表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
底辺配信者だけどダンジョンで人気探索者を助けたら、なぜかやべぇ女として大バズりしてみんなから怖がられている  作者: 北町しずめ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/57

53




 出現するモンスターたちをデコピンと触手で蹴散らしながら、ミヨリは第五階層まで足を運んでいた。


「グギャアアアアアアアアアアアア!」


 一つ目の巨人であるサイクロプスの胸部を影から伸ばした触手で貫くと、絶命して地面に転倒していった。


「……なにこのスピード? わたしが前にもぐったときよりも、スイスイ進んでいくんだけど?」


「落ち着け。落ち着くんだ、わたし……」


 同行している玲奈と綾乃はおののいていた。ミヨリがモンスターたちを瞬殺する光景は、見ていて心臓に悪い。小春にいたっては、もう「ハァハァ……」と呼吸がうまくできていない。


:代表がビビってるwww

:こんなに速く『常闇の迷宮』を進んでいくのとか、ありえんからなwww

:伝説のダンジョンのモンスターですらミヨリちゃんを止めることはできないwww

:ムラサメちゃんがさっきから何かつぶやいてるwww

:「落ち着け」っていうのは、落ち着かない人が言う言葉ですwww

:小春ちゃん呼吸がヤバくて限界寸前wwww

:ミヨリちゃんと行動を共にしてるだけで、SAN値が激減していく小春ちゃんwwww


 モンスターが出現してくれるのは、配信としてはありがたい。視聴者を飽きさせずに済む。このペースでどんどん来てほしい。そう思いながら、サイクロプスの亡骸を横切って進んでいく。


:宮本さん。やはりあなたのダンジョン攻略はすごいですね……(先生)


 そのコメントが目にとまると、ミヨリは足を止めた。


「え? 先生?」


:先生???

:先生って……え?

:もしかしてミヨリちゃんと大親友さんの先生?


 唐突なコメントに、ミヨリと同じく視聴者たちも驚いていた。


 ミヨリが立ち止まったので、綾乃たちも怪訝な顔をしている。


:本当に先生だよ、ミヨリちゃん! いま学校の文芸部の部室で、わたしと一緒に先生もミヨリちゃんの配信を見てるよ!(大親友)


 千紗からの補足が入った。ということは、コメントしたのはミヨリの担任教師である桜葉静江で間違いない。


 どうやら静江は、千紗と一緒に部室でこの配信を見ていたようだ。


:マジか!

:大親友さまが仰っているならまちがいない!

:先生までミヨリちゃんの配信を見にきたのかよwww

:大親友さんは部活で作品制作をしないといけません。その取材のために、宮本さんの配信を見ています。わたしは文芸部の顧問として、大親友さんに付き合っているんです(先生)


 千紗と一緒にミヨリの配信を見ているのは、あくまで部活動の一環だと主張してくる。静江がそういうことにしたいのなら、あまり追及はしないでおこう。


:先生はどうしてもミヨリちゃんに伝えたいことがあるんだよ! そのために今日は勇気を出してコメントしたんだよ!(大親友)

:なんだ?

:え? なに?

:なにがはじまったんだ……?


「先生がわたしに伝えたいこと……?」


 思い当たる節がないので、ミヨリは首をひねる。


 もしかして、バズった影響で学校全体の空気をザワつかせていたことが、やっぱり快く思われていなかったのか。静江は厳しくて真面目な教師だから、その可能性はありうる。


 よくない想像がふくらんできて、ミヨリは身構えてしまう。


:わたしはこれまで宮本さんに対して、厳しい態度を取ってきました。冷たい人だと受け取られたこともあったでしょう……(先生)

:でも本当は…………(先生)


 ミヨリは固唾を飲んで、スマホ画面を凝視する。

 

 一体どんな言葉をぶつけられるのか? 緊張感が高まった。


 そして、静江からのコメントが書き込まれる。


:本当はミヨリちゃんのこと大しゅきなのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!(先生)


 ビクッとした。


 そのコメントが目に飛び込んできた瞬間に、ミヨリは硬直する。


:ミヨリちゃんの配信を見て脳を焼かれちゃって、しゅぴしゅぴになっちゃったのおおおおおおお!!!(先生)

:ミヨリ軍の一員としてミヨリちゃんの配信を見ない日はないのおおおおおおおおおおおおおおお!!!(先生)

:ちっちゃくてかわいいだけでもしゅぴなのに! そこにダークさまで加わっててたまらにゃい! もうしゅぴしゅぴしゅぴになったのおおおおおおおおおおお!!!(先生)


 立て続けに送られてくる情熱的なコメントに、ミヨリは目を白黒させる。


:ちょっwwwwwww

:なんだこれwwwwwww

:な、なんだ? どうなってるんだ?(父より)

:お父さんがお茶吹いたwwwww(母より)

:おとんも動揺してるwwww

:視聴者たちも動揺してるよwwww

:ずっと先生は悩んでたんだよ! ミヨリちゃんへの想いを打ち明けられずにいたからね!(大親友)

 

 静江がミヨリの強火ファンであることを、千紗は知っていたようだ。文芸部の顧問と生徒なので、なにか知るきっかけがあったのだろう。


:毎日教室に入るたびに「えっ? ちょっ、うそ! 推しがわたしのクラスにいるんですけど! なんで~!」って驚いちゃってたの!(先生)

:普段から話しているときも、冷静さを装うのに一杯一杯で「推しと喋ってるぅ~!」っと心のなかではドキドキしっぱなしだったの!(先生)

:そら教室にいるだろwwww

:教え子なら教室にいて当たり前wwww

:なんで驚いてんだよwwww

:さっきからなに言ってんだこの教師wwww

:推しと直接喋ってて、緊張しちゃう気持ちはわかるがwwww


 流れてくるコメントを読んでいると、頭のなかがこんがらがってくる。


 てっきりミヨリは、静江からは好印象を持たれていないと思っていた。バズった影響で、学校全体の空気を乱してしまったから。だけど実際は、ミヨリの想像を超えるほどに静江から愛されていた。


 このまえ廊下で話したときに、怒ったように睨んできていたが、あれは「はぁわわわわわ! 推しがわたしに声をかけてくれりゅ~!」というミヨリへの想いがあふれそうになるのを、必死に堪えていたのだ。


 ミヨリは頭のなかで、必死に状況を整理する。突然の告白に、かなりの衝撃をもらったけど、どうにか受け入れることができた。


 ミヨリは頭上に浮かぶドローンカメラを見あげる。


「先生がわたしをそんなふうに思ってくれていたことには驚きましたけど、応援してくれるのならうれしいです。わたしの配信で冒険の楽しさを届けて、これからも先生に喜んでもらえるようにがんばります」


 感謝を伝えると、唇の端を持ちあげて微笑みかける。


:………………………………(先生)

:ん?

:どうした先生?

:先生……?

:あっ、あっ、あっ…………(先生)

:あああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!(先生)

:先生がひっくり返ったよ(大親友)

:推しに微笑まれて昇天wwww

:うれしさのあまりひっくり返ったwwww

:推しに微笑まれたらひっくり返りもするwwww


 千紗の横で、静江がひっくり返ってしまったようだ。ちょっと心配になる。千紗がついているから、大丈夫だとは思うけど。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ