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底辺配信者だけどダンジョンで人気探索者を助けたら、なぜかやべぇ女として大バズりしてみんなから怖がられている  作者: 北町しずめ


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 薄暗い洞窟を突き進んでいくミヨリたちは、第六階層まで足を運んでいた。


 さきほど知ってしまった、千紗のつくっている人形のインパクトは尾を引いていて、ミヨリの鼓動はまだ不協和音を奏でている。


:「本当はミヨリちゃんのこと大しゅきなのおおおおおお!」「ミヨリちゃん人形」「ガチでヤバい大親友ちゃん」がトレンド入りしとる!

:先生がトレンドに入ってるwwww

:だからミヨリちゃん人形ってなんだよwww

:先生がミヨリちゃんのファンであるという衝撃の事実を、それをはるかに超える衝撃の事実で上回ってくる大親友ちゃんwwww

:俺もうモンスターよりも大親友さんのほうが怖いよwwww


 やっぱりミヨリちゃん人形については、リスナーも恐怖していた。なかにはおもしろがっている人達もいるみたいだけど。


 コメントを確認していたミヨリは、前方からの気配を感じると立ち止まって、他の三人に声をかける。


「……なにかいるね」


 綾乃たちも気づいていたようで、臨戦態勢になる。


 複数の足音が近づいてくる。


 薄闇のなかから現れたのは、全身が燃えるような赤色に染まった大柄なモンスターだ。トカゲみたいな顔をしていて、二足歩行で立っている。


 レッドリザードマンの群れが、ミヨリたちの前に立ちふさがってきた。


:赤いリザードマンだ!

:気をつけろ! このトカゲたち爆発してくるぞ!

:爆発? そんなことしてくんの!

:近づいてきて自爆技を使ってくる! 

:威力が高いから、鎧を着てても大ダメージを受ける!

:情報がなかった頃は、多くの探索者たちが被害にあってた!


 ざっと見ただけでも十五体はいる。これだけの数のレッドリザードマンが、突っ込んできて自爆してきたらひとたまりもない。


 ミヨリは玲奈のほうを一瞥する。


 玲奈は黙ったまま頷いた。


「パーティとして配信しているから、他の人達にも戦ってもらわないとね。わたしばっかりだと、視聴者に飽きられるかもしれないし」


:飽きないよwww

:そこは心配しなくても大丈夫wwww

:むしろ戦わないでくれ……(父より)

:おとんwwww

:お父さん切実wwww

:娘が戦う度に精神が不安定になっていくおとんwwww


 ミヨリは後ろに下がると、ひとまず玲奈たちにこの場を任せる。


「ミヨリくんばかりに負担をかけられないからね。小春くん頼むよ」


「はい! 任せちゃってください! 一体たりとも近づかせませんよ!」


 レッドリザードマンについては、対策を練ってきている。玲奈からの指示を受けると、小春は自信にあふれた笑みを浮かべて、両手を前に突き出した。


「グアッ!」


 数体のレッドリザードマンが吠えた。その身体が発火したように赤熱する。探索者たちを道連れにするために、一斉に駆け出して迫ってくる。


 小春は真剣な表情で、両手に魔力を集中させていく。大きな魔力が込められた光が灯ると、それを突進してくるレッドリザードマンに向けて放った。


 発射された光の弾は、一体のレッドリザードマンに直撃し、上半身を木っ端微塵にする。自爆技を発動できずに吹き飛ばされたレッドリザードマンは、倒れて動かなくなった。


「まだまだ! どんどんやっちゃうよ!」


 間髪入れずに小春は光の弾を連発して、襲いかかってくるレッドリザードマンたちを次々に吹き飛ばしていく。宣言したとおり、一体たりとも近づかせはしなかった。


:レッドリザードマンたちがめっちゃ倒されてく!

:FPSの凄腕プレイヤーみたいだ!

:小春ちゃん活躍できてうれしそう!

:え? もしかしてこの子強いの?

:そうだよ! 小春ちゃんは強いんだよ!

:だから代表にも実力を認められてるし、今回のダンジョン攻略にも同行させてもらえてる!

:ただのウザい子ではなかったかwwww


 小春の活躍に、コメ欄が沸き立っている。


 だけどミヨリは、一つだけ異様な気配があることに勘づいていた。


 洞窟の奥のほうからそれが歩いてきて姿を現すと、綾乃たちも険しい表情になる。


:おい! なんか奥のほうから来たぞ!

:なんだあれ?

:レッドリザードマンなのか……?

:いや、でも他のヤツよりもデカくね?


 新たなレッドリザードマンが出現する。それは他の個体よりも頭一つ大きくて、体色が焼け焦げたように赤黒い。全身から放たれる威圧感は、他のレッドリザードマンたちよりも重たくて苛烈だ。


「たぶんまだ発見されていない新種とかじゃないかな?」


:新種!

:マジかよ!

:ハイオーガとかそういう感じのレッドリザードマンの上位種的なヤツか!


「小春くん。構わずに魔法攻撃を続けてくれ」


「は、はい!」


 玲奈から指示されると、すかさず小春は両手を新種リザードマンのほうに向けた。


「グググッ……!」


 新種リザードマンは、嘲笑するような鳴き声をもらす。その喉がボゴボゴボコッと音を立ててふくらんだ。小春が魔法攻撃を放つのに先んじて前傾姿勢になると、口を開けて火の玉を吐き出してくる。


 高速で飛来してくる火炎に、小春はギョッとする。あと数メートルというところまで火の玉が迫ってくると、ビュンと風切り音。


 何かが視界をかすめる。ダンジョンの壁で轟音が響いて、爆破が起きた。火の玉が直撃した壁面は陥没して、黒煙をあげる。


「危なかったね、小春ちゃん」


 ミヨリは横目で小春を見ながら微笑みかける。その足元にある影からは触手が伸びていて、しゅるしゅると宙を泳ぐように動いていた。


 ミヨリが触手を伸ばして、飛んできた火の玉を弾いた。遅れてそのことを理解した小春は、安堵するのと同時にブルッと身震いする。ミヨリがいなかったら、どうなっていたか……。


:あのレッドリザードマン火の玉を吐けるのかよ!

:遠距離攻撃の対策ができていやがる!

:初見でそれを弾き飛ばしたミヨリちゃんやっぱすげぇ!

:ミヨリちゃんじゃなかったら危なかった!


 ミヨリのことを賞賛するコメントが流れる。それを見て、ミヨリは小さく鼻を鳴らす。ゲームでカウンター技が決まったときみたいに、痛快な気分だ。




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