ロボットアニメのロマン武器
「コッ、コホーッ!?」
はわわッ、水がッ!?
足元を濡らす水に健太郎はワタワタと慌てふためき周囲に視線を送る。
「何やってんだミシマッ!! あの光で外縁に穴を開けろ!! 水の逃げ道を作るんだッ!!」
外縁部頂上から駆け付けたギャガンが慌てる健太郎に声を張り上げる。
「コッ、コホーッ!!」
そっ、そうかッ!!
健太郎はギャガンの言葉を受けて両手の人差し指と中指を額に当てた。
「俺達はこいつ等担いで山に退避だッ!!」
「ハッ!!」
ギャガンの部下達は、満足気な笑みを浮かべ気絶している魔人達を担ぎ上げ、外縁部へと運び始める。
「コホー」
流石、戦士だけあって突発的な事には場慣れしてるなぁ。
健太郎が、部下に指示を出し気絶している魔人族と砂竜を掻き集めているギャガンに感心している間に照準横のゲージは点滅をはじめた。
「コホー……コホーッ!!!!」
よし……ミシマビィィィイイイイイイイイイイイイイイムィッ!!!!
叫びと同時に健太郎は照準を動かし、ビームを使って島の外縁下部に排水用の横長の穴を穿った。
「上出来だッ!! 後はこいつ等を運ぶだけだぜッ!!」
「ギャガン、あたしらに出来る事はあるかいッ!?」
飛翔で空を舞うミラルダがギャガンに問い掛ける。
「魔法で水の通り道を作ってくれッ!!」
「道だねッ!! グリゼルダ、土魔法でッ!!」
「分かっているッ!!」
「状況はッ!?」
「遅ぇぞファンゴッ!! お前らも魔人共をサッサと運べ!!」
「心得た」
そうこうしている間に噴き出る水は勢いを増し、湖の周囲の森まで溢れ始める。
「チッ、穴が小せぇ!! ミシマ、さっきの奴をもう一発撃ち込めッ!!」
「コホーッ!!」
了解だッ!! 再度健太郎は額に指を伸ばす、しかし照準は現れず視界には赤い文字らしき物が表示された。
「コホーッ!?」
何だとッ!? もしかして連続使用は二回が限界かッ!? クッ……本当に気の利かない体だ……何か他に無いのか、山のどてっぱらに大穴を開ける様な凄い奴はッ!!
健太郎の脳裏に様々なロボットアニメ、ロボットゲームのシーンが思い浮かぶ。
……アレだ……アレしかない……頼む、俺の無意識よ、俺の大好きな機体達が使っていたアレを今こそこの手に……。
健太郎の想いを受けてカシャカシャと体が変形、その身を巨大な砲身を備えた大砲に変える。
大砲は台座から伸びたシャフトによって大地にしっかりと固定されていた。
「キュイーンッ!!」
キターッ!! コレだよコレッ!! ロボットアニメといえば超高火力の長物兵器。
○式のメガバ○ーカランチャー、エル○イムMr-IIのバ○ターランチャー、ジェ○ティのベ○ターキャノン、どれもいいし、どれも超カッコいい!!
じゃあ照準を調整してと……。そう思い動こうとした健太郎の意思は反映されず、体は微動だにしなかった。
アレアレっ、ちょっと待ってちょっと待ってッ!? コレって俺が使う奴じゃ無くて、もしかして誰かに引き金を引いて貰わないと使えないタイプなのッ!?
「おっ、おい何だよそれ……」
健太郎の変形を見て駆け寄ったギャガンが戸惑いの声を上げる。
「キュイーン!!」
ギャガンいい所に!! 頼む狙いを付けて引き金を引いてくれッ!!
「ミシマ、何なんだい、一体何がしたいのさッ!?」
水路を作り終えたミラルダ達にも健太郎の傍に舞い降りる。
「ふむ、この部分は弩の引き金に似てるな……もしかしてバリスタの強力版の様な物か?」
グリゼルダが大砲下部に突き出たトリガー部分を指差しながら呟く。
「キュイーンッ!!」
そうそれッ!! お願い、誰でもいいから引き金を引いてッ!!
健太郎の悲痛な叫びに三人が首を捻ったその時、先程健太郎が外縁下部に開けた穴を食い広げながら、巨大なベージュ色のミミズの様な怪物がカルデラ内部に侵入して来た。
「アレはサンドワームッ!? この忙しい時にッ!!」
「チッ、しょうがねぇ、とにかく引き金を引いてみようぜッ!」
ギャガンが大砲の下を潜り抜け肩に担ぐ様に構えグリップに右手を添えると、四角い双眼鏡の様なスコープが彼の目の前に大砲から伸びる。
「へへッ、こいつは狙いやすくていいぜ。おう、お前らは離れとけッ!!」
「分かったよッ!!」
「しくじるなよ、ギャガン」
「あんなデカい的、誰が外すかッ!!」
ミラルダ達は健太郎の後方に飛翔を使い逃れ、ファーゴ達炎狼族やギャガンの部下の豹人族と共に、彼らに回収された魔人たちが右手側の外縁部に寝かされているのが見えた。
「キュイーンッ!!」
よしッ、退避は完了してるッ!! やるぞッ、ギャガン!!
「何言ってんのか分かんねぇが、こいつをぶちかましゃいいんだろ?」
「キュイーンッ!!」
そうだッ!! 現在のエネルギー充填率は約120%ッ!! いつでも撃てるッ!!
健太郎の言葉通り、照準に表示されたエネルギー充填率を示すだろう円グラフは百パーセントを超え、円の二割を重複して埋めていた。
ギャガンは握ったグリップと砲身から突き出たアームを握り、照準を猛り狂いこちらに向かって来るサンドワームに向ける。
シャフトが伸縮し台座に乗った砲身はギャガンの想像よりも遥かに軽く滑らかに動いた。
「スゲェ、メチャメチャ軽ぃ…………クククッ、ミシマお前最高だぜ……」
笑みを浮かべたギャガンはペロリと唇を舐めると、呼吸を止め右手の人差し指を絞り込む様に引いた。
「グオッ!?」
引き金を引くと同時にキャノン内部に蓄えられたエネルギーの奔流が放出し辺りは真っ白に染まった。
衝撃波で周囲の大地がめくれ上がり木々が吹き飛ばされる。
「うう…………何が……起きた……たしか青いゴーレムが…………これは……どういう事だ……?」
部下達よりも一足先に意識を取り戻したエルダガンドの工作部隊隊長ブラドバーンは、U字型に削られそこから湖からわき出す水を砂漠に吐き出す島の外縁部を見て、茫然と目を見開き、ポカンと口を開けた。
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