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マナイズム・レクイエム ~Allrgory Massiah~  作者: 織坂一
1. 青年は戦う為だけに全てを業火に焼べる
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『ラジアータ』という異界

今回から第3話になります、よろしくお願いします。




『ラジアータ』――それは終焉の地であり、閉ざされた彼岸。この概説が世俗に伝わる『ラジアータ』と言う異界の実態だ。


それ以上の情報など一般市民は知らず、『ラジアータ』の詳細については『聖火隊(セイヴャ)』の実働部隊である『血濡れの剣(ブラッド)』しか知らないとされている。

そんな閉ざされた魔の都は、赤い大地とあり得ない程の瘴気で満ちているのが特徴的だと『原初の災厄』(ファースト・スカージ)さんは語る。


あの世界こそ、リアムにとっての理想郷。

()()”と2人だけで暮らす理想の住処。そこでリアムは今も世界が憎いと訴え続けている。


常に『ゴースト』が湧き溢れているため、迂闊に近づくことは自殺行為に等しく。

さらに……と『原初の災厄』(ファースト・スカージ)さんは『ラジアータ』までの道筋を訥々と語っていく。



「まぁ、何故あの聖都と周囲の都で『聖火隊(セイヴャ)』が活動の拠点とされているのかについては簡単な話だ。なにせここセイビアから『ラジアータ』までは比較的距離が近い」



と言うと、『原初の災厄(ファースト・スカージ)』さんは肩に下げた荷物の入った袋から地図を取り出しては地面に広げる。



「まずは商業国である『オリベ』へ向かう。ここでパスを貰った後は、狂界(きょうかい)狂獄(きょうごく)を根性で『ラジアータ』まで向かう。……まぁ根性で云々というのはお前の得意分野だろう?」


「いや、さすがに俺もそこまで化け物ではありませんよ。……それはさておき、『オリベ』までは比較的簡単に行けるんですか?」


「んー、距離的には問題はなかろう。頑張って歩けば1ヶ月程度で着くさ」



距離的にはと述べるその様を見て、俺は思わず息を呑んでは怯む。ただ、この先快適かつ安全な旅路を辿るには聞いておかなければならないことが一点だけある。



「あのー……。じゃあ、道中の危険度的な意味ではどうでしょうか?」



俺がそう問えば、『原初の災厄』(ファースト・スカージ)さんは唸る。

彼は3秒しっかり考えこんだ後、俺から視線を逸らす。



「どうにかなるだろ。過去、『光の盾(チェイン)』の連中が『ゴースト』駆除に駆り出されて『オリベ』付近まで向かったら全滅したとか儂シラナイ」


「はぁ!?」



『原初の災厄』(ファースト・スカージ)さんが告げた真実――いや、真実と断定するのは早いが、正に寝耳に水な話に思わず声量が大きくなる。

そして俺は、『原初の災厄』(ファースト・スカージ)さんの肩を揺らしては彼に泣き言を漏らす。



「なんでですか!? 『光の盾(チェイン)』だって一応戦闘経験があるんじゃないんですか!? なんのための訓練なんですか、あれは!」


「知るか。言っておくが、『ゴースト』は夜闇と同化する性質を持っているから、夜に襲われたら即終了。あの悪食は勘でどうにかしたと言うが、あれは野蛮人の特権だな。野蛮人と兵士の差は大分あるぞ?」


「うっそだろぉおおおおおおおおお―――!」



このとき、俺は『聖火隊(セイヴャ)』に入隊しなくて良かったと心の底から思う。

俺自身、如何に『聖火隊(セイヴャ)』を美化していたのがよく知れたし、まさか俺を散々叩いていた兵士達も夜になってしまえば猫に狩られるだけの鼠になるだなんて色んな意味であんまりである。


ああ、本当に良かった――そう思い込むことでなんとか憧憬と現実の齟齬から抜け出そうとする。だが、『原初の災厄』(ファースト・スカージ)さんはそんな俺の現実逃避に水を射す。



「……にしても、お前が理想をどう抱こうが自由だが、よくよく聞けばお前のしたいことは死に急ぎ以外の他でもないな。この狂人め」


「ははは……」



どこかゲテモノ料理を見るかのような視線を向けられ、俺はもう苦笑しか出来ない。

だが、ある種これも好都合だと『原初の災厄』(ファースト・スカージ)さんは気を取り直して笑う。



「まぁいいか。対『ゴースト』の戦闘経験がないままで、リアムの相手は務まらん。せめて道中で『ゴースト』の上位個体を全滅してくれればいいのだが」


「『ゴースト』の上位個体?」



『ゴースト』の上位個体――そんな存在など聞いたことがないと俺は首を傾げていると、『原初の災厄』(ファースト・スカージ)さんはそんなことさえ知らないのかと釣られて首を傾げる。



「知らんのか? 『ゴースト』には上位個体がおってな、そいつらは一筋縄では死なん」


「なんでそんな存在がいるんですか、身内でそんな格差社会を築かないで下さい。お願いだから」



と、俺は本日2度目の現実逃避に陥るが、なんとか自身の頬を抓り痛みを覚えることで現実へ帰還した。

現実に帰還した俺は、一応と『原初の災厄』(ファースト・スカージ)さんに再度こう尋ねた。



「えっと、ちなみにその上位個体さんはどのくらいいらっしゃるのでしょうか……?」


「儂のときは15体だったな。今は増えたかどうかは知らんが、最低15体はいると見積もっておけ」


「15体!?」



あまりの多さに、もう1つ取りこぼしてはならない話題をそっちのけで絶望に打ちひしがられる。そして止めを刺すかの様に『原初の災厄』(ファースト・スカージ)さんは俺へこう警告した。



「ちなみに物理攻撃はほぼ通らんぞ? ナイフで戦おうなんてお前の実力じゃ無理無理」


「もう逃げるしかないじゃないですか……」


「はっはっはっ、動きも早いからのう奴らは。まぁ弱点は分かりやすい」


「はい、もう弱点を白状しましょう。お願いですから! ここで足踏みしたり死んでたら、リアムに雪辱を果たせないんですよ!?」


「分かっておるわ。奴らの弱点はあの大きな目玉よ、あれは紙1枚の耐久力があるかどうか……しかし、懐に入り込むまでが苦労なのだ」


「と言うことは、つまり……」



近接戦は危険。ナイフもほぼ通らない。そして俺は剣など扱えない。であれば、答えは1つな訳で。

俺が答えに辿り着いた瞬間、『原初の災厄』(ファースト・スカージ)さんは晴れやかな笑顔で俺の肩を叩く。



「つまり、開戦同時と共に『業火の仮面』(アケーディア)開放で全力ブッパだな」


「ああ、分かりましたよ。そうですね、必ず殺します。奴らを秒殺するんで期待しててください」



もう正直答えることすら嫌になってくる現実に、俺は若干放心状態で『オリベ』を目指すべく、フラフラと覚束ない足取りで地を踏み進める。

願うのならば、上位個体どころか通常個体でも夜にだけは出てこないで下さいと胸中で祈る。

無論、「成仏しろ」(アーメン)と十字を切るのも忘れずにだ。




どうもこんばんは、織坂一です。

今回は短めですが、一応『ラジアータ』がどんな場所か、『ゴースト』とはどんなものかを解説しましたが、正直『ラジアータ』については意味不明かもしれません。


簡単にいえば、本文中にもある通り「リアム君と彼女(例の女性)の理想郷」で、リアム君と『ゴースト』以外住めない魔境ですね。詳しくは活動報告でまとめようかと。


にしても、本当に『聖火隊』が全然役に立たないじゃないですか、やだー。

さて、この後ラインバレル君は『ゴースト』と戦うのかどうか次回にご期待下さい。



⚔11話の内容解説(活動報告)はこちらになります!↓(※多々ネタバレが含まれますのでご注意下さい※)

https://syosetu.com/userblogmanage/view/blogkey/3118406/




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