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底辺配信者だけどダンジョンで人気探索者を助けたら、なぜかやべぇ女として大バズりしてみんなから怖がられている  作者: 北町しずめ


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「わたしには、探索者としての心残りがあってね。『常闇の迷宮』というダンジョンを踏破したいんだ。今じゃ伝説のパーティなんて呼ばれている昔の仲間たちとでも、あそこの最深部にたどり着くことはできなかった」


:あの伝説のダンジョンって恐れられてるところか!

:伝説のダンジョン?

:なぜに伝説?

:代表が若い頃に伝説のパーティメンバーで挑んだけど、攻略できなかったから伝説のダンジョンって呼んでる!

:現在もまだ誰も攻略できてないダンジョン!

:階層とかもどれくらいあるのか不明!

:あのダンジョンは入るのも条件厳しいからな!

:ガチで攻略目指すなら、年単位でやらないといけない! ゲートに入るための鍵になるアイテム集めるだけでも時間が掛かりすぎる!

:別のダンジョンにある指輪が七ついる! それが鍵!

:指輪は高難易度ダンジョンの最深部のボス部屋にあったり、裏ルートを解放して異界まで取りにいかなきゃいけなかったり、かなりドロップ率が低かったりと、集めるだけでも困難を極める!

:七つの指輪が必要なのはゲートに入るときだけ! 出るときは指輪がなくても大丈夫っぽい!

:代表たちも前に挑戦したときにいくつか指輪を紛失してたけど、無事に外に出ることができてたもんな!

:うひゃ~! 話を聞いてるだけでも相当やばいダンジョンだってわかるな!

:ガチで数年かけて指輪集めしてるパーティが結構いるぞ!

:その大半が指輪集めの途中で挫折しちゃうけどね……

:指輪を全部持ってても、他の探索者には貸さないだろうな。先に攻略されたくないし

:なんとか『常闇の迷宮』のなかに入れても、かつて代表たちが到達した階層よりも先には進めてない!

:公式では代表たち伝説のパーティが到達した階層が最高記録ってことになってる!


「情報ありがとう。みんなのおかげで、いろいろとわかったよ」


 ミヨリは次々と書き込まれるコメントを読んでいき、『常闇の迷宮』について理解すると、自分のドローンカメラを仰ぎ見て視聴者たちにお礼を言った。


「かつての仲間たちとは攻略できなかった伝説のダンジョンだ。ミヨリくんさえいてくれれば、もしかしたらまた『常闇の迷宮』に挑めるかもしれない。そして最深部まで踏破できるんじゃないかと、わたしはそう思っているんだよ」


 玲奈はずっと胸の奥に仕舞い込んでいた想いを打ち明けると、自嘲気味に笑った。


「これはわたしのワガママで、勝手な願いなんだけどね」


 それが玲奈の心残り。探索者として、やり残したことだ。


「どれほど時間が掛かるかはわからないが、ミヨリくんの協力さえあれば、いつか『常闇の迷宮』を攻略できると確信している。そのための準備として、こうして勘を取り戻すために、綾乃や小春くんに付き合ってもらっているんだ」


 長らく裏方に徹していたので、自分は全盛期よりも衰えていると玲奈は考えている。もう既に何度かシルバーダスクのメンバーや、顔見知りの探索者たちとダンジョンにもぐっているので、だいぶ勘を取り戻せていた。


 ミヨリの目から見ても、前に会ったときよりも玲奈が研ぎ澄まされているのが感じ取れた。


:完全にやってることが、昔の少年漫画で老人キャラがボスキャラとの決戦前にやるヤツ!

:老人キャラ「わしが最強じゃったのは半世紀以上も前のこと」

:老人キャラ「ふむ、だいぶ勘が戻ってきたわい」

:そんでボスキャラに負けるまでが一連の流れ

:負けんなwww

:それくらいの意気込みで代表はダンジョンにもぐってるんだよ!


 ミヨリも漫画でそういうシーンを見たことがあるので、視聴者たちの言いたいことはなんとなくわかった。


「わたしはこうして憧れの玲奈さんとダンジョンにもぐれてうれしいです。ミヨリの勧誘についてはともかく、玲奈さんの夢を叶えるためなら、いくらでも付き合いますから!」


「わ、わたしも小さい頃に玲奈さんの配信を見て、かっこいいなって思ってました! ムラサメちゃんから事情を聞かされて、こうして玲奈さんのお手伝いができるなんて、それだけで光栄なことです!」


「ありがとう。二人には感謝しているよ」


 綾乃と小春から尊敬の目で見られると、玲奈は穏やかに微笑みかける。年の離れた後輩たちの初々しさに、ホッコリしていた。


「とはいえ、前に『常闇の迷宮』にもぐったときに、帰り道でモンスターに襲われてしまってね。その際に鍵となる七つの指輪のうち、三つをなくしてしまったんだ。だから未成年を除いたメンバーで、近いうちに足りないぶんの指輪を集めをはじめる予定だよ。それだけでも、かなりの時間を要するだろうがね」


 精鋭ぞろいだった伝説のパーティでも、指輪を集めるだけで数年かかった。そして何度死にかけたかわからない。一筋縄ではいかないことを、玲奈は承知していた。


:七つの指輪をそろえてしまえば、あとはミヨリちゃんを連れて『常闇の迷宮』にもぐればいいってわけか!

:ミヨリちゃんが仲間になって、いつか伝説のダンジョンに挑む展開!

:まさかシルバーダスクに加入するのか!

:伝説のダンジョンの攻略を目指すシリーズものになる予感!

:でもミヨリちゃんが大好きな黒野スミレはパーティは組んでも、どこにも属さないキャラだったから

:その展開はなしか……?

:そもそもまずは足りない指輪を集めなきゃだし

:下手すりゃそれだけで数年は掛かるな……

:気長に待つとしよう


 どうなるのか答えが出るのはまだまだ先のことだ。それは視聴者たちもわかっているので、理解のあるコメントがたくさん流れていた。


「わたしは必ずもう一度『常闇の迷宮』に挑戦するつもりだよ。そしてそのときがきたら、綾乃や小春くんにも協力してほしい」


「はい。いつかそのときがきたら、任せてください」


「えっと、わたしはシルバーダスクのメンバーじゃないですけど、いいんですか?」


「もちろんだよ。パーティメンバーを自分のクランの探索者に限定するつもりはないよ。小春くんには十分な実力がある。それだけでパーティを組むに相応しいよ」


「そ、そうですかぁ? えぇ~、まぁそこまで言われちゃったら、いくらでも力を貸しちゃいますけどぉ」


 玲奈に認められると、小春は目元をだらしなくゆるめてクネクネと身体を揺さぶっていた。なんだか急に自信に満ちあふれた態度になっている。


 そんな小春を、綾乃と玲奈はちょっと呆れた顔で見ていた。


:小春ちゃん褒められてうれしそうwww

:ちょいウザいけどねwwww

:何年後になるかわからないが、代表の再挑戦が楽しみだな!

:ムラサメちゃんと代表が肩を並べて『常闇の迷宮』に挑むのを心待ちにしてる!

:ムラサメちゃんと代表が『常闇の迷宮』で一緒に戦うの早く見たい!

:小春ちゃんもいることを忘れないでくださいwwww


 玲奈の話を聞いて、コメントが盛りあがる。やっぱりみんな玲奈がその『常闇の迷宮』というダンジョンを踏破するところを見てみたいようだ。


「……なるほど」


 玲奈たちが会話している間、ずっと黙って考え込んでいたミヨリはこくりと頷いた。


 その眼差しを、玲奈たちのほうに向ける。


「じゃあ、そこ行きましょうか」


「……ん?」


「は……?」


「へ……?」


:え……?

:うぇ……?

:???


「今度その伝説のダンジョンってところに行って、攻略しちゃいましょう。そうすれば玲奈さんは心の整理がついて、わたしを勧誘するのをやめますよね? それに話を聞いていたら、なんだか興味が湧いてきました。わたしも『常闇の迷宮』ってところで、ダンジョン配信をやってみたいです」


 ミヨリはうっすらとした笑みを唇に描くと、次の配信を行う場所を予告する。


「……ん?」


「へ……?」


:え……?

:は……?

:いやいや! ……え? どういうこと?

:遊びに出かけるような気軽な感じで言ってるけど、入るだけでも年単位で時間が掛かるダンジョンだよ?

:入るの難しいって、ちゃんとわかってんのかこの子?

:待って! 待って! 待って! マジでどういうことだよコレ!

:ミヨリちゃんがしっかり説明してるのに、脳が理解を拒否しちゃう!

:代表も小春ちゃんも視聴者もポカ~ンなってる!

:俺もポカ~ンだよっ!

:さすがはミヨリちゃん! いつだって常識を破壊してくれるね!(大親友)


 ミヨリの言葉を聞いても、その意味を受け止めることができなくて、玲奈も小春も唖然としたままだった。


 ただ一人、綾乃だけはまたしても何か大変なことに巻き込まれてしまったと気づいたようで、諦めたようにガックリと肩を落としていた。




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