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 遠くからでも巨大であることは見て取れたが、こうして近くまでやって来るとその大きさに改めて驚かされる。


 草原を歩き続けたミヨリと綾乃は、天に向かってそびえ立つ光の柱のそばまで来ていた。


 光の柱を仰ぎ見る綾乃の表情は引きつっている。地上に帰還する前に立ちふさがるであろう最後の難関に気を揉んでいた。


:いよいよ異界のボスとのバトルか……

:ドキドキ……!

:どんなやつが出てくるんだ?

:最強オーガか?


 これから戦うことになるボスについて、あれこれと考察が飛び交う。どんなボスが出てくるのかミヨリも楽しみだ。


:同接が二十万いってるよ!

:うおおおお! ホントだ!

:ついに二十万までいきやがったか!


「二十万……!」


 その数字が視界に飛び込んでくると目まいがした。足元がフラつきそうになる。


:ミヨリちゃんww

:モンスターには強いけど同接には弱い女wwww

:ミヨリちゃんの弱点 同接www


 ……いけない。二十万という数字に叩きのめされている場合じゃない。しっかりしないと。


 ミヨリが配信に集中しようと気合いを入れ直した、そのときだ。


 天候が狂ったかのように、空を埋めつくすほどのまばゆい光彩が輝いた。


:なんだ……!

:光ってる!

:めっちゃ空が光ってるぞ……!


 コメント欄が驚きであふれかえる。


 ミヨリは空を見あげる。


 輝きのなかには、巨大なモノがいた。胎児のように丸まっていたソレは、両翼をひろげて目を覚ます。それだけで突風が吹き荒び、周辺の木々や草花が揺れる。


 上空にあふれていた輝きが消え去っていき、異界のボスが顕現する。


 特撮の怪獣を思わせるほどの巨体に、長大すぎる尻尾。神秘的な青い光をまとったドラゴンだ。


 凶暴さをたたえた青い双眸が、ミヨリたちを天空から見下ろしてくる。


 堅牢な鱗におおわれた全身からは膨大な魔力を放出していて、そばにいるだけで生物として格が違いすぎることを知らしめてくる。


:ドラゴン……!

:はじめて見た!

:ダンジョンでもなかなかお目にかかれないぞ!

:すげぇ迫力だ……!

:こんなんマジもんの大怪獣やん!

:いま俺の頭のなかで壮大なBGMが流れとる!

:この青いドラゴンは見たことないぞ!

:新種!

:はじめて発見されたドラゴンということか!

:ブルードラゴンだ!

:すごく貴重な場面に出くわしてる!(感動)

:ミヨリぃぃぃ! これ大丈夫なのかオオオイ! あんなんと戦って本当に大丈夫なのかぁぁぁあああああ!!!(父より)

:お父さんがめっちゃ心配してるwwww

:気持ちはわかる!


 これまでにないほどコメント欄が慌ただしくなる。それだけあのブルードラゴンが破格の存在だということだ。


「いくらなんでもアレは無理だろ……」


 圧倒的な存在感を放ってくるブルードラゴンを見あげると、綾乃は呆気に取られていた。


:ムラサメちゃんwwww

:いやまぁ正常な反応だwww

:新種のモンスターは情報ないから注意しないといけない

:マジで気をつけて!

:どんな攻撃をしてくるかわかんないぞ!


 みんな盛りあがっている。異界にやって来たのは正しい判断だった。





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