦しんでいることに気づき、ミヨリたちのもとに殺到しようとしていたレッドリザードマンたちは、困惑して立ち止まる。


 新種リザードマンは、首にまきついた触手をつかんで引きはがそうと躍起になっているが、しめつけが強すぎて外せない。呼吸もままならず、水中でおぼれているように苦しんでいる。


 その苦しみは、長続きしなかった。ボゴボゴボコッと音を立てて、喉がふくらむ。吐き出そうとしていた火の玉が、体内から噴き上がってくる。だけど触手で首をしめられているので、吐き出すことができない。


 新種リザードマンの喉元が膨張を続けていくと、炸裂音が響いた。内側から昇ってきた火の玉が爆発して、首から上が吹き飛ぶ。


:頭が爆発したああああ!

:自分の火の玉でやられたのか!

:ミヨリちゃんが触手で首をしめてたから喉で爆発したのか!


 頭部を失った新種リザードマンが倒れると、ミヨリは伸ばしていた触手を縮小させる。


 首領がやられたことに、残存するレッドリザードマンたちは茫然自失となっていた。


「グガアアア!」

 

 我に返ったようにハッとすると、残りのレッドリザードマンたちは叫び声をあげて、ミヨリめがけて突っ込んできた。そのどれもが、発火したように身体を赤熱させている。己を爆破することで、ミヨリを道連れにするつもりだ。


「キミたちじゃ、わたしに近づくことはできないかな」


 口元に薄笑いを描くと、足元にある影を前面に向けて扇形に拡張していく。ひろがる影は地面を黒く塗り潰していき、瞬く間にレッドリザードマンたちのもとにまでおよんでいった。


 ぐぼっ。


 レッドリザードマンたちは戦慄する。気づけば、両足が影のなかに沈んでいた。足を動かそうとしても、前に進めない。


 どんなに必死に身体を揺さぶっても、底なし沼にハマったみたいに影のなかから抜け出せず、まったく身動きが取れない。ミヨリたちとの距離を縮められない。


 だけど、もう身体は赤熱してしまっている。


「さようなら」


 ミヨリは焦燥するレッドリザードマンたちを笑いながら眺めて、お別れの言葉を告げる。


 影から抜け出そうともがいているレッドリザードマンたちの身体が赤々と発光すると、立て続けに爆破が起きた。


 レッドリザードマンたちはミヨリに近づくことさえできず、次々と自爆して吹っ飛んでいき、騒々しい爆音を轟かせる。


:自爆技を使ったのに誰も巻き込めなかったよ!

:レッドリザードマンたち「ちょっ! 待っ……!」

:↑ホントにそんな感じだったな!

¥50000 レッドリザードマン:ミヨリちゃんがダルマさんがころんだの鬼だったら無敵じゃね?

:近づけないからねwww

:ミヨリちゃんダルマさんがころんだ最強説!

:ミヨリちゃん人形たちが「すごい」って言ってるよ!(大親友)

:おい、今さらりと凄まじいコメントが流れたぞwww

:ミヨリちゃん人形wwww

:だからミヨリちゃん人形ってなんだよwwww

:あのね、大親友ちゃん。人形はね、喋らないんだよ?

:きっと大親友さんにだけ声が聞こえてるんじゃないかな?(すっとぼけ)

:隣にいる大親友さんが、ミヨリちゃん人形とお喋りをはじめました…………コワイ、タスケテ(先生)

:先生ぇぇぇ!

:先生またピンチwwww

:大親友さんと一緒に配信見ることにしたの絶対失敗だっただろwwww


 なんだかコメント欄が混沌としている。主に友達のせいで。


「あっ……うっ、あっ……」


「しっかりしろ小春! まだ倒れるには早いぞ!」


 ミヨリの影によって、為す術もなく吹っ飛んでいったレッドリザードマンたちの末路を目の当たりにした小春は、貧血にでもなったみたいにふらつく。


 綾乃は慌てて小春の肩をつかみ、その身体を支えていた。


「ミヨリくんは頼りになるが、わたしもふくめて、仲間への精神的ダメージが大きいというリスクがあるな……」


:リスクwww

:そんなリスクはじめて聞いたwwww

:どんな仲間だよwwww

:確かにミヨリちゃんはリスクがデカすぎるがwwww

:現に小春ちゃんはSAN値減少wwww

:まだ倒れるには早いぞwwww

:あとどれくらい持つのやら……


 ミヨリは不満そうに目を細めて、スマホ画面を見下ろす。またコメントでやべぇ女扱いされている。


 顔をあげると、扇形に拡張していた影を左右からせばめていき、横たわる新種リザードマンのもとに向かって、直線が伸びるような形で残す。その亡骸をズズズズズズッと、影のなかに沈めていって取り込んだ。


「見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない…………」


 小春はブツブツと何かをつぶやきながら、顔をそむける。


:小春ちゃんwwww

:新種リザードマンが食べられるのを見ないようにしてるwwww

:SAN値が減少しないようにしてるwwww


 新種リザードマンを取り込むと、伸びていた影を足元まで戻す。


「それじゃあ、先に進もうか」


 ミヨリは振り返って、微笑みかける。


 だけど仲間であるはずの三人は疲労感からか、うまく返事ができないようだった。




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