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ゲートをくぐってなかに入ると、ゲームの隠しステージに来たときみたいに心が踊った。
伝説のダンジョンといっても、内部の風景は他のダンジョンと変わらず薄暗い洞窟がそこにある。
そばにいる綾乃は緊張しているようだが、ミヨリと同じでワクワクもしているみたいだ。
「いろいろと想定外だったが、またここにやって来られたか」
玲奈は懐かしさを感じているようで、ダンジョンに踏み入ると、感慨深げな笑みを浮かべていた。
「ここが、まだ誰も攻略できていない『常闇の迷宮』……」
小春はビクビクしながら視線をさまよわせ、洞窟内の景色を見まわしている。
伝説のダンジョンと呼ばれているこの場所でも、テンポよく行くことを忘れてはいけない。ミヨリは止まっていた足を動かして進んでいく。
:さっそく「結界を手で押して破壊」がSNSでトレンド入りしてるwwww
:「ミヨリちゃん今日もじゅごるるるるる」も入ってるぞwwww
:もう切り抜きが拡散されて、速攻で百万再生いきそうで草ぁ!
:切り抜き見た人達が「これ現実?」ってコメントしてるwww
:残念ながら現実ですwwww
さっきの結界破りはインパクトが強かったようで、ネットで話題になっているみたいだ。破った甲斐があったと、ミヨリは目尻をゆるめる。
:ていうか同接がめっちゃ伸びてる!
:ホントだ!
:結界破りの影響か!
「……同接が三十五万!」
コメントを読んでいて気づいたけど、いつの間にか同接が更に増加していた。その数字に、ミヨリはビクッとしてしまう。
この最高記録は一体どこまで伸びつづけるのか……。やっぱり今日の配信は注目度が高い。
「もうミヨリくんたちには事前に話してあるけど、警戒するんだよ」
玲奈が表情を引き締めて、呼びかけてくる。ゲートをくぐったら、すぐに警戒度をあげないといけない。
綾乃と小春は戦意を高めて頷き、ミヨリも小さく頷いた。
:そうだった! ここはいきなりアイツがいるんだった!
:アレか!
:事前情報がなかったら、マジで焦る!
:慌てて対処に遅れてしまって、入ってすぐに撤退した探索者とかいたからな!
:ぶっちゃけ『常闇の迷宮』にいるそこらへんのザコ敵よりも強い!
:なにがいるんだ?
「……さっそく来たみたいだね」
ミヨリがコメントを視線で追いかけていたら、鼓膜を震わせる重低音が聞こえてきた。その音は次第に大きくなって、こっちに迫ってきている。
前方に目を凝らすと、薄闇のなかからソレが飛び出してきた。
見あげるほどの巨体に、怒り狂ったような凶暴な顔つき。側頭部からは二本のねじれた角が生えていて、頑強な身体は筋肉の塊そのものだ。
ぶっとい四本足で立つ巨大な猛牛を連想させるモンスター。ベヒーモスが牙を剥いて、ミヨリたちを威嚇していた。
:はああああああああああああ!
:ベヒーモスやんけえええええええええ!
:なんでコイツがスタート地点のそばにいるんだよ!
:他のダンジョンでは最下層のボスだろうがよおおおおおおお!
:初見だとビビる!
:事前情報があってもビビるからな!
:画面越しでも迫力やべぇえええ!
:こんなの直に対面したら怖くて動けないよ!
ベヒーモスを目の当たりにすると、綾乃と玲奈は険しい表情になる。小春は気圧されているようだけど、どうにかその場に踏みとどまっていた。




