表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/41

プロローグ

 真っ暗なビルの空き室の中で息を潜めてじっとターゲットを待っていると、街頭テレビが見え、見るともなく人気タレントの占いコーナーを見ていた。

『牡羊座のあなた!明日は一生に一度の出会いがあるでしょう。ラッキーカラーは赤!』

 その時電波時計が電波を拾い、日付が変わった事を知らせた。

 それからほんの2秒ほどで、セレはスコープの中にターゲットを発見した。

 とあるヤクザの幹部で、常に防弾仕様の車で移動し、周囲を子分で固めた男だ。

 そのターゲットが唯一無防備になるのが、愛人のマンションについて、エレベーターを降りてから愛人の部屋に入る間だ。壁があるから安全だと思っているらしいが、壁には2メートルごとに10センチのスリットが入っている。なのでセレは、その隙間からターゲットを狙撃するのが今回の仕事だ。

 歩く速度がほぼ一定なので、問題はない。

 引き金に指を置き、タイミングを計り、そっと握るようにして引き金を引く。サイレンサーのために音は抑えられ、静かなものだ。

 しかしスコープの中で、ターゲットの頭は血しぶきを撒き散らし、糸の切れた人形のように倒れた。

 まるで、無声映画のように。

 セレは素早く銃を分解してバッグに入れると、何食わぬ顔でビルを出て行く。

 そして、ふと思い出した。

(ああ、あのターゲットのやつ、牡羊座だったな。一生に一度の出会い……銃弾かな?死神かな?ラッキーカラーは赤か。アンラッキーカラーなら赤だったな)

 肩を竦めて人混みに紛れ、家に向かう。

 街頭テレビの中から人気タレントが、

『では皆さん、お休みなさい!良い明日を!』

と手を振っていた。



お読みいただきありがとうございました。御感想、評価など頂ければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ